Interview
#54

国際的ロボットコンテストにも出場
もの作りと映画を愛する中学3年生
好奇心が導く未来の夢

只石 倖大さんKODAI TADAISHI

もの作りを愛する中学3年生

2009年生まれ、東京都出身。現在中学3年生。幼い頃からものづくりが好きで、2018年、小学校4年生のときに、当時所属していたIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」のメンバーで結成したチームで、自律型ロボットによる国際的なロボットコンテスト「WRO(World Robot Olympiad)」に出場。日本大会にて優勝して世界大会の切符を得て、タイ・チェンマイで行われた世界大会で世界8位にまで輝く。また、大の映画好きで、現在も、映画からインスピレーションを受けたたくさんの工作と日夜向き合っている。

子どもの頃から大の工作好きだという、中学3年生の只石倖大さん。映画好きでもあり、お気に入りの『ゴーストバスターズ』に登場する捕獲装置もダンボールなどの身近な素材で制作。学んでいたプログラミングスキルを生かし、小4で国際的なロボットコンテストにチームで出場、世界8位に輝いたことも。毎日、映画のこと、何かを作ることを考えているという倖大さんから、ものを作る喜びを持ち続けること、好奇心の大切さを教えてもらいました。

どんな傑作も執着なし、
「作った後のことは考えない」

実際に背負って見せてくれた『ゴーストバスターズ』の捕獲装置は、圧巻の出来栄え。これがダンボールやプラスチックのホースなど、身近な素材で作り上げてしまったというのだから驚きです。スイッチを入れるとファンが周り、ランプも点灯するという精巧さ。

「簡単な流れはノートに書いたりするんですけど、基本的には作りながら考える、という感じです」

と、語る倖大さん。中学1年生の時に一度制作にチャレンジしたというこの捕獲装置は、当時はあまり材料などを気にせず満足のいくクオリティではなかったため、雑貨店に出向いて素材集めからこだわり、再度取り組んだそうです。大の映画好きで、映画を見ていると「あ、これはあの素材で作れそう」などとインスピレーションが湧いてくるのだとか。

「Twitterとかにアップすると嫌がるんですよ」と、笑いながらちょっと悔しそうな父・昌幸さん。そして母・ふくみさんによると、「だんだん制作の技術がレベルアップしているから、過去のものが残るのが嫌みたいですよ」とのこと。
当の本人は「作ったあとのことはまぁ・・・・あんまり考えてないっていうか」とケロリ。「写真撮ったりとか、後から自分で作ったものを振り返ったりとかは、全くないです(笑)」

只石 倖大さんイメージ

注目されるもの作りの
才能と技術

作品を作って誰かに見せたいわけではなく、作ることそのものが純粋に楽しい、という倖大さん。幼い頃からレゴや工作に熱中し、これまで生み出してきた創作物は数え切れないほど。

2018年、当時通っていたIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」のメンバーで結成したチームで「WRO」に出場。廃棄される食料をフリーズドライにし、飴に加工するロボットのプレゼンテーションで、世界8位という成績も残しました。

しかし、翌2019年には日本での予選で敗退。リベンジへの準備を重ねていたものの、2020年にはコロナ禍で大会そのものが開催されませんでした。そのため、その年は、メンバーで話し合いながらそれぞれが〝コロナ撃退〟ロボットを制作し、取材を受けるなど注目されます。倖大さんが手掛けたのは「靴を自動で除菌するロボット」でした。

「プログラミングも、造形物をつくるのも、両方好き。1人で熱中して作業をするのも、チームで協力しながらものを作るのも好きです。だから、WROは本当に楽しかったです」

只石 倖大さんイメージ

学校の登下校でも
映画や工作の空想

映画はお父さんの影響もあったそうですが、今は倖大さんのほうが断然詳しいようす。マーベル作品のように世界中を席巻する話題作から、知る人ぞ知るニッチな作品まで、特にジャンルにはこだわらずに見るのだそう。

「家族で旅行に行く、みたいな話になっても、僕は家で映画を観ていたいです・・・・(笑)。休みの日は、少しでも時間があったらスマホをぼんやり見ているよりも映画を観たいですし、その映画について調べてみるほうが断然勉強になります」

学校の登下校は、片道30分。その間にも映画のことや、その映画からどんな工作を作るのかを考えていることが多いのだとか。もしかして、夢は映画関係の仕事?

「映画監督になりたい、っていう夢もあります。一度でいいからSFを撮ってみたい。でもキャリアの一番最初の方でいきなりSFっていうのはないと思いますから、時間はかかるはずです。映画監督というのも、まだ絶対と決めているわけではないですが、映画関係の仕事は、やっぱりすごく楽しそうだと思います。具体的な進路とか、大学の方向性とかも考えていなくて・・・・アート系も楽しそうだなと思うんですけど、今、純粋な『好き』という気持ちでやっているもの作りを、学問としてあえて『学ぶ』っていうのは、自分に合っているのかちょっと不安」

只石 倖大さんイメージ

「自分は大したことないな、
と感じてほしい」という父の思い

大人顔負けの造形物で才能を発揮する倖大さんですが、進路に悩む様子は等身大の中学3年生。いろんな可能性を模索中です。昨年の夏休みには制作会社に体験学習として在籍し、Adobe Illustratorを使ってのデザインを学んだこともあったのだとか。

さしあたって高校については、「スイスの学校に興味があって」とはにかみながら教えてくれました。会社を経営する実業家の父・昌幸さんは、その息子の進路志望について、「海外に出て世界基準で自分の実力を知り、評価される場に身を置いてほしい。それを息子に伝えたら、たまたま彼がすごくスキーが好きで、スイスの学校ではそれが2ヶ月も3ヶ月もできるっていうのを聞いて、そっちに興味を持っちゃった(笑)」

そんな下心もありつつ、全く新しい環境で学べること、さまざまな体験を得られることには期待を膨らませています。

只石 倖大さんイメージ

いろんな人を巻き込める
リーダー的な人間になりたい

会社を経営する父と、写真家の母。そんな2人の背中を見ながら育った倖大さんは、受けた影響についてこう語ってくれました。

「尊敬しているところは結構あります。基本的なことですけど、毎日ちゃんと、コツコツ努力することとか。2人とも好きなことに集中して仕事をしているのがすごくかっこいいなと思う。だから、将来は起業するのもちょっと興味あります。それは多分、2人の影響だと思うんですけど・・・・

「親に気を遣わなくていいからな(笑)」と口を挟んだお父さんは、でも、やっぱりちょっと嬉しそう。

まだまだ、どんな職業に就くか、可能性は無限大の年齢。「何をするか」は見えていなくても、「どう生きるか」ということには、すでにイメージがあるようです。

「なんか、誰かに言われて何かをやるっていうよりかは、リーダーになれるように目指したい。自分から『こうしよう』って積極的に提案して、いろんな人を巻き込みながら一緒に何かに取り組んでいくイメージ。将来はそんな人間になりたいです」

只石 倖大さんイメージ
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