ジェンダーの
「揺らぎ」を魅せる
諸説ありますが、ドラァグクイーンの「ドラァグ」は、長いドレスを引きずる様子(drag)が語源なのだそう。男性がきらびやかなメイクとファッションに身を包み、強調された女性性を纏ってパフォーマンスを披露する、ゲイカルチャーの中で発展してきた異性装です。
「高校生の時に初めてドラァグクイーンを見て、『かっこいい!』『あんなふうになりたい!』と思いました。あの時の驚き、憧れは、今でも常に持っています」とドリアンさん。
「男性なのに、何だかよくわからないけれどものすごく綺麗になっている、ということに、言葉ではうまく説明できない衝撃を受けました。男性による異性装の歴史は、古くは海外だと古代ローマの時代、日本ではヤマトタケルミコトが女装をした記述が古事記にも残っています。それが長い歴史の中でエンターテイメントとして発展し、受け継がれてきたんだと思います」
ジェンダーの垣根を飛び越えることで生まれる魅力。それが、ドリアンさんの目指しているパフォーマンスです。
「女性が女性性を纏うのとはまったく違い、男性があの格好、あのメイクをするからこそ生まれるかっこよさがある。逆の場合は、宝塚のように女性が男性性を纏うかっこよさもありますね。自分のパフォーマンスでは、女性の装いだけれど、筋肉を見せたり、男っぽい口調にしたりと、あえて男性性を織り交ぜることを意識しています。ジェンダーの揺らぎを表現したいんです」