おいしいを育んだ
子供時代の記憶
「小さい頃から食べることが大好きでした。食べるって非常に普遍的な営みなので、わざわざ好き、と意識するのもちょっと変なんですけど。親に聞いたところによると、僕はお食い初めですりおろした桃を食べて、興奮して絶叫したみたいです(笑)」
こうした「食」への興味関心は、幼少期の数年間を福井県で暮らしていたのが原体験になっているのかもしれない、と山口さんは振り返ります。
「生まれは千葉県の船橋市出身なんですが、それと比べると、福井県はやっぱり食が豊かで、特に水産物が豊富でしたね。越前蟹でも地元でしか手に入らないカニをご近所からお裾分けしてもらったり、関東でなかなか手に入らない『黒龍』の大吟醸を、酒好きの母が喜んで飲んでいたり。4〜6歳頃の記憶だと思うんですけど、なんとなく覚えているんですよね」