2020.2. 4 / お気に入りの植物
今年の冬は、暖冬と言われ、雪も少なく、例年に比べるとやはり暖かいような
気がします。
春の訪れも、いつもより早いかもしれませんね。
さて、このコーナーでは、早春に咲く球根植物の紹介として、
ヒヤシンス、シラー、クロッカスを紹介してきましたが、
今回も引き続き、春を呼ぶ球根植物の代表格、スイセンをご紹介したいと思います。
ロウバイや、ヒュウガミズキ、レンギョウなど、春先に咲く花は黄色い花が
多いのですが、スイセンも黄色い花を持つものが多く、
春らしい風景を作ってくれる植物として、我が家の庭ではとても重宝しています。
スイセンの歴史は古く、品種改良の歴史は100年を超え、
バラと同様、2万を超える品種があると言われているそうです。
そんな多様なスイセンの品種の中から、我が家の庭で育てている
スイセンをいくつか紹介したいと思います。
こちらは、「ピンクチャーム」という代表的なスイセンの品種です。
これまでに紹介したヒヤシンス、シラー、クロッカス同様、
スイセンを写真に撮った時の美しさに見とれてしまいます。
暗い背景の手前に光が差し込んで、輝くように花が光っています。
水仙の魅力のひとつは、この立ち姿。
すっと伸ばした花茎が折れ、くの字型に俯いたように花が咲くのが
何とも風情があります。
すっと伸びたマットなグリーンの葉と、楚々として咲く花の対比が
とても美しいと思います。
このピンクチャームという品種のスイセン、外側の花弁が白色、
内側の「副冠」と呼ばれる襞(ひだ)のある円筒状の部分がピンクオレンジ色の
大きなカップ咲きが特徴です。
よく見ると、内側のピンクオレンジ色の「副冠」は、内側に向かって
徐々に黄色、グリーンへとグラデーションしながら色が変化しています。
本当に美しい色の変化です。
こちらは、はっきりとは品種が分からないのですが、
おそらく「パーフェクトレディ」という品種ではないかと思っているスイセン。
先ほどのピンクチャームより内側の副冠の色が濃く、
鮮やかなオレンジ色をしています。
白とオレンジ色のコントラストが強く、ガーデンの中でひと際目立ちます。
花もあまりうつむかず、キレイに見えるのがお気に入りポイントです。
この写真は、強い光が背後から差し込んだ時の様子ですが、
中央の濃いオレンジ色の副冠が光を集めて発光したように輝き、
ひと際、美しさが増しているように思います。
こちらは、外側の花弁全体が黄色で、内側の副冠がオレンジという、とても派手な色合いのスイセンで、
「ガーデンジャイアント」という品種ではないかと思います。
以前は、スイセンの多くを鉢植えで育てていましたが、ここ数年は花壇に地植えしています。
鉢植えした場合、花後に球根を太らせたあと掘り上げて、秋の植え付け時まで冷暗所で保管する、
ということをしてきましたが、だんだん面倒になり(汗)、何年も同じように球根をリサイクルして使っていると、
徐々に球根も小さくなっていくため、今は花壇に地植えしっぱなしにしています。
それでも毎年、美しい花を咲かせてくれます。
上の写真は、我が家の前庭、玄関アプローチですが、アプローチ脇の小さな土のあるスペースを使って、
球根植物のスイセン、宿根草のクリスマスローズ、一年草のパンジーやビオラなどを混植しています。
奥には紫陽花、建物の壁面にはつるバラを誘引しています。
季節の移ろいとともに、咲く花も移ろっていくようにしています。
黄色いスイセンの横には緑色の花のクリスマスローズ、奥に濃い紫色で見えているのはビオラで、
黄色と紫色の補色対比が美しく、とてもカラフルに春の風景を作ってくれます。
この「ガーデンジャイアント」と思しき黄色いスイセンの咲き始めです。
葉の真ん中からすくっと花芽が上がって来て、薄皮を破って
黄色い蕾が膨らんできました。
そして、花の重みに耐えかねて折れるのか分かりませんが、
花茎がくの字に折れて蕾が開いていきます。
一方、咲き進むにつれて、次第に内側の副冠の濃いオレンジ色が退色し、
外側の花弁の黄色に近づいていきます。
このような色の変化が見れるのもスイセンの楽しみのひとつです。
実は、このスイセン、お徳用の球根ミックスを購入して植えたものです。
様々な品種のスイセンがランダムに混じって咲いています。
単品種を群生させて風景を作るのが僕の好みですが、
このように様々なバリエーションのスイセンが混在して咲く風景も
なかなか良いと思っています。
ひとつ上の写真で黄色い「ガーデンジャイアント」の横に咲いていたのが、
こちらの八重咲品種の水仙。
品種名ははっきり分かりませんが、「ホワイトライオン」という品種では
かなと思っています。
白とレモンイエローの花弁が交じり合って咲いているのがとても印象的です。
こちらも八重咲品種の水仙で、品種名は分からないのですが、
「香り房咲き水仙」というパッケージのスイセンでした。
これまでに紹介した他のスイセンと違って、花茎の先にいくつもの花が
房になって咲いています。
また、ネーミングの中に「香り」が入っていることからわかるように、
とても甘い香りがするスイセンです。
この品種を群生して咲せたら、かなりの香りがあたり一面に充満するのではないか、
と思うほどの強香です。
ちなみに、この香り房咲き水仙の花芽が上がって行く様子を紹介してみましょう。
密集した葉の中央から、ボコボコと花芽を膨らませた花茎が上がって来ました。
花芽の先端の柔らかい袋が破けて、中から蕾がいくつも顔をのぞかせました。
このあと、次々に花が咲いて房のようになるのです。
続いて、こちらは鉢植えで育てている「ニホンスイセン」と呼ばれる品種です。
白い花弁に黄色い副冠の、一般的によく見かける品種です。
冬咲きの品種で、他のスイセンに先駆けて咲いています。
鉢植えで育てる場合、他の品種のスイセンとは混ぜたりせず、また同時期に咲く他の植物と寄せ植えにもせず、
単品種を群生させて咲かせる方が、この品種はキレイに見えるように思います。
飾り気のない、楚々とした雰囲気が素敵なスイセンです。
早咲き品種なので、他の植物が咲き出す前に、
このスイセンだけが庭の中で咲いている印象で、
寒空の中で淋しく佇むように咲く感じも良いかなと思っています。
こちらもずいぶん昔からずっと鉢植えで育てているスイセンで、
品種名「ティタティータ」と呼ばれる、ミニスイセンの一種です。
丈夫で繁殖力が良く、花付きも良い品種です。
これも単品種を一鉢で育てていて、ぽってりとしたふくよかなデザインの
お気に入りのテラコッタ鉢に植え付けています。
奥に「二ホンスイセン」、手前に「ティタティータ」を植えた鉢を並べて、
玄関アプローチに飾っています。
「ティタティータ」の黄色い花と、「二ホンスイセン」の副冠が鮮やかな黄色が
似ている反面、咲き姿は、うつむいて咲くティタティータと
真っすぐ前を向いて咲く二ホンスイセンが対照的なところも面白いかなと思っています。
黄色い「ティタティータ」が咲き進んできました。
テラコッタ鉢に溢れんばかりに咲き揃います。
斜め上から見ると、俯いて咲く花が全て同じ方向を向いて咲いています。
サバンナに生きる背の高いキリンの大集団が、同じ方向に行進しているかのように見える風景です。
3月の明るい春の光を集めて、ビタミンカラーの黄色い花が群生して咲く様を見ると、
本当に暖かい気持ちになります。
黄色いスイセンが庭で咲き出すと、もう本格的な春はすぐそこまで来ていることに気づかされます。
今年も、もうしばらくすると、そんな季節が巡ってきます。
楽しみな春はもうすぐそこです。
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