もちもち、ぷるぷる。
「ミサオおばあちゃんの笹餅」
桑田さんが作った笹餅を手に取ると、ふわっと笹の葉の香りが漂い、今まで食べたことがないほどのもちもち食感があって、ぷるぷるとしています。これは餡ともち粉を一緒に混ぜて作られる、青森伝統の笹餅だそうですが、この極上のぷるぷる感は、桑田さんが作る笹餅だからこそ、際立っているようです。
青森県津軽半島の五所川原市にある加工所で、「笹餅屋」の看板を掲げる桑田ミサオさんは、まもなく95歳。なんと年間4~5万個を一人で作っています。とても大変な作業のように思いますが、桑田さんは、そう感じてはいません。
「辛いとか、苦しいなんて、そういうことば思ったことは一度もねえっけど。ただただ感謝の気持ちで30年以上、毎日楽しく作っています。笹餅を食べた、たくさんの方々からお礼状をいただき、それが励みになっています。中には、お電話をいただいたり、直接来られる方もいるんですよ」
桑田さんの笹餅は、近くのスーパーで火・土曜に販売されていて、午前中には完売になるほど大人気。他にも町のイベントやお祭り、老人ホームからの注文も相次いでいるそうです。そんな桑田さんは、日々、どんな過ごし方をしているのでしょうか。
「朝は6時頃から仕込みに入ってっけども、目が覚めるのは3時半頃で。昔のことをいろいろと思い出しながら、布団の中でゆっくり過ごします。5時になったら起きて、支度をして加工所に行って。忙しい時は、4時には加工所に来て作業を始めることもあります。スーパーに卸す前日の月・金曜は、特に忙しいんだけども。まずは仕込みをして、7時半くらいから餅を蒸し始めます。蒸し上がりまでだいたい1時間くらいかかって、それを2回やると午後1時くらいになりますね。蒸している間に、袋に日付を入れたりして準備を進めます。それまでずっと立ちっぱなしの作業です。そんで、お昼を作って食べたら少し休んで、また作業を始めて、蒸した餅を笹の葉に詰めて、もう一度軽く蒸します」