11月に入り、今年も残すところ、あと2カ月足らずになりました。
あれだけ暑かった夏が過ぎて、涼しく過ごしやすい実りの秋になったと思いきや、
台風や長雨続きで、風雨に晒された庭は荒れてしまい、
楽しみにしていた我が家の秋のバラも残念な状態になってしまいました。
とはいえ、もともと春のバラシーズンに比べ、秋のバラは、返り咲く品種でも
開花数は春のバラとは比べ物にならないくらい少なく、
風景をつくれるほどには咲いてはくれません。
なので、「バラの花がつくる風景を楽しむ」、というよりは、
「一輪一輪の花の美しさを楽しむ」、という感じになってしまいます。
徐々に気温が下がる中で咲く花は、花色が濃く、花形も美しく咲くと言われています。
今回は、そんな秋の美しいバラたちを、我が家の庭からお伝えしたいと思います。
● 濃いモーブ色で咲く、F&Gローズのあおい
こちらは、鉢植えで育てているバラで、F&Gローズの「あおい」という品種。
滋賀県で切花栽培をされているバラ作家、国枝啓司さんの育種によるバラです。
このバラ、「ラベンダーピノキオ」という独特のモーブ色を持つ品種と
切り花品種の交配でつくられたバラで、少し茶色みが掛かった、
何とも表現できないような微妙な色合いがとても素敵なバラです。
特に、秋に咲く花はより深みがかかり、美しい色合いで咲いてくれました。
● 茜色で咲く、秋の「かおりかざり」
こちらも同じくF&Gローズのひとつで、「かおりかざり」という品種。
春に見た花は、もっと温かいアプリコットオレンジ色だったのですが、この秋に咲いた花は、
淡いコーラルピンク色。
このバラは、その名の通り、香りの性能にも優れています。
はっきりしたフルーツ香りで、とても強香です。
秋の花の花型は、イングリッシュローズのような花型で、とても美しかったです。
背景の白い壁、緑の葉、そしてコーラルピンクの花のコントラストがとても良い感じです。
● 楚々として可愛らしい花、F&Gローズの「ひより」
こちらも、F&Gローズのひとつで、「ひより」
作者の国枝啓司さんの孫娘の名前がつけられたバラで、作家が最も愛するバラのひとつだそうです。
この花姿からも想像出来る通り、とても華奢な枝に支えきれないほどの大きな花を咲かせる「ひより」は、
とても女性的で繊細なバラです。
咲き始めの頃は、中心部がほんのりとパールピンク色に染まる柔らかな花色で、先進むと白く変わっていきます。
● 濃厚な赤紫色で咲く、ベルベティ・トワイライト
このバラは、ボクのお気に入りのバラのひとつです。
作出者は、かの河合伸志さんで、園芸研究家の吉谷桂子さんへのオマージュのバラだそうです。
波状弁の花弁がとても特徴的で、とてもエレガントなバラだと思います。
特に、この濃い赤紫色が、秋の花ではより深みが出ているように思います。
花持ちもよく、次第にブルーイングして、紫色に変わっていく様子も美しいです。
● パーフェクトな花形、花色、ERジュビリー・セレブレーション
我が家にあるバラで、特にお気に入りの品種のバラを挙げるとすると、真っ先に思い当たるのがこのバラ。
イングリッシュローズのジュビリー・セレブレーション。
サーモンピンクのカップ咲きのバラですが、花弁の中心部にかすかに黄色が入り、
その黄色がピンクの中にかすかに混じる風合いがとても美しいバラです。
エリザベス女王の即位50周年の記念のバラとしても有名で、その優雅な佇まいと、
豊かなフルーツ香りからとても人気が高い品種です。
大輪の花の割に、ステム(花茎)が細いので、うつむいて咲いてしまうというのが玉にキズですが、
それを差し引いても十分な魅力のあるバラだと思います。
●太陽光が透けて茜色に染まる、ERプリンセス・アレキサンドラ・オブ・ケント
こちらも美しいイングリッシュローズのひとつです。
名前は、プリンセス・アレキサンドラ・オブ・ケント、長いので、「ケント姫」と呼ばれている品種です。
このバラ、大輪花で花弁数も多く、深いカップ咲きで、花色は鮮やかなピンクなのですが、秋に咲いた花は、
写真のようなコーラルピンクでした。
花弁の裏側から朝日を浴びて、輝くように咲いていました。
こうして見ると、このバラにも花弁の奥深いところに黄色い色素を持っているようです。
何とも神々しく美しい花だと思います。
● シックな赤で咲く、ERトラディスカント
こちらもイングリッシュローズで、今はカタログ落ちとなって入手困難な品種になっていますが、
トラディスカントというバラです。
古い品種が植えられているバラ園などで、時々見かけるイングリッシュローズです。
真っ赤な花色のイングリッシュローズは、我が家では意外に少なく、貴重な品種です。
シックな赤は、秋色と言えますが、花壇でもひと際目立っています。
● アメリカ限定発売のER、カーディング・ミル
こちらもイングリッシュローズで、カーディング・ミルという聞き慣れない名前の品種。
アメリカ限定で発売されていたイングリッシュローズのようですが、日本でも栽培されておられる方を
よくブログで見かけます。
イングリッシュローズの本には、レディ・オブ・シャーロットのような鮮やかなオレンジ色の花が掲載されて
いましたが、実際に咲いた花は、シャーベット・オレンジ。
たくさんの花弁が美しい花形を構成しています。
まだまだ本来の咲き方ではないかもしれませんが、今後の成長が楽しみなイングリッシュローズです。
● 秋も春も変わらない鮮やかさ、ストロベリー・アイス
こちらは、40年以上も前に発表された(1975年)古い品種で、フランス・デルバール社のバラで、
ストロベリー・アイスという品種。
デルバール社がつくる今時のバラとはずいぶん異なる雰囲気ですが、このバラもとても気に入っている品種です。
その名の通り、苺アイスクリームのようなバラです。
よくバラ園では、木立性バラのように短く剪定され、修景バラのように植えられているのを目にしますが、
我が家では半つるバラの特性を活かして、オベリスク仕立てにしています。
照り葉で耐病性にも優れている上、花持ちも良いバラです。
ただ、成長が遅く、なかなかツルを伸ばしてくれないので、深く剪定せず、ゆっくりと大きく育てているバラです。
● アプリコット色で咲く、秋のモニーク・ダーヴ
こちらのバラは、2階のバルコニーガーデンで、鉢植えで育てているバラで、
モニーク・ダーヴ。
フランスのギヨー社のバラです。
このバラ、花弁のカタチに特徴があり、花弁の真ん中がツンと尖っています。
とてもコンパクトなバラで、鉢植えで育てるのに向いているバラですが、
なかなか気難しくてうまく育てられていません。
春の花は、中心部がほんのりとピンク色だったのが、秋の花ではほんのりと
アプリコット色に色付いています。
そのあたりも秋らしい感じがします。
● 濃い赤紫色のブロッチ、アイズ・フォー・ユー
このバラも非常に個性的なバラで、花弁の真ん中に濃い赤紫色のブロッチが
入る品種で、アイズ・フォー・ユー。
蕾の頃は、アイボリー色だったのが、花開く頃には、赤紫色に染まり、
ゴールドのシベと相まって、とても美しい姿で咲いてくれます。
特に、秋は花色が濃く出るように思います。
このバラ、花持ちが悪い方ですが、秋は気温が下がり、
春に比べてかなり長い間咲いているように思います。
樹勢も強く、育てやすい品種です。
● 秋色の代表格、バーガンディ・アイスバーグ
こちらも2階のバルコニーガーデンで、鉢植えで育てているバラで、
バーガンディ・アイスバーグ。
秋のバラといえば、まず最初に頭に思い浮かぶのが、このバラです。
濃い赤ワイン色、まさにバーガンディ色の花色は、春の鮮やかなは花色の中では
異質で浮いてしまうのですが、秋の庭では、ひと際存在感を増すバラと言えます。
写真では、朝日を背後から受けて、花弁が赤く輝いています。
少し物悲しい雰囲気をまとった、大人なバラのイメージです。
● 秋のサンセット色、サンセット・グロウ
こちらで最後になります。
前庭の玄関アプローチで、オベリスク仕立てにしているつるバラで、
サンセット・グロウ。
このバラも、春と秋ではずいぶんと印象が異なる花色です。
春の花は、鮮やかなオレンジ単色ですが、秋の花は、まるで夕焼け空のような
微妙な色が混じり合った深いオレンジ色になります。
背景の緑の葉とのコントラストも美しく、ガーデンでとても存在感があります。
まさに、オータムカラー、美しいバラだと思います。
・・・・・如何でしたでしょうか?
我が家の2017年、秋のバラたち。
春のバラシーズンのように、一斉にたくさんの花が咲き、壁面を覆い尽くすような勢いは
秋のバラにはありませんが、一輪一輪の花の美しさは、春のバラに引けを取りません。
気ぜわしく散っては咲く春のバラのように一喜一憂することなく、ゆったりとした気持ちで
秋のバラを楽しむのもいいですね。
そうしているうちに、あっという間に冬がやって来ます。
冬は、来春に向けての重要な準備期間。
特につるバラは、剪定、誘引し、壁面やオベリスクに仕立て直す必要があります。
一年で大変な作業ではありますが、来春の風景を頭に描きながらのクリエイティブな作業でもあります。
次回は、そんな「つるバラの誘引作業」についてレポートしていと思っています。
乞うご期待下さい。
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