カッコいい農家たちが
教えてくれたこと
2017年、井本さんは全国の面白い農家を紹介するウェブマガジンを配信するためThe CAMPusの事業をスタートさせました。The CAMPusが提唱するのは「農」という文化的価値。商いである農業と、豊かなくらしが調和している状態を指します。野菜や穀物、果物だけでなく、畜産や、田畑と密
接に関わる林業の領域もカバーして事業に取り入れています。
井本さんは「楽しそうで、カッコよくて、健康的で、儲かっている」農家を巡り、取材を重ねるうちに「コンパクト」というキーワードを見出しました。
「農地の広さのことではないんです。例えば、ある養豚家では、その地域で出た資源を回収して豚の餌にしています。さらに、廃棄される天ぷら油で走れるよう車を改造するなど、資源を循環させる工夫が至る所にありました。電気はソーラーパネルで自給し、ガスは契約せず薪をくべる生活を送っている。出荷する豚は月に三頭ほどですが、おいしい肉を全て直販するので利益率がいい。そういう、くらしと密接に結びついた生産の考え方がカッコよくて、『コンパクト』だと思ったんです」
現在は「コンパクト農ライフ塾」というスクール事業と、持続可能な生き方を模索する人々が集うコミュニティ事業「農オンラインサロン」も運営しています。
「農業をやりたい、というよりは、次なる生き方を模索している人たちが興味を持ってくれています。都会のビジネスパーソンが圧倒的に多いんですよ」