Interview
#68

「遠い将来じゃなくて、今でいい!」
シニアインフルエンサーの
素敵なその日ぐらし

きょうこばぁばさんKYOKO BA-BA

YouTuber
Instagramer

1956年生まれ、鳥取県出身。介護士として15年間勤務。現在はファッションの着こなしや日々の料理が人気のインフルエンサーに。YouTubeチャンネル「きょうこばぁばライフ」の登録者数は11.3万人、Instagramのフォロワー数は8.4万人(2025年1月現在)。著作に『きょうこばぁばの ちょっとの工夫でいつものごはんが「わぁ! ごちそう」になるレシピ』(ワニブックス)、『きょうこばぁばの 人生キラメクおしゃれマジック』(主婦と生活社)。
https://www.youtube.com/@kyokoba_ba

シニアインフルエンサー、きょうこばぁばさんの発信には、「私も試してみたい!」とつい思ってしまう魅力が盛りだくさん。一見若者向けに見えるカーゴパンツも、シンプルな白いTシャツも、彼女の手にかかれば60代の等身大のコーディネートに。そして、毎日の料理も、素材の組み合わせや盛り付けの工夫でとってもオシャレになります。「身近な楽しみがあればいい」「遠い将来じゃなくて、今でいい」と語る軽やかなライフスタイルに迫ります。

病院に行くのだって
「外出の予定」

「人生100年時代」とはいえ、加齢に伴うネガティブな変化に気落ちし、ポジティブな面になかなか目を向けられないというシニア世代も多いはず。

しかし、ありのままのグレーヘアで自分らしいスタイルを楽しむきょうこばぁばさんの様子からは、「60代とは、シニアとはこういうもの」という諦念を跳ね除けるパワーを感じます。

「私はただ、自分の姿をお見せしているだけなんです。でも同世代の方から『こんなことができるんですね』『手頃なお洋服を買って外に出てみようかな、と思えました』という反応をいただくことがよくあって、それは一番嬉しいですよね。とはいえ、老いる苦しみもありますよ」

老いる苦しみと、きょうこばぁばさんはどんなふうに向き合ってきたのでしょうか?

「先のことはわからない。今日、明日を一生けんめい生きて、遠い将来のことを考えないようにしようと思って。無理をしないのが大事。病院に行くのだって『外出の予定』ですよね。ついでに子どもや孫に連絡して、会おうと誘ってみようか、って考えたりね。そういう身近な楽しみがあればいいと私は本当に思うんですよ」

きょうこばぁばさんイメージ
きょうこばぁばさんイメージ

食べて飲んで、飲んで食べて、が
毎日の楽しみ

素敵な「その日ぐらし」の中の大きな楽しみが、毎日の食事とお酒なんだとか。今日はどんなお酒との組み合わせを楽しもうか、と考えながら料理するのもわくわくする時間です。

「一緒に暮らす娘も大酒飲みなので、二人で食べて飲んで、飲んで食べて、っていう日々です。それからNetflix見たりね。娘がBTSが好きだって言うから見てみたらハマりました。韓国料理も作るようになって、チャミスルもダンボールで購入して(笑)。酒飲みが2人いるんだから、スーパーで買ってたら間に合わないので」

また、きょうこばぁばさんといえば、料理の他にも、プチプラファッションを上手に取り入れて楽しむ着こなし術が人気。もともと大のGUファンで、家から徒歩で行ける近所の店舗に足繁く通っているそう。ファッションの世界では、プチプラ=若者向け、年齢を重ねる=高価なものでクラスアップ、というイメージもありますが、きょうこばぁばさんのスタイルはとっても自由。

「高いものを買えないっていう事情もあるんですけど、でも、何十万もするコートを買ったとしても、あと何年着れるかわからない。それよりも、気軽にチャレンジできる価格のお洋服の方がずっと楽しいと思ったんです」

きょうこばぁばさんイメージ

楽しいことを想像して、
ドキドキすることが大事

まずは気軽に楽しんでみる。お話を伺ってみると、そんな軽やかさが伝わってきます。

「私の着こなしを見て、自分にはできない、っていう感想やご意見もあると思います。でも、『ちょっとドキドキしてみる』っていう体験だけでもご提供することができたら、私のやったことには価値があるかな、って」

その考えに関連して、娘さんが最近編み物に挑戦した時のエピソードも紹介してくれました。

「娘が雑誌やネットで編み物のことを色々と見て、やってみたい! と、期待を膨らませてお店に行って、毛糸だとかいっぱい買ってきたんですよ。でも、実際やってみたら想像していたのと違ったのか、結局続かなかった。だから私は『もったいない、続けなきゃダメよ』と声をかけたんです。でも娘は『私は買い物に行く時も、買い物をしている間も、買ってきて並べてる時もドキドキして、その間ずっと楽しかったの。だからいいじゃない!』と。それを聞いて、本当だ、それでいいんだって思ったの」

確かに、こうしてみたら楽しいのでは、とひらめいて、期待を持ってドキドキする時間こそが心の栄養になるのもしれません。実際にどうなるのかは別として、自由に想いを馳せてみたくなります。

きょうこばぁばさんイメージ
きょうこばぁばさんイメージ
きょうこばぁばさんイメージ

やりたいと思ったことは、
後回しにしないで

きょうこばぁばさんはインフルエンサーとして知られる前、介護士として15年間働いた経験があります。その時の経験が今、自分の生き方にも影響を与えているそう。

「施設でいろんなシニアの方を見てきました。身に染みて感じたのは、楽しめるうちに楽しんでおかないとダメだ、ということ。入所している方の家族が、『お母さんが若い時にやりたかった、とずっと言ってたから』と、編み物セットや刺繍セットを持って来られても、認知症になったり、体の自由が効かなくなったりしてくると、もう楽しめないんです。そんな方がたくさんいらっしゃいました」
記憶力、歩き方など、いろんな点で老いていく自分を発見する日々。でも、「やりたいと思ったことは、後回しにしない。やれるうちにやっておきたい」と思いを新たにしています。

「毎日、楽しみましょ。楽しみはない、なんて嘘だから。絶対あるから、見つけましょう。私はそう思ってます。私もね、実は人見知りで家族からも心配されるくらいなんですが、それじゃダメだと思って、これからはいろんな方に会いに行ってお話を聞こうと思ってるんです。この前、同世代のインフルエンサーの方に何かご一緒できませんかとご連絡したら、『私もやりたかったんです』とお返事をいただいたので、今度コラボでYouTubeを撮ろうと思ってますよ」

きょうこばぁばさんイメージ

遠い将来じゃなくて、
今でいい

そして、「世の中にはいつも自分よりも年上の世代がいて、この社会で一緒に暮らしているのだ、と意識してみると、お年寄りの見方が変わってくると思う」という大事なメッセージも。多世代のことが見えてくると、自分の未来についても解像度も上がりそうです。

笑顔で「遠い将来じゃなくて、今でいい。今日の夜のお酒でいい」と語るきょうこばぁばさんの姿を見ていると、自分に与えられた大事な一日としっかり向き合いたいという気持ちが湧き上がってきます。
「この前もね、浜野謙太(ミュージシャン・俳優、長女でモデルの吾紗さんの夫)のステージに遊びに行ったら、DJが、山口百恵とかさだまさしとか昭和の曲をガンガンかけていて、すごくかっこよかったんですよ!俄然興味を持って、家に帰ってすぐDJプレイヤーを検索して、これだったら買えるっていうのを見つけたんだけど、そしたらハマケンが『お義母さん、著作権があるからYouTubeには百恵ちゃんとか安易に流せないからね』と言ってきて。私は『えー!そうなの!?』と一気に冷めちゃった。でもね、さっきも話したけど、DJやってる自分を想像するだけでも楽しくて、ドキドキしたんだからね(笑)。それが大事ですよ」

きょうこばぁばさんイメージ
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きょうこばぁば Everything Has A Story
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