自分じゃない何者かになって
表現できたら
岡西さんが書道を始めたのは6歳の時。転校した際、会えなくなってしまった前の学校の友人と会えるよう、両親が書道教室に通わせてくれました。
「私は人見知りが激しい性格で、幼稚園に入った時は一ヶ月間誰とも喋らなかったそうです。あと、家に届く『ディノス』のカタログを見ながら、自分の理想の住居を空想する遊びに熱中していたような子どもでした(笑)。書道教室では、みんなが並んで正座して、机に向かって書くのですが、友人たちが周りにいながらも自分一人の世界に入っていける書道は、自分に合っていたのかなと思います」
その後、友人たちが書道教室を辞めていっても通い続け、高校在学中に師範の免許を獲得するまでに成長。しかし、高校2年生の時に見た蜷川幸雄さんの舞台「マクベス」の大竹しのぶさんの演技に圧倒され、一度は「女優になりたい」という夢を追いかけ、書道から離れていた時期もありました。
「私は自分を表現することや、コミュニケーションが本当に下手で、それが長くコンプレックスでもありました。自分じゃない何者かになって表現できたら生きていけるかもしれないと思って、のめり込んだのが演劇の世界だったんです」