自然に寄り添い生まれた
日本人の美意識
「日本で働くと決めた当初は、伝統文化に関わる仕事がしたい、徒弟制度で修行がしたい、という漠然とした思いしかありませんでした。仕事を求めて求人誌をめくっていた時、造園業を見つけたのは本当に偶然です。造園ってなんだろう? と、そこで初めて知りました」
村雨辰剛さんと庭師という職業との出会いは、とても運命的なものでした。仕事を始めてかなり早い段階で、これは一生続けたい、と思ったそうです。
「日本庭園は自然の中の本質的な部分を引き出して、自然を再現しているのが素晴らしいところ。小さな庭でも壮大な自然を感じられます。一方で、西洋の庭はどちらかというと、自然を人間の手で制御しようとする感覚があるかもしれません。日本人の美意識は、自然に寄り添う中で生まれていると思うんです」
自然と触れ合う庭師の仕事は、まさに日本の伝統的な〝美〟を知るにはぴったりと言えるもの。独立してから、造園の仕事の中でも日本庭園に携わる仕事を軸に据え、さらなる探求を続けています。