Interview
#67

「1000個のおにぎりを
貧困地域に配りたい!」
14歳の中学生起業家

緒方 勇人さんYUTO OGATA

BEAR ART TOKYO創設者
中学2年生

2010年生まれ、東京都出身。幼い頃から親に連れられて世界を旅行して周り、小学2〜5年生をオランダのアムステルダムで過ごす。現在はインターナショナルスクールに通う中学2年生。学校では生徒会長を務め、部活はバスケ部、絵を描くことも好き。5歳の時に「おにぎり1000個を貧困地域に配りたい」という夢を掲げ、その資金集めのため、11歳でNFTで自身の作ったくまのキャラクターを売り出し、2024年2月、中学1年生でアート体験ができる「BEAR ART TOKYO」を創業する。
https://bearart.jp/

浅草で、世界に一つだけのオリジナルアートを作る体験を提供する「BEAR ART TOKYO」を起業した緒方勇人さんは中学2年生。5歳の時に抱いた「16歳になったらおにぎり1000個を貧困地域に配りたい」という夢の資金集めのために始めたお店だそうです。2024年2月にオープン後、軌道に乗り、毎日たくさんのお客様が訪れています。勇人さんは日々、どんな思いで夢に向き合っているのでしょうか? そして、目指している将来の自分の姿とは?

5歳の時に抱いた夢の背景には
どんな出来事が?

「小学2年生から5年生まで、語学の勉強のために家族でオランダのアムステルダムで過ごしました。今はインターナショナルスクールに通ってます」

4歳下の弟との会話は、帰国した今でも英語。家族旅行では、ドイツ、フランス、スペイン、タイ、フィリピンなどさまざまな国を巡りました。その旅の中で直面した光景が、勇人さんの『16歳になったらおにぎり1000個を貧困地域に配りたい』という夢につながっています。

「フィリピンで、弟のおしゃぶりを取っていく現地の子がいたんです。でもそれは、その子たちが悪いんじゃなくて、満たされてないからだと思った。僕はその時、ママのおにぎりが好きで、それを食べたらめちゃくちゃ元気になるので、そういうパワーをゲットできるものを、みんなに配りたいと思ったんです」

でも、なぜ「16歳まで」に「1000個」だったんでしょうか?

「5歳からしたら、16歳って完全に大人だと思ってたんです。すごく強くて、なんでもできるって。あと、その時僕が知っていた一番大きい数字が1000だったから、1000個配れたら世界中の人を全員助けられると思った。そしたら、全然違いました(笑)」

緒方 勇人さんイメージ

13歳で創業、事業計画書から
一人で作成

勇人さんは、おにぎり1000個のプロジェクトの資金集めのため、11歳でNFT(ブロックチェーン技術を活用して作られたデジタルデータ)でキャラクターを作成。それを服のブランドにして発売します。

「でも資金集めには届かなかったので、2023年ごろ、ベアのフィギュアにペイントを垂らしこむ『ベアアート』がSNSで流行っているのを見かけて、これをビジネスにしようかなと思い立ちました」

浅草のお店、「BEAR ART TOKYO」が誕生したのが2024年2月。勇人さんは13歳、中学1年生でした。現在は評判が広がり、老若男女問わず楽しめるアート体験として大人気です。

お店が入っているビルはお父さんの持ち物だそうですが、なんと両親からの出資はゼロ。勇人さんはお年玉と服のブランドの収益を資金にあて、自分で事業計画書を作成しました。

「YouTubeの情報とか、Chat GPTにも助けを借りながら、収支とか、在庫管理の方法なんかも全部調べたんです。僕は英語の方が得意なので、英語でまずは全部作って、日本語への翻訳はお母さんに手伝ってもらいました。もちろん、毎月家賃も払ってます(笑)。お父さんとお母さんからは、愛情しかもらってないかな。めっちゃ優しくて、褒めてくれる。感謝してます。本当にリスペクトしかしてないです」

緒方 勇人さんイメージ

「楽しかったな」と
思ってもらえるように

今、勇人さんは中学2年生、14歳。学校に行っている間はスタッフさんとお母さんがお店を手伝っています。ちなみにお母さんは「おにぎり1000個のプロジェクトが達成されるまでは人件費はいいよ」と言ってくれているそう。

お店のお休みは水曜日だけ。勇人さんは、学校が終わると、所属しているバスケ部の活動がない日は放課後お店に立ち、接客をする日々です。宿題をやる時間がなく、休み時間に全部済ませています。

「大体、月に100人くらいご利用いただいてます。予約がGmailに来るのですが、それをスマホで受信した瞬間がめちゃくちゃ嬉しい。毎回、ありがとうございます、って思います。本やセミナーで『三方よし』っていうのを知って、大切に意識していこうかなと思って。今は四方よし、五方よしっていうんですよね」

接客の時には日本語の敬語に苦戦しつつも「お客様に、楽しかったなって思ってもらいたい」という気持ちでお店に立ちます。

「僕の夢の話をすると、このお店でよかった、って言ってくれる方がいてうれしい。以前、僕のことをテレビで見たというご夫婦が、結婚20周年の記念に一番おっきいくまさんを作ってくれました。九州から来た87歳の方が、看板を見かけてお店にいらしたこともあって、作ってくれたアートはめっちゃかっこよかった!」

緒方 勇人さんイメージ
緒方 勇人さんイメージ
緒方 勇人さんイメージ

お客様から「副社長」と
呼ばれている弟の存在

学業に加えて、部活、経営、接客もこなし、忙しい毎日を送る勇人さん。バスケも好きだそうですが、仕事の方が楽しいそう。

「あとは、弟と遊ぶのも楽しいです。めっちゃ仕事を手伝ってくれます。ベアアートを作ってる時に、もうちょっとこういうふうに変えた方がいいよ、ってアドバイスくれたりとか」

弟さんは兄の勇人さんから影響を受けているのでは、と聞くと、「どうだろう、起業したのは弟の方が早かったから」と衝撃の事実が発覚。

「弟はオランダにいた6歳の時に服のブランドを作って、一ヶ月で60枚くらい売ったんです。お年玉を資金にしてました。でも値段設定をミスって、50円赤字が出てた(笑)。今は計算がすごく得意で、めちゃくちゃ頭いいんで、在庫管理とかもアドバイスくれるんです。お客様からは『副社長』って呼ばれてます(笑)」

兄弟揃って幼い頃からビジネスを! と、驚いてしまいますが・・・・

「ビジネスって感じはあんまりないんです。夢のために自分がしたいことをやってたら、こうなっちゃった。ありがたいことに、おにぎり1000個の目標は、16歳になる前に達成できそうなんですよ」

緒方 勇人さんイメージ

感謝をずっとしていられる
人間になりたい

そして、おにぎりを配る夢では、なんとお米と海苔を一から自分で作るというこだわり。お客様のつながりで九州の農家さんを繋いでもらい、稲刈りを経験し、有明海で海苔の種付けもしてきたそう。来年5月にはいよいよこのプロジェクト用のお米作りのため田植えを行う予定です。

「お米や海苔の輸出ができる国が限られているので、おにぎりを配る場所は検討中です。やっぱり、無添加で作りたての美味しいおにぎりを配りたい。自分で原料を作って、現地に行って、そこでお米を炊いて配ります!」

16歳は大人ではないし、1000よりもずっと大きい数字があると知った今、勇人さんがこれから歩む道が気になるところ。

「まずはおにぎりのプロジェクトを達成してから、次を考えようかなと思ってます。ベアアートの会社は目標が達成されたらバイアウトするかもしれません。将来の夢は、今考え中です。でも、ビジネスはやっぱり学びたくて、アメリカの大学を目指したいです。スタンフォードとか、ハーバードに行けたら嬉しい」

グローバルに活躍する将来が楽しみです。その時、どんな大人になっていたい?

「やっぱり、感謝無くしては絶対にうまくいかないと思います。感謝をずっとしていられる人間になりたいですね」

緒方 勇人さんイメージ
緒方 勇人さんイメージ
緒方 勇人 Everything Has A Story
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