自分のやることが誰かの
役に立つことを実感したいと転職
溝渕さんたちの作るヴィーガンクッキーは、「これがヴィーガン?」と思うほど、しっとりとして、コクのある甘みと素材のおいしさが際立つスイーツ。ヴィーガン好きはもちろん、幅広くスイーツ好きの間でも人気沸騰中です。大きくてアメリカンなクッキーやマフィン、焼き菓子がお店にずらりと並んでいると、どれにしようかと、あれこれ迷ってしまいます。
こだわりのヴィーガンベーカリーブランド「ovgo B.A.K.E.R Edo St.」オーナーの溝渕由樹さんは、なぜヴィーガンクッキーに取り組んだのでしょう。
「はじめは、ヴィーガンクッキーを仕事にしようなんて、ちっとも思っていなかったんです。発展途上国の支援に興味があって商社に勤務しました。ですが、大きな組織だったので自分のやっていることが誰かの役に立っているという実感が、なかなか持てなかった。自分の好きなことや得意なことを考えたら、食べることやスイーツを作ることだったので、そういうことにも関わっていきたいなぁと思っていました」
それを叶えるべく、会社を辞めたタイミングで、いつか自分で何かを始めるためのネタを探したいと、2カ月間、ブラジルやアメリカを旅したと言います。
「そのときに、初めてヴィーガンやプラントベース(植物性)の焼き菓子と出会ったんです。健康に良いだけでなく、動物愛護の観点で食をとらえてみるとか、プラントベースの食品は環境負荷が低いことなどを知りました。たとえば畜産では、エサとなる穀物が多く必要で、もしも、その穀物を人間が食べればたくさんの人が飢餓から救われるということを知り、プラントベースは食糧問題とも密接につながっているんだって学んだのです」
ヴィーガンやプラントベースを選ぶという選択が体への影響だけでなく、もっと広い視野で人の役に立つことを実感したという溝渕さん。帰国後、自然な流れでヴィーガンのお菓子作りに取り組んでみたいと思えたそうです。