「神様って、神社って
すごいんだ」
船田さんが、初めて神様の存在を意識したのは4歳くらいの時。穏田神社の社殿は1998年に新築されましたが、その際に執り行われた遷座祭(せんざさい/御神体を遷す祭儀)の光景が、今でも忘れられないと言います。
夜、周囲の街灯が全て消され、参道の両側が「絹垣」という白い布で覆われ、その中を宮司である船田さんの父が御神体を持って歩き、新社殿の中にお移しするのを遠目から見ていました。
「警蹕(けいひつ)という、神事の時に神職が発する『おお』という声だけが響いていました。何も見えない中で神様が通っているのだということを意識した時、幼心に、神様って、神社ってすごいんだ、と思いました」
「いろんな宗教について学びなさい」という両親の方針もあり、船田さんはキリスト教系の大学でフランス語を学びます。その後は一般企業に就職。長女なのでいずれは継ぐのだろう、という考えがずっと頭の片隅にあったそうですが、もしかしたら「逃げていただけかもしれない」、と振り返りました。