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専門家「風景」をつくるガーデニング術

赤塚シャクナゲガーデン(三重県津市)2024・後編(品種編)

居場英則

ひとつ前に記事で、僕が特に気に入っているガーデン、三重県津市にある「赤塚シャクナゲガーデン」を

ご紹介いたしました。

前編では、赤塚シャクナゲガーデンの独特の風景の魅力を、ランドスケープ的な視点でご紹介しましたが、

今回の後編では、赤塚植物園さんが作出している、様々なシャクナゲのオリジナル品種をご紹介したいと思います。

赤塚植物園さんでは、1981年から、シャクナゲのオリジナル交配を始め、数々の品種を生み出してきたそうです。

本来は、高山性せあるシャクナゲを日本の低地でも適応するような品種改良をされています。

もちろん、丈夫で環境適応するだけでなく、見た目にも美しい品種をたくさん作出されています。


■ウェディングブーケ

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赤塚植物園のシャクナゲといえば、まずこの品種の名前が挙がるほど、代表的で美しい品種です。

こちらは、まだ濃いピンクの蕾も残りつつ、房咲きの外側は淡いピンク色に広がっている

一番美しいタイミングの様子です。

なかなかここまでエレガントなシャクナゲは他にないのではないでしょうか?

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引きで見るとこんな感じ。

周囲で咲く他のシャクナゲとは圧倒的に違う、この美しさ。

園内でも際立っていました。

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花のアップです。

赤塚植物園の公式HPでの、この品種の解説によると、「蕾はピンクに色づき、開花すると淡いピンク、

満開時には白色になる。非常に花付きが良く育てやすい。赤塚植物園イチオシの品種」とのことです。

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ひとつの房にフォーカスしてます。

このピンクのグラデーションが、本当に美しいです。

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葉っぱも、小ぶりで細長く、控えめなところが良いです。

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何度見ても美しい、そんな品種がウェディングブーケです。


■ジョイフルデー

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こちらも、園内のいたるところに植栽されている代表的な品種で、「ジョイフルデー」。

特徴的な藤紫色の花が、とてもシックで艶やかな出で立ちです。

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斜め横からのアングルです。

花付きが良く、とても目を惹きます。

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解説によると、「咲き始めは鮮明な藤紫色で、開花後は淡い藤桃色になる中輪花をドーム型の花房に咲かせる。

花付きが良く、育てやすい品種。4月中旬から下旬に開花する。」とのことです。

花弁の半分に、濃い赤紫色の斑点(ブロッチ)が入るのも特徴的です。


■ミセスフジイ

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こちらは、開花期が早めなのか、もう満開を通り過ぎて散り始めていますが、

とてもボリュームのある咲き方をする、「ミセスフジイ」という有名な品種。

透明感のあるピンク色をした花が、大きな房となって咲いています。

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解説によると、「濃いピンクの縁取りになる美しい中輪花で、ふんわりとして大きな花房になる。

丸みを帯びた光沢のある葉は美しく、木はこんもりと茂るので、鉢でも庭でも楽しめる。

非常に丈夫で成長も早いのが特徴。花付きも良く、毎年たくさんの花が楽しめる。4月上中旬頃に開花。」

とのことです。


■太陽

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こちらも、園内のそこかしこに植栽されている品種のシャクナゲで、「太陽」。

おそらく、園内で一番多く植栽されている品種だと思います。

単色のローズピンクの花色がとても特徴的です。

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こんもりと、とても大株に育ちます。

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特に、高さを出したい場所、より立体的に花を咲かせたい場所に、

この「太陽」という品種のシャクナゲが植栽されています。

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こちらは、売店コーナーを取り囲む生垣ですが、高さ5mくらいはあるでしょうか?

とても大きく育つ品種です。

しかも開花期には、花で埋め尽くされるため、素敵な風景も作ってくれます。

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赤塚シャクナゲげーでんは、県道10号線に面しているのですが、

その県道沿いの周囲約500m分かって、この太陽といいう品種が植栽され、

大きな生垣のように育っています。

このあたりは、枝も剪定されているためか、葉が少なく、

ほとんどが花のように見えます。

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解説によると、「ローズピンクの中輪花で、半球状の花房をつくる。

暑さにとても強く、成長も早い超剛健種。若木のうちは花付きが悪いが、

成木になると花付きはとても良くなる。庭植え向き。4月上旬頃開花」とのこと。

■ビビアニ

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こちらは、濃いマットな質感の赤い花を咲かせる、「ビビアニ」という品種。

葉っぱも大きめで、葉と花のコンビネーションが特徴的な品種です。

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こちらは、花のアップ。

「色飽和」してしまい、なかなか写真で表現するのが難しい赤色です。

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園内では、このような感じで咲いていて、少し古いイメージですが、

インパクトはあります。


■ネリアーブレッド

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こちらは、引きの写真を撮っていなかったので、

花のアップの写真しかありませんが、先ほどと同じ赤い花のシャクナゲですが、

同じ赤でも、こちらは少し透明感はある赤色です。

解説によると、「濃紅色の中輪花がボール状の見事な花房を作り、

濃緑色の葉色に映えて大変美しい。散り際まで花色が退色せず、見事な色を保つ。

暑さに強い大型品種で、若木のうちは花付が悪いが成木になると花付きは

とても良くなる。4月上中旬頃開花。」とのこと。


■マダムマッソン

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こちらも、赤系の花を咲かせる品種で、「マダムマッソン」。

赤系のシャクナゲは似ていて、なかなか見分けが難しいです。

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高木の脇から、手前に顔をのぞかせています。

葉が丸みを帯びて大きいのが特徴です。


■チアガール

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こちらも、花のアップだけなのですが、「チアガール」という品種。

解説によると、「明るく鮮明なピンクで、派手なブロッチが良く目立つ花を纏い、ピラミッド状の花房に咲かせる。

幹は太くガッチリと育ち、上を向いて咲く。早咲き品種。」とのこと。

■以下、品種不明のシャクナゲ

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園内には、いくつもの品種名がついていないシャクナゲも植えられている。

品種改良の中で、何らかの理由で商品化されなかったものなどがあるようです。

それらの品種も園内に植えられて、大きく育っています。

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このシャクナゲも、花色も美しいし、多花性で、とても好みなのですが、

一般には販売されていないシャクナゲなのです。

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両脇のシャクナゲが、まっだ開花したばかり(左:ウェディングブーケ)、もしくはまだ蕾が固い状態の中で、

この真ん中のシャクナゲは、満開を迎えています。

同じシャクナゲでも、結構、花期に違いが出るようです。

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こちらも、品種名がついていないシャクナゲでした。

まだ株は小さいですが、美しい桜色の花が咲いていました。

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花のアップです。

上品な淡い桜色が、とても美しく、品がある「和を感じる」シャクナゲです。

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シャクナゲ園には、シャクナゲの苗を販売するショップが併設されています。

ここからは、そのショップで苗の販売がされていた品種の中で、特に目を惹いた品種を紹介したいと思います。


■大岳

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こちらは、「大岳」という新品種のようです。

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とてもシルキーな赤い花が特徴的です。

名付けられた品種名からも、火山から流れ出す溶岩のイメージなのかなと思います。


■ピンクダイヤモンド

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こちらも、赤塚オリジナル品種で、「ピンクダイヤモンド」。

「世界で一つだけの花」というキャッチフレーズが付いています。

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解説によると、「2022年初開花。ローズピンク底白覆輪小輪で、30輪以上が大きなドーム状の花房を作る。

極矮性で面白い。ブラックルビーにアトラスを掛け、大型になる赤花を期待していたが、良い意味で裏切られた。

しかしメリクロンが難しく、量産は無理かもしれない。」とのこと。

矮性ということは、大きくならずコンパクトに育てられるということで、鉢植えとかに向く品種かもしれません。


■ストロベリーサンデー

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こちらは、「ストロベリーサンデー」という、なんとも可愛らしいネーミングの品種です。

販売されている株はまだどれも小さなものばかりですが、大きく育てる楽しみがありますね。

■ダンシングドール

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こちらも、赤塚オリジナル品種の「ダンシングドール」。

ちょっとマットなピンクの花弁が特徴的です。


■ブルーアイ

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こちらは、紫色の覆輪の花がとても美しい品種で、「ブルーアイ」。

ほとんど葉っぱが分らないくらい花に覆われています。

とても多花性の品種なのだと思います。

紫色の花色が良いですね。


■紅衣

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こちらは、「紅衣」という品種で、赤の中に白いラインが入る、

とても個性的で美しい品種です。

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ガーデンにも植栽され、だいぶ大きく育っていました。


■レッドアップル

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こちらは、「レッドアップル」という赤い花のシャクナゲ。

解説によると、「2020年に初開花。少し紫みを帯びた赤桃色中輪。

20輪ほどが整ったピラミッド状の隙間のない花房を作る。

赤い花弁と蕊のクリーム色のコントラストが良く目立ち、人目を惹く。

葉は少し黄色みを帯びる。樹姿がきれいに育ち、鉢植えにも向く、

4月中旬開花。」とのこと。

■キスマーク

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こちらも、赤花で「キスマーク」というネーミングのシャクナゲ。

解説によると、「2021年に初開花。僅かに桃色がかる明赤色、

中輪で20輪ほどの花が隙間のない、ややコーン状の花房を形成する。

花糸は淡色。赤い花で中心部が白く抜けるところからキスマークを連想した。

木はやや伸びるが、小苗のうちから花付きが良く、鉢植えにも向く。

4月上旬頃開花の早咲き種。」とのこと。


■プティアンジュ

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最後は、淡い紫色の品種で、「プティアンジュ」。

フリルのような可憐な花型が特に印象的な品種です。


品種紹介は、以上になります。

まだまだ他にもたくさんの品種の苗が販売されているのですが、

すべてを紹介することができません。

是非、4月の開花の時期にこのガーデンを訪れていただき、

お気に入りの品種をゲットしていただきたいと思います。

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最後に、ショップ内に展示してあった、シャクナゲの花による水盤。

黄色いヤマブキの花も添えてあって、とても印象的でした。


いかがでしたでしょうか?、三重県津市にある「赤塚シャクナゲガーデン」。

風景(ランドスケープ)も秀逸なのですが、品種も素晴らしく、是非一度、出かけていただきたいガーデンです。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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