2024.12.17 / 京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)の四季
12月も半ばに差し掛かり、今年も残すところあとわずかになりました。
先日、僕がデザインさせていただいて、運営・管理のお手伝いもさせていただいている京都・京北にあるバラ園、
「京北・香りの郷/六ヶ畔・花簾庭」(長いので、以後「京北バラ園」と略称で表記します。)に、
今年2024年のメンテンナンス業務の締めくくりと、バラ園のオーナーと、来季に向けての打ち合わせのため
行ってきました。
今回は、その時の様子(冬のバラ園)を、前編・後編の2回に分けて、ご紹介したいと思います。
こちらは、京北に到着した朝8時頃の様子。
京北の美しい山並みには、霧が掛かって、山の端から顔をのぞかせた太陽の光が輝き、とても美しかったです。
こちらが、京北バラ園の敷地の角にあるゲートから、バラ園全景を見たアングルです。
左側には、八連の巨大アーチ、右端には家形をした東屋(パーゴラ)、中央奥には、京北バラ園の代名詞、
つるバラ・群星&群舞による「バラの滝」ゾーンも見えています。
こちらは、バラ園の主要園路で、緩やかに曲線を描きながら、東屋パーゴラの横を抜けて、
奥の「バラの滝」ゾーンまでつながっています。
手前は、木立性のイングリッシュローズゾーンですが、この時期はすでに花もほとんどなく、葉も落葉し始めて、
枝だけに近い状態になっています。
こちらが、今年2024年春(6月初旬)のオープンガーデンの時期に訪問した際の様子です。
一時期、手前の木立性のイングリッシュローズがかなり弱っていたのですが、だいぶ持ち直してきました。
ただ、園路沿いに植えた宿根草のブルーサルビアは、この年の春(3月)に植えたばかりで、
まださほど大きく育っていないため、以前のようなブルーの小径というような感じにはなっていない状況です。
こちらのアングルは、東屋パーゴラ横の園路から、敷地角のメインゲート方向を見たアングルです。
「和の趣きのバラ園」というコンセプトでデザインしているので、ゲートも神社の鳥居からインスピレーションを
得てをデザインしています。
こちらの写真も、今年6月に開催したオープンガーデンのタイミングで撮影した一枚です。
園路沿いにブルーサルビアを植栽し、その両側に木立性のイングリッシュローズ、
その奥の木製フェンス(写真左)に誘引しているつるバラが一体化しいた風景を構成しています。
また、今(12月)の風景に戻ります。
写真左側の木製フェンスの向こう側(左側)が、国道に面した駐車場となっています。
この木製フェンスに、和の風情を感じるつるバラを中心に植栽しています。
園内に2本ある「園路」が交差するあたりから、バラ園の奥(北側)を見たアングルです。
このバラ園は、緩やかな4枚棚田の一番低い場所(国道側)の田んぼ一枚(約300坪)を敷地としています。
2段目の棚田との段差(約50㎝)を利用して、高さ1mほどの擁壁状の花壇を作りました。
そこが、いわゆる「バラの滝」ゾーンと呼んでいる、つるバラ・群星&群舞を植栽しているエリアです。
その手前の平地部分が、香りの強いオールドローズを中心に植栽しているエリアになります。
こちらは、大型のつるバラを壁面や屋根に誘引している「東屋パーゴラ」です。
一見すると家のように見えますが、いわゆる「パーゴラ」(フジ棚)です。
「和の趣きのバラ園」をコンセプトに据えているため、一般的なフジ棚では和の雰囲気は出しにくいので、
バラ園の周囲に点在する日本の古民家の切妻屋根をモチーフに、オリジナルデザインのパーゴラを作りました。
こちらが、今年の6月のオープンガーデンの際の様子で、家形パーゴラの壁面と屋根に
つるバラがびっしりと咲いています。
左側の白い花が咲いているつるバラは、大型品種のマダムアルフレッドキャリエール、右側のピンクの花の方は、
イングリッシュローズのつるバラで、モーティマーサックラーという品種です。
東屋パーゴラの反対側の壁面・屋根にも、つるバラを誘引しています。
家形パーゴラの屋根形状は、その奥(右側)に見えている六ヶ畔茶寮の建物の切妻屋根と連なるように見えて
風景的に馴染んでいるように見えます。
こちらも、今年6月のオープンガーデンの様子です。
今年は、気温が高かったせいか、いつもより開花が早かったようで、早咲き品種は、すでにピークを過ぎており、
例年6月初旬が見ごろ(ピーク)なのですが、今年は5月下旬の方が花数多かったようです。
こんなところにも、気球温暖化の影響が出ています。
こちらは、バラ園奥の「バラの滝」ゾーンから、南側の駐車場方向(木製フェンスの向こうが駐車場)を見た
アングルです。
遠くに京北の山並みを見渡せる京北バラ園の、冬の朝の凛とした空気感がとても心地よかったです。
こちらが、京北バラ園名物のつるバラ・群星&群舞による「バラの滝」ゾーン。
棚田の段差を活かして作った擁壁花壇(高さ約1.5m)は、全長約30mほどあります。
バラ園の近くを流れる上桂川の堰(川の水を貯めた小さな滝)を流れ落ちる水を、バラの花で表現する、
というデザインコンセプトに基づいて作りました。
花後(7月頃)に、つるの剪定しているので、現状は、枝垂れるようにはなっていませんが、また来春には、
滝のような景観をつくってくれるはずです。
「バラの滝」エリアの一番端。
滝の足元の通路は、赤い備前焼のような色合い、質感のレンガブロックを敷き詰めています。
このあたりも、「和の趣き」にこだわった設えとなっています。
こちらは、今年の春(6月)のオープンガーデンの頃の様子。
つるバラ・群星(白花)と群舞(ピンク花)をランダムにミックスさせて、滝を流れ落ちる水を表現しています。
こちらは、「バラの滝」ゾーンを一番奥から見たアングル。
約30mの長さがある「段差」ですが、ここに一斉にバラが花を咲かせると、こう↓なります。
なかなか圧巻の風景でしょう?
つるバラの仕立てをしてくれているヘッドガーデナーとスタッフの皆さんが、毎年この風景をつくるために、
試行錯誤しながら、誘引をしています。
是非、実物を見てもらいたいなと思います。
こちらは、バラ園西側にある、八連のアーチです。
このアーチも一般的な曲線(アーチ形状)のアーチではなく、不等辺三角形の切妻屋根型のアーチを
オリジナルデザインで、地元・京北のアイアン作家さんに製作してもらいました。
こちらが、今年6月の様子。
一番手前右側に見えている薄紫色のつるバラは、マニントンマウブランブラーという品種。
反対側は、園内の別の場所から移植したばかりでまだ小さいのですが、イングリッシュローズのつるバラ、
モーヴァンヒルを植栽しています。(アーチの下の方で咲いています。)
赤紫色で咲いているのは、ブルーマジェンタという品種で、これまで花期が合わなかったため、
手前の木フェンス側に誘引したのですが、今年はまぁまぁ花期が合っていますね。
八連アーチの反対側(奥側)から入り口ゲート方向を見たアングル。
アーチが大きすぎて(最長部で高さ5m近くあります。)、なかなかアーチ全部をつるで覆い切れていないです。
こちらは、今年の春の様子。
まだ、黒錆鉄のフレームが見えています。
全部上までつるバラで覆うより、この特徴的なアーチ形状(切妻屋根型)を見せるように誘引した方が、
「和の趣き」に合う風景になるかなと思っています。
春の満開時の八連アーチ。
アーチの間の隙間から、バラ園の中心部(香りのオールドローズゾーン)をちらちらと見ながら、
アーチの中を奥へ奥へと進んで行く演出になっています。
香りのオールドローズゾーンです。
大株のオールドローズは、葉が紅葉して、ひとつの大きな塊になっています。
少し分かりにくいかもしれませんが、つる性のオールドローズは、大きな景石の後ろに配置して、
その景石を乗り越えるように、つるバラを誘引しています。
「バラの滝」は、隣を流れる上桂川の堰を流れ落ちる水の流れをバラの花で表現していますが、
オールドローズゾーンも、岩を乗り越えるように流れる川の水を、バラの花で表現しています。
八連アーチに誘引しているつるバラも、冬の日差しを浴びてゆったりと佇んでいます。
花のない、冬のバラ園も何だか魅力的です。
バラ園最奥の「バラの滝」ゾーンを横から見たところ。
この後ろがどうなっているか?、興味あるでしょう?
こんな風になっています。
棚田の段差を有効活用して、70㎝くらい持ち上げています。
ちょうど写真の右側(バラ園側)が、方位でいうと南になるため、基本的にはバラ園側を向いて咲いてくれます。
さらに、滝のように枝垂れ咲かせるために、様々なテクニックを使って、仕立てているのです。
この「バラの滝」ゾーンの後ろ(4枚棚田の2枚目)にも、ちょっとしたスペースを設けています。
オリジナルデザインの八連アーチを制作してもらったアイアン作家さんに、小型パーゴラを作ってもらっています。
そこに、バラ園の中で使えなかった大型のバラを誘引しています。
こちらは、今年の春の写真ではなく、何年か前の写真なのですが、バラ園奥のパーゴラに
大型のつるバラをカーテンのようにスクリーン状に咲かせた様子です。
写真のバラは、枝垂れても咲く品種で、フランソワジュランビルです。
12月の京北バラ園、いかがでしたでしょうか?
春のバラの花満開の季節はもちろん素敵なのですが、すっかり冬の風景になっているこの時期もなかなか良いです。
そして、この時期は、来年春の風景をどのように仕立てるか、じっくりイメージしながら考えることができるので
とてもワクワクする季節でもあります。
また、来春開催予定のオープンガーデンを期待していただけましたら幸いです。
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