2024.12.25 / 県立奈良高校・創立100周年記念・中庭プロジェクト
いよいよ2024年も年の瀬。
ディノスさんのガーデンスタイリングで、連載ブログコーナーを担当させていただいて、丸8年が経ちました。
毎回楽しみにしていただいている読者の皆様方には、大変感謝しております。
来年2025年も、引き続きこのコーナーを担当させていただけることになっています。
連載9年目になりますが、新たな気持ちで頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
2024年、この一年もいろいろありましたが、特に僕の母校、県立奈良高等学校・創立100周年記念事業の中庭、
「竪義の庭」プロジェクトが完成し、後輩の学生たちが、毎日その中庭で様々な活動をしている様子を見るにつけ、
とても感慨深いものがあります。
さて、このたび、この奈良県立奈良高等高校「竪義の庭」が、
ランドスケープ雑誌『LANDSCAPE DESIGN』(マルモ出版)Vol.160
(2024年12月23日発売号)に10ページにわたって記事掲載していただきました。
完成したガーデンの写真だけでなく、この中庭をデザインするにあたっての
経緯や設計コンセプト、新たに学生とのワークショップで製作した
100周年記念のモニュメント(石板プレート)など、
このプロジェクトが完成するまでのプロセスにもフォーカスしていただいています。
雑誌『LANDSCAPE DESIGN』は、大きな書店や、マルモ出版さんのネットショップ、
Amazonなどでも購入できます。
ご興味のある方は、是非取り寄せてご覧いただけましたら幸いです。
改めて、今年3月に完成した、母校・奈良県立奈良高等学校の創立100周年記念の中庭「竪義の庭」です。
こちらの写真は、雑誌『LANDSCAPE DESIGN』の中でも、冒頭、見開きページで紹介された写真です。
中庭の供用が始まり、後輩の学生たちが、中庭で様々な活動を始めました。
写真は、吹奏楽部による中庭コンサートの際の写真です。
校舎の屋上から撮影させていただいたアングルです。
四方を校舎に囲われた中庭に楕円構造を内包し、その楕円形に沿って盛土を行い、すり鉢状の観客席を設けました。
中央のアリーナ(平地部分)には、「楕円の反射定理」を、タイルの線形で表現しました。
学生がいない中庭の様子です。
中庭に落ちる校舎の影を考慮し、観客席はアンシンメトリー(非対称)に配置し、
残りの部分をロックガーデンとし、100周年に掛けて「百花繚乱」さまざまな高木や宿根草を植栽した
ガーデンとしています。
校舎東棟の生徒の昇降口から、中庭へアプローチする部分です。
手前に見えているのが、創立100周年記念のモニュメントとして、現役の学生とワークショップを実施して
製作した「羅針盤」と呼んでいる石板プレートです。
楕円形の2つある「焦点」のひとつに「羅針盤」、その奥にあるもうひとつの「焦点」に、
創立50周年記念で製作された「プラトン・アリストテレス立像」(ブロンズ像)を、
旧校舎からこの中庭に移設・設置しました。
「羅針盤」と呼ぶ、黒い御影石で製作した石板プレートは、直径3mある巨大なもので、
7つのパーツに分けて製作し、現場で組み立てて仕上げてもらいました。
中央にある小さなノズルから、水が立ち上がる噴水が仕込まれています。
こちらが、2つある「焦点」のひとつに設置した「プラトン・アリストテレス立像」です。
50年前、奈良高校の創立50周年に、今回と同じように、OBOGの寄付で、前の校舎の中庭に設置されたものでした。
それを、2年前の校舎移転に伴い、新校舎に仮移設したものを、今回の中庭整備で、この場所に移しました。
中庭の西側奥の方は、築山に地元奈良の名石、生駒石を使ったロックガーデンとしています。
高木のみならず、四季折々に咲き誇る、色鮮やかな宿根草も多数植栽したガーデンとなっています。
こちら側には、生駒石のトップを磨いて作ったベンチを設けています。
植栽(特に高木)は、工事費予算の関係で、当初予定より二回りほど小さくなってしまいましたので、
完成当初は、まだまだ貧弱ですが、数年も経つと、大きな緑量と緑陰を作ってくれると期待しています。
生駒石のベンチに座って、本を読んだり、楽器の練習をしたり・・・、そんなシーンをイメージして
デザインしました。
緩やかな勾配の生駒石のロックガーデンに、花モノ、葉モノの宿根草を、約100種類、3000株ほど植栽しています。
まだまだ株は小さいですが、今後大地に根を張って、大きく育ってくれることを楽しみにしています。
ちょうど2年ほど前ののこの時期くらいから、この母校の創立100周年記念の中庭プロジェクトに関わらせて
いただいておりますが、工事も無事完了し、学生たちが生き生きと青春をこの庭で謳歌している様子を見れて
設計者冥利に尽きます。
今回、その総まとめとして、ランドスケープの専門雑誌に採り上げていただき、
これまでやってきたことを総括できたように思います。
これで、母校・奈良県立奈良高等学校の中庭「竪義の庭」の話も、そろそろ終わりかなと思います。
これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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