Interview
#04

〝サウナ師匠〟
心と体が「ととのう」
サウナの多幸感を
みんなにもっと知ってもらいたい

秋山 大輔さんDAISUKE AKIYAMA

TTNE株式会社
サウナ師匠

1978年、東京都生まれ。複数のイベント会社を経て起業、現在はファッションやエンタメなどを中心に多数のイベントプロデュースを手掛けると同時に、10カ国40ものサウナスポットを回る北欧サウナツアーや、ニューヨークのスタイリッシュサウナを巡る旅などを企画。日本最大のサウナフェス「SAUNA FES JAPAN」の企画運営やサウナー専門のブランド「TTNE」を立ち上げ、サウナの普及でも日々楽しく汗をかいている。
https://ttne.jp/

「年間500回はサウナに入る」と公言する秋山さん。「サウナ師匠」の名で近年のサウナブームをけん引し、多くの人たちに「フィンランド式サウナ」の魅力や新しいサウナの楽しみ方を広めています。日本の新たなサウナカルチャーを全世界に発信したいと奔走する秋山さんにお話を聞きました。

高校時代に感覚で覚えた
サウナの気持ちよさ

満面の笑顔でサウナについて熱く語る秋山さん。日本のみならず、世界のサウナを巡ってきた秋山さんですが、サウナとの出合いは、いつ頃だったのでしょう。

「私がサウナと出合ったのは、高校生のときでした。サッカー少年で毎日部活動に明け暮れていて、夏は汗びっしょりになって練習していました。部活が終わると灼熱の中、一生懸命自転車をこいで温浴施設へ。そこには水風呂があってアイシング的に入っていたのですが、水風呂で体が冷えると今度はサウナで温めて、また熱くなったら水風呂に入る。そこから自転車に乗って帰ると、火照った体に風がすっごく気持ちよかった。自然と、水風呂→サウナ→外気浴というルーティンになっていました。今と逆なんですけどね(笑)」

サウナでのととのえ方を、高校生の時に感覚で覚えてしまったという秋山さん。その後、社会人になり、勤務したイベント会社であまりの激務に自律神経のバランスを崩してしまい、その不調を救ってくれたのがサウナだったと言います。

「仕事に向き合えず、結構追い詰められていました。上司も心配してくれて、少し休みをもらって休養したんですが、その時に救ってくれたのがサウナでした。サウナに入ってデトックスをしてから水風呂に入ると頭も体もシャキッとする。それを2カ月くらい続けていたら仕事に復帰できるまでに体調が回復しました。そのあとは業務にも集中できたし、その会社で社長賞を受賞したりと活躍できて。それもこれも、みんなサウナのおかげ。だから、サウナの良さをみんなにももっと知ってもらいたいと思って、サウナの魅力や楽しみ方を広める『サウナ師匠』としての活動をしているんです」

秋山 大輔さんイメージ
秋山 大輔さんイメージ

「フィンランド式サウナ」を
家族でたのしむ喜び

秋山さんが愛してやまない「フィンランド式サウナ」は、ストーブの上に石をのせて熱し、そこに水をかけて優しい蒸気がふわーっと室内に立ち込める蒸気浴スタイル。熱くなったらそのまま水風呂やプールにドボーンと浸かり、外の空気にあたって休む、これを何回か繰り返して、心と体をととのえるそうです。

「昔日本で主流だったドライサウナは、部屋全体を100℃くらいにするので、ある意味乾燥機に入っているようなものでした。一方、『フィンランド式サウナ』は熱い蒸気は上に溜まりますから、サウナの本場フィンランドの人たちは、上段にはお父さん、中段にはお母さん、下段には子ども、床には犬なんかもいたりして、家族みんなでサウナを楽しむんです。うちも、私が週末東京にいるときは、家族でキャンプ場に行ったり、6歳の息子は仕事としてのサウナのロケハン(下見)にも一緒に同行します。そういう時は、私のことを『サウナ師匠』と呼ぶんですよ(笑)。子どもは2歳の時にサウナデビューしてから、全国のサウナを満喫しています。やっぱり家族でサウナを楽しめるのはうれしいですよね」

秋山 大輔さんイメージ

「ととのう」ことで
モノの本質を見極められる

秋山さんによると、サウナの魅力でもあり、〝すごさ〟の一つが、「ととのう」ことで五感が研ぎ澄まされる、ということ。例えば料理をおいしく食べられたり、服の素材の柔らかさを肌で感じられたり、モノの本質が見極められるようになるのだそうです。
「サウナに入るとすごく気持ちが前向きになれて、多幸感に包まれます。そして、人にやさしくできるようになるんです。サウナは座っていれば勝手に自分がゾーンに入っていく感じで、体はリラックスしていても集中力は高まって、自分のポテンシャルが一番高い状態になるんです。サウナで『ととのう』とよく言っていますが、これは〝整う〟からきていて、自分では〝元気〟と同じ表現だと思っているんです。〝元の気に戻る〟って感じで、本来自分があるべきポテンシャルに戻るということなんです」

サウナがこの上ない幸せを醸し出してくれるという秋山さん。

「おいしいものを食べに行く時には、必ずサウナに入ってから向かいます。自分をととのえて行かないともったいないですから。たとえば、食事の評価サイトで4.5の高評価店があるとします。でも、もし自分が2.0の状態で行ったら4.5の良さは感じることができません。自分も4.5の状態になって、その店と向き合うことで最高のものが味わえるわけです。要は、自分の状態が良くなければ本当に〝おいしい〟とか〝幸せ〟って感じられないということなんですよ」

幸せは、自分の状態が良くなければ感じることができない、そのために自分をととのえる、というのが秋山さんの流儀です。

秋山 大輔さんイメージ
秋山 大輔さんイメージ
秋山 大輔さんイメージ

日本のサウナカルチャーを
世界へ広めたい

元々いろんなことに興味があって、若いころからたくさんのことに携わってきたという秋山さん。「以前は、サウナが趣味と言っていましたが、今ではそれが仕事にもなってしまって。趣味を失ってしまったから、またいろんなことに挑戦していこうと思っています。千葉・一宮にショールームを兼ねた会社の施設があるんですが、そこを起点に学生時代にやっていたサーフィンやゴルフもまた始めました。でも、冬のサーフィンやゴルフの後に体が冷えるからサウナがあったらいいよねとか、結局はサウナにつながってしまう(笑)。サウナは仕事でもありますが、やはり僕にとって欠かせない生活の要素なんですよね」

おどけながらも、サウナ愛を優しく、そして楽しげに語る秋山さんにこれからの夢を伺いました。

「サウナの良さをもっと知ってもらいたいので、いろんなアプローチをしていこうと思っています。サウナがもたらす健康効果や作用も科学的根拠や数値にもとづいてきちん整備しようと、大学の先生や研究機関と連携してサウナ学会を立ち上げました。そして、今まで海外のコンテンツを日本に紹介する仕事が多かったけど、今度は『ととのう』という日本のサウナカルチャーを世界へ広めていきたいですね」。立ち上げたサウナー専門ブランド「TTNE」もその一つ。これはもちろん「ととのえ」からきたネーミングで、タグには「MADE IN SAUNA」の文字。「サウナで話し合ってできたブランドだからね(笑)」。

そんな遊びもサウナで生まれた心の余裕からかもしれません。

「それから、リビングに置ける1人用サウナの開発なんかもしています。もうほぼ完成形なんですが、それがあれば家族団らんの最中だって気軽にサウナに入れたりして、最高じゃないですか!これからは自宅にもサウナがあるのが〝普通〟な世の中にしていきたいですね。最終的にはサウナで世界中のひとたちを『ととのえ』られたら嬉しいな」

秋山 大輔さんイメージ
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