読者と一緒に
絵本を作る感覚
「わたしはまるきり絵の人間なんです」
と語る秋山さんは、絵と文章を全て自分で制作してきた絵本作家。ストーリーはどのように構成していくのでしょうか?
「絵を描いているうちにストーリーが湧いてくるので、描きたいものが絵本になっていく感じですね。長い文章は書けないから、小さなリードの文章があって、登場する人たちにそれぞれセリフをつける、っていう方法がほとんど。読者も『この人は何をしているんだろう』『どんな人だろう』って興味を持ってくれる。だから、読者と一緒に本を作っている感じですよね」
秋山さんの絵本の中には、見開きを大胆に使い、街並みや建物の中の様子などを俯瞰図や断面図で描く手法がたびたび登場します。そこには、働く人、お母さん、子どもたち、おじいさんなど、たくさんの人たちの表情や、行動がイキイキと描かれています。
「一つひとつ描くと、コマ割りになっちゃうじゃない? だけど俯瞰で描けば、いろんな人がいろんな動きをしているのがいっぺんにわかりますよね。街並みを見るのは面白いですよ。なんでこんなところに小さな道があるんだろう、と思ったらその奥に家があったりする。そういうのが気になっちゃう性格なんですよね」