2020.1.29 / お気に入りの植物
2020年開幕した1月ももう終盤です。
こちらのディノスさんの連載コーナーのブログ記事も、今月3本目になります。
今年は、例年より頻度を上げてブログ記事を書かせていただく予定にしております。
少しでも皆様に有意義な情報をご紹介できればと思っています。
さて、この1月のブログ記事は、早春に咲く球根植物の紹介をしています。
第3回目の今回は、春咲き球根の代表格のひとつ、クロッカスをご紹介します。
今やネット時代で、パソコンやスマートフォンで検索すれば、
ありとあらゆる情報がすぐに手に入ります。
「植物の育て方」についても同様で、巷には多くの情報がありますので、
育て方については別のところを見ていただくとして(汗)、
僕のこのブログでは、単に「クロッカスの育て方」というような切り口ではなく、
もう少し違った見方で、この春咲きクロッカスという植物の魅力をお伝えできればと思います。
その切り口とは、「写真(インスタ)映えする植物」です。
僕自身、バラやその他の植物を育てる楽しみ方のひとつとして、
「写真映え」という視点をとても重要に考えています。
丹精込めて育てた植物が作り出す「風景」は、未来永劫に渡って続くものではなく、
それぞれに「旬」というタイミングがあり、例えば、単に「花が咲いている時期」というだけでなく、
太陽の光が差した瞬間の花の色、風でたなびく葉の美しさ、花色がうつろいゆく風情など、
その瞬間瞬間で風景が変化していく、まさに「一期一会」です。
その自分が美しいと思えた瞬間を、「写真」という形で切り取り、残していくということは、
ガーデナーにとっても、とても大切なことではないかと考えています。
そんな僕が、毎年育てている植物の中で、特にフォトジェニックで「写真映えする」、
今の流行りで言うと「インスタ映えする」植物として、「クロッカス」をご紹介したいと思います。
まず最初に、クロッカスという植物について、少し説明しておきましょう。
クロッカスは、地中海地方沿岸部などを原産とするアヤメ科サフラン属の多年草です。
春の訪れを告げる花として、我が家のガーデンの中も一番に咲く春の花と言っても過言ではありません。
原種は80種ほどあると言われていて、黄色・白・薄紫・紅紫色・白に藤色の絞りなど、
園芸品種としても多数の品種が販売されています。
その中でも、特に僕がおススメするフォトジェニックな(インスタ映えする)品種を2つご紹介します。
ピックウィック
ひとつめは、「ピックウィック」という、白地に淡い紫色の脈模様が入る品種で、
クロッカスの品種の中では、比較的背丈が高い園芸品種のクロッカスです。
シーベリートリカラー
もうひとつのおススメ品種が、上の写真、左側のシーベリートリカラーと呼ばれる品種です。
「トリカラー」というネーミングからもわかるように、花の先端は紫色、中間が白、
そして花弁の付け根とシベが黄色という三色の鮮やかなカラーリングが特徴のクロッカスです。
それぞれの品種の花の美しさをお伝えする前に、球根からの植え付け方法についても
少しお伝えしておきましょう。
クロッカスの球根の植付けは、例年10月から11月頃に行っています。
鉢植えでも庭植えでもどちらでも育てることができますが、前回記事のシラーと同様、
背丈の小さな植物の写真を撮りたいので、僕は鉢植えで育てるようにしています。
上の写真は、「ガーデンクロッカス」お徳用混合ということで、白・黄色・淡い紫の単色のクロッカスと
ピックウィックの混合になっていますが、通常はそれぞれの鉢で単独品種で植え付けることが多いです。
こちらが、クロッカスの球根。
品種で多少異なりますが、概ねこのような球根です。
右側が新規に購入した球根で、左側は、毎年花後に掘り上げて、秋の植え付け時まで保管している
リサイクルの球根です。
リサイクルする球根は、花後に液肥などをやって球根を太らせてから掘り上げますが、
年々小さくなっていきますので、僕の場合、同品種の新しい球根と混ぜて使うようにしています。
植え付け時には、チューリップなどの他の球根植物と同様、茶色い皮ははぎ取ってから
植え付けるようにしています。
こちらが、平たいテラコッタ鉢に球根を並べた様子。
新しい大きな粒の球根を鉢の中心部に据えて、
外側にリサイクルの球根を並べるようにしています。
この球根の植え付けの写真だけでも、十分「インスタ映え」しますね(笑)。
土も一般的なもので、赤玉土(中粒・小粒)、腐葉土、牛ふん堆肥、
水はけをよくするために、パーライトなどを混ぜて使っています。
前年の秋に植え付けたクロッカスの球根は、次の年の3月上旬頃、
次々に芽を出してきます。
よく見ると、この松葉のような細い葉の中心部に、
薄皮に守られた花芽がうっすらと見えているのが分かりますでしょうか?
薄皮を突き破って花芽が伸びて、その先端にポンっと
鮮やかな紫色の花を咲かせます。
写真は、シーベリートリカラーという品種のクロッカスです。
花が開く瞬間も、十分にフォトジェニックなのですが、
この品種の魅力は、この花が次々と咲いて行く姿にあります。
しばらくすると、いろんなところで花芽が上がり出し、卵が割れるように花が開いていきます。
そして、次々に加速するように、開花が広がっていきます。
濃い緑色の線状の葉と、ふんわりと咲く三色の鮮やかな花色の対比が
とても美しいです。
テラコッタ鉢すれすれの高さ、5センチくらいのところで開花しますので、
この写真は、地面に寝そべりながら撮影しています。
そして、3つか4つ、まとまって花が咲くと、こんな風に見えます。
まるで卵から孵化したばかりのヒヨコが、親に餌ねだるような可愛らしい姿です。
この写真が撮りたくて、この品種を育てていると言っても過言ではありません。
上から覗き込むように、親鳥がヒヨコを見下ろすような視線で撮ってみました。
紫色と白と黄色という春らしい色の対比が、暖かい太陽の光を浴びて輝いています。
まさに春の到来を感じる時です。
このシーベリートリカラーのクロッカスが群生し、咲くとこのような美しい姿になります。
育て方の教則本に書かれている球根を植え付ける間隔よりずっと狭く、密植させる方が、美しく群生するので、
僕は好みです。
その分、たくさんの球根が必要になりますが・・・(汗)。
続いて、もうひとつのおススメ品種のピックウィックの写真を見ていただきましょう。
この園芸品種のピックウィックというクロッカスは、唯一無二の美しさを備えています。
松葉のような細い針状の葉には、白い線が入り、一層葉が細く見えます。
そして、最大の魅力は、冒頭でも書きましたように、
白地に紫色の脈模様が入る花色と鮮やかなオレンジ色のシベとの対比が大変美しいのです。
これほど美しい花は、他のどの植物にもないのではないか、と思うほどです。
鉢を上から見下ろした様子です。
まだ開花が始まって直後の写真で、花弁も開ききっていない状態です。
花弁の中央に、ひときわ鮮やかなオレンジ色のシベが見えています。
開花が始まると、一気に葉や茎が伸びていきます。
10~15センチくらい伸びるでしょうか?
クロッカスの中では、背丈が高い方になるかと思います。
それでも、とても小さな植物なので、写真撮影においては、地面に寝転がるか、
もしくは鉢を高い所に置いて撮影することになります。
その時、背景をなるべくごちゃごちゃしない場所を選ぶようにしています。
花が淡い紫色の脈模様が入りますので、服のコーデと同様、柄物の背景には無地のスッキリしたものにするように、
できるだけシンプルな背景となる場所に鉢を置いて撮影に臨みます。
いよいよフォトジェニックな被写体の本格的な撮影です。
美しいアングルを探して鉢を回します。
また、光(太陽光)の向きも考えながら撮影します。
あまり光が強すぎると、影が出てしまいますし、光が弱いと春らしい雰囲気が出ません。
花の重なり、葉の向き(方向)、オレンジ色のシベを
どのように見せるか、撮影のアングルを決めるのに苦労します。
かなり花に近いところから撮影しますので、マクロレンズを使っています。
ピントの位置をどこにするのか、被写界深度(ボケ)をどの程度にするのか、
なかなか難しいです。
僕の場合、「数打てば当たる」方式で、何枚も何枚もシャッターを切って、
あとからベストショットを選ぶようにしています。
横位置だけでなく、縦位置でも撮っておきます。
基本的に週末ガーデナーなので、週末の休みの時にしか
撮影できませんので、そのタイミングで花の鮮度が良く、
光の入り具合も良好というようなことはなく、
運にも恵まれなければ、良い写真は撮れないのです。
更に被写体に寄れるだけ寄って、自分が小人になったような
アングルで撮影しています。
時間が経つと、気温が上がり出し、花も徐々に開いてきます。
花弁が開いた中に、印象的なオレンジ色のシベが姿を現してきます。
カメラのファインダーを覗いて見ると、自分が小さくなって、このクロッカスの花弁の中に滑り込んで
花に包まれているような錯覚さえ覚えます。
この時だけは、一心不乱に撮影に集中しています。
花も開ききって、あまり美しくなくなってきたら、ようやく撮影終了です。
このタイミングを逃すと、次は一年先になります。
それくらい、クロッカスの花の旬の時間は少ないように思います。
真上から、見下ろした様子。
先の写真で真上から見下ろした写真があったと思いますが、花弁が開ききっているでしょう?
数日は、花持ちしますが、写真の撮って美しいのはほんの数時間といったところでしょうか?
まさに短命なクロッカスの花ですが、この撮影の瞬間の楽しさが忘れられなくて、
毎年育ててしまいます(笑)。
特にフォトジェニックな2つの品種をご紹介しましたが、
他にも美しいクロッカスはたくさんあります。
こちらは、単色の薄紫色のクロッカス。
花が開くと、中に鮮やかなオレンジ色のシベが顔を出します。
上品な紫色が特徴的です。
あと、純白のクロッカス、クリサンサスアードシェンク。
こちらも、マットな白い花弁に鮮やかなオレンジ色のシベのコントラストが印象的です。
こちらは、黄色のクロッカスで、アンシレンシスゴールデンパンチ。
このクロッカスは、シベが黄色で花弁と同色です。
白と黄色のクロッカスを和の盆栽鉢に植えて育てていたことがあります。
クロッカスは、和でも洋でもどちらにも調和する雰囲気を持っています。
如何でしたでしょうか?、春の到来を告げる花、クロッカスのおススメ品種。
秋に球根を植えて、春先のほんの一瞬に輝きを見せるクロッカスの花。
一年に一度、この美しい瞬間に出会うために植物を育てる喜び。
是非皆さんにも感じていただけたら嬉しいです。
■おすすめ特集