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専門家「風景」をつくるガーデニング術

僕のおススメのバラ園・関東編

居場英則

2018年がスタートしました。

こちらでブログ記事を書かせていただくようになり、早2年が過ぎましたが、今年も引き続きこちらで

ブログ記事を書かせていただくことになりました。

改めて、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


さて、今年のブログ記事ですが、何か一年を通して共通したテーマを決めて、

連載記事を書かせていただこうということになりました。

そこで、今年は、「僕のおススメの〇〇〇」というテーマを設定して、書いていこうと思っています。


前置きが長くなりましたが、今年第1回目と2回目は、「ボクのおススメのバラ園」と題して、

第1回目は「関東編」、来月の第2回目は「関西編」と、2回に分けて書かせていただこうと思います。


第1回目の今回は、「僕のおススメのバラ園・関東編」です。

関東編といいましても、関西在住の僕の場合、関東にあるバラ園のほんの少ししか行ったことがなく、

その限られた中からのおススメになりますが、特に印象的だった以下の3つのバラ園について、

写真を交えて簡単に紹介したいと思います。



■ 京成バラ園(千葉県八千代市)


言わずと知れた、日本バラ界の聖地と言っても過言ではない、日本を代表するバラ園です。

読者の皆さんの多くも一度は足を運ばれたことがあるのではないでしょうか?

「ミスターローズ」と称される鈴木省三氏が、かつて所長を務めたことでも有名で、

1500品種1万株を擁する広大な敷地は、まさにバラの展示場のようです。

京成バラ園で見るべきは、「バラが織りなす、群(ぐん)となる風景」。


● 背丈ほどもあるバラの海

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広大な敷地に広がる京成バラ園の魅力を数枚の写真で紹介するのは困難ですが、

関西在住の僕が、まず圧倒されたのが、こちらの風景。

木立性やシュラブのバラが人の背丈ほどの高さまで豪快に咲いている様。

関西のバラ園の多くは、強めの剪定により、人の目の高さで咲かせることが多く、

これほどまでに巨大化しているバラは、なかなか関西のバラ園ではお目にかかれません。

(関東と関西では、バラが植わっている土壌の違いも大きく影響しているようですが。)


● 修景バラも見事な風景をつくる

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こちらは、ケアフリー・ワンダーという京成バラ園芸が取り扱っている「修景バラ」。

修景バラというと、耐病性が強く、良く咲く半面、面白みに欠けるというイメージだったのですが、

京成バラ園で見る修景バラは、どれも美しく、多花性で、「群としての風景をつくれる」バラとして

とても有効だと、認識を改めました。

僕は今、自宅ガーデン以外にも、里山風景の中につくるバラ園や地元の病院の庭づくりにも関わっているのですが、

そういう広大な空間で、「修景バラ」を効果的に活用するのが良さそうだなと思っています。


● 大きなフェンスを埋め尽くすように咲く、ルージュ・ピエール・ド・ロンサール

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こちらは、バラ園の出入り口付近にある、大型のつるバラ、ルージュ・ピエール・ド・ロンサールの壁面誘引。

ルージュ・ピエールは、我が家の庭でも育てているバラなのですが、このバラは直立樹形で、

横に広がる大きな壁面を覆うのがとても難しいバラだと感じています。

それが、ここ京成バラ園では、一株でこんなにも大きな壁面をカバーしているのを見て、唖然としました。

写真からは、誘引の様子は分かりませんが、きっと大きな壁面で咲かせるテクニックがあるはずです。

是非、いつか冬の誘引の様子も見てみたいと思っています。


● オールドローズの仕立て方も素晴らしい

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こちらは、バラ園の一番奥の方にある、オールドローズゾーンで見かけたバラで、

原種系のバラで、ロサ・ムルティフローラ。

僕が京成バラ園を訪問したのは、3年前の5月中旬だったのですが、この日はとても暑い一日でした。

ふと見ると、この原種バラが開帳型に枝を伸ばした洞窟のような場所に、

木陰を求めて涼をとっている方がいらしたので、思わずカメラを向けて撮影した一枚です。

このような美しい仕立てをされたオールドローズを見たのは初めてで、とても印象的でした。

京成バラ園では、オールドローズの仕立て方についてもとても勉強になると思います。


● バラ以外にも魅力的な植物がいっぱい

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こちらは、温室の横で見かけた植物で、アメリカフジ、

別名、アメジスト・フォールと呼ばれているフジです。

併設する園芸ショップの店員さんにお聞きすると、日本のフジの木と違って、

あまり大きくならないそうで、一般の家庭にも植えやすいとのことでした。

ブドウの房のようにコロンとした花は、とても可愛らしく、

オレンジや黄色のバラとの相性も良さげでした。

早速手に入れ、我が家の庭でも、育てています。


京成バラ園では、どのバラも本当に大きく育っていて、

バラのポテンシャルを余すとこなく引き出しているように感じました。



■ 横浜イングリッシュガーデン(神奈川県横浜市)


横浜の中心部に位置する住宅展示場に併設されたバラ園で、横浜駅からシャトルバスも運行しており、

とても交通アクセスの良い場所にあるバラ園です。

横浜イングリッシュガーデンの最大の魅力は、様々なバラの色彩の合わせ方の美しさだと思います。

スーパーバイザーとして、育種家の河合伸志さんがガーデンのデザイン監修をされておられ、

河合さんの世界観が見事に表現されたバラ園だと思います。

横浜イングリッシュガーデンで見るべきは、「配色の妙」。


● 何重にも連なるローズトンネル

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横浜イングリッシュガーデンに行けば、まず目に飛び込んで来るのが、このローズトンネル。

大きなアーチに美しい配色のランブラー系の小輪多花性につるバラが誘引されています。

色の合わせ方が絶妙なのはもちろん、トンネルの中が暗くならないように、光を通すよう枝を透かしながら

誘引しているあたりも見事です。


● 4つのガーデンルーム形式の庭

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ローズトンネルを抜けると道の両側の4つのガーデンルームが配置されています。

それぞれに、テーマが設定されており、そのテーマに沿ったバラやクレマチス、宿根草等の品種が選ばれています。

写真は、その中のひとつ、ローズ&ペレニアルガーデン。

白バラを主役に、白い花の宿根草などが組み合わされたホワイトガーデンです。

単調にならない、きめ細やかな植栽がされています。


● 色とりどりのローズ&シュラブガーデン

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4つのガーデンルームを抜けた一番奥には、広大な庭空間が広がっています。

黄色、オレンジ、ラベンダーなど7色のバラを主役に、灌木や宿根草、一年草など、

多才な植栽の組み合わせが見事なガーデンです。

個性的な花色がいくつも重なり合っても見事に調和させる、河合さんのデザイン力に脱帽します。

それほど美しいガーデンです。


● つるバラとクレマチスの競演も素晴らしい

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僕は、つるバラが作る風景にとても関心があるので、ついつい見てしまうのですが、

4つのガーデンルームの外側にある壁面。

ここには、さまざまなつるバラが誘引されています。

そして、そのつるバラに合わせるようにクレマチスも誘引されています。

写真は、淡いピンクの一重のつるバラ、バレリーナと、その淡いピンクに絡ませてある

淡い紫色のクレマチスで、プリンス・チャールズ。

横浜イングリッシュガーデンでは、つるバラとクレマチスの合わせ方も

とても勉強になると思います。


● つるバラの誘引も見事

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横浜イングリッシュガーデンで、もうひとつおススメは、冬のつるバラ誘引です。

写真は、早春の3月に訪れた時のものですが、木目の美しい板塀を背景にして、つるバラが誘引されていました。

写真は、サンセット・グロウ。

限られたスペースに納まるように、美しい樹形で誘引されています。

自宅以外では、冬場のつるバラの誘引の様子を見る機会もないと思いますが、ここ横浜イングリッシュガーデンの

つるバラ誘引は、本当に美しく、大変刺激を受けること間違いなしです。



■ 東武トレジャーガーデン(群馬県館林市)


育種家の河合伸志さんがデザインされた横浜イングリッシュガーデンの素晴らしさに感銘を受け、

同じ河合さんがデザインされたガーデンがあると出かけたのが、群馬県館林市にある東武トレジャーガーデン。

おとぎ話「分福茶釜」ゆかりの茂林寺が近いことから、「シェアリング・ハピネス」という名前のバラを

河合さんが育種し、このガーデンのシンボルローズになっているそうです。

東武トレジャーガーデンで見るべきは、「整理されたランドスケープ(様式美)」。


● 見事なピエール・ド・ロンサールのゲート

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東武トレジャーガーデンに入り、まず正面に見えるのがこちらの風景。

石造りのゲートとアーチに誘引されているつるバラは、ピエール・ド・ロンサール。

「一家に一本」と呼ばれるくらい日本では普及している名花ですが、その美しさ故、

結構、好き嫌いが分かれるバラですね。(我が家にもありますが...汗)

どのバラ園にも必ずあるこのバラをこれだけ美しく見せている壁面はなかなか見かけません。

それほど美しい風景に、まず、度肝を抜かれました。


● 煉瓦づくりの建物とバラが調和する風景

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東武トレジャーガーデン内の建物は、煉瓦づくりの美しいスカイラインを持つ建物が多いです。

写真は、入口付近の受付、チケット売場の建物です。

その煉瓦づくりの建物を背景にして、ガーデンでは、色とりどりのバラの花が咲いていました。

あくまでも主役はバラの花ですが、背景となる建物がより一層、花の美しさを引き立てていると思います。

バラ園では、植栽のみならず、建物との調和がとても重要という好例だと思います。


● ポールズ・ヒマラヤン・ムスクのトンネル

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東武トレジャーガーデンのもうひとつの見所は、この大型のつるバラ、ポールズ・ヒマラヤン・ムスクのみを

誘引している巨大なアーチ。

訪れた時は、遅咲きのポールズはまだ開花し始めたばかりで残念でした。

このトンネルが淡い桜色に染まる様子を、是非いつか見てみたいと思います。

アーチの足元には、ギボウシなど、グリーンの葉が美しい宿根草が植えられ、白と緑色のシンプルな空間。

この奥に広がる多彩な色合いのガーデンとの対比がとても見事でした。


● 円形の壁の内と外に続く、バラの庭

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ポールズ・ヒマラヤン・ムスクのトンネルを抜けると、煉瓦づくりの円形の壁(写真右側)が続く

ガーデンになっています。

この壁の内側には、水辺のある庭、壁の外側には回廊のような花壇が連なり、2つの異なる風景を作っています。

緩やかにカーブする道をぐるっと一周する中で、次々と風景が変化し、バラの旅をした気分になります。

幾何学的につくられたランドスケープは、とても美しく印象深いものでした。


● バラだけではない季節毎の草花も美しいランドスケープ

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8万平米という広大な敷地を有する東武トレジャーガーデンは、バラだけではありません。

芝桜やモネフィラ、ラベンダー、バーベナ、ダリア、コスモスなど、四季折々の草花が、

広大な敷地に美しく配置されています。

僕が訪れた時は、真っ赤なポピーが咲き乱れていました。

このような素朴なガーデン風景も、東武トレジャーガーデンの魅力ではないでしょうか?


東京都心部から、電車を乗り継いで2時間近く掛かって、ようやく辿り着いたガーデンですが、

とても満足感のあるガーデンでした。



如何でしたでしょうか?

数少ない、僕の関東バラ園巡りの中から、特に印象的だったバラ園を3つご紹介しました。

限られた誌面の中で、魅力の全てを紹介しきれないのが残念です。

関東在住の方からすると、もうご存知の内容ばかりだったかもしれませんが、関東以外にお住まいの方が、

関東方面にご旅行されたついでに立ち寄られる場合の参考にしていただけたら幸いです。

僕も、毎年5月に開催されている「国際バラとガーデニングショー」を見に行ったついでに訪れました。


次回は、ボクの地元、関西のオススメのバラ園をご紹介します。

乞うご期待。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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