探求できるものが
ある幸せ
「食べずに死ねるか、聞かずに死ねるか──そんな感覚があるような気がします。人生には限りがあるし、頭と体が動くうちに少しでも知っておきたい、と思うんです」
多岐にわたる活動の源泉について、田中さんはそんな想いを教えてくれました。近年では商業施設の音楽監修も手がけており、2020年、原宿駅新駅舎内にオープンした「猿田彦珈琲 The Bridge 原宿駅店」では既成概念にとらわれない新しいチャレンジも。店内BGMの音源を2種類用意し、別々のスピーカーで、一つは鳥の鳴き声や詩の朗読などの環境音、もう一つでは楽曲を流し、店内で絶妙に音が混じり合うという演出を実現。音楽を通じて空間全体のデザインにも携わる手腕は、ジャンルの垣根を超えて多くのものを「偏愛」してきた田中さんだからこそ。
「なんにせよ、探究することが好きだと思うんです。欲望が湧いてきて、それについて調べたい、と思うジャンルがあるのはとても幸せなことですよね」