2025.2.25 / ガーデニング術
今僕が住んでいる地域の公園(市の管理する公園)で、住民有志が「グリーンサポート会」と称し、
定期的に公園の雑草刈りや、公園にあるフジ棚のフジの管理を行っているのですが、
今回は、そのグリーンサポート会で行った、フジの冬剪定&誘引作業について、紹介してみたいと思います。
ずいぶん昔のブログ記事で、この近所の公園のフジや、国内外で見たフジの風景について書いています。
※ 詳細は、こちら → 「フジがつくる美しき風景(前編・国内外で見た心に残るシーン)」
実は、この写真の、フジ棚にフジの花が満開のシーンは、今はもう見ることができません。
近所の団地の再開発計画の絡みで、隣接する市の公園も一体開発されることになり、
公園にあったシンボルツリーのケヤキの大木は保存されることになりましたが、
それ以外の植物はほぼすべて伐採されることになり、この写真のフジ棚およびフジの木は
切り倒されることになりました。
住民の保存運動の中で、この写真に写っているフジの古木2本のうち1本は移植できるかも、とのことで、
隣接するもう一つの公園の敷地内に移設されたのでした。
それから、数年経って、現在の様子がこちら。
もともとのフジ棚があった場所に、新しいフジ棚(パーゴラ)がつくられました。
その両サイドから、新しく植えられたフジの木がパーゴラに向かって植えられました。
この新しいパーゴラに、以前のようにフジの花を咲かせたい、との思いで、
住民有志のグリーンサポート会でフジのメンテナンス・育成を行っています。
僕自身は、フジの専門家ではありませんが、いろんな本を読み漁ったり、フジの専門家の講習会に参加して
勉強しながら、見よう見まねで講師役を仰せつかって、フジのメンテナンスを行っています。
この時期、葉を落としたフジの冬剪定、および誘引を、ここ数年、実施しています。
写真は、その作業をグリーンサポート会のメンバーで行っている様子です。
新しい公園に、フジの幼木を植えてもらってから数年が経ち、ようやくパーゴラ全体をカバーするくらいまで
生育しました。
まだまだ4月5月の開花期には、大した花は咲いていませんが、徐々に花数も増えてきているように感じています。
こちらは、隣接するもう一つの公園。
こちらは、団地の再開発のエリアから外れたこともあり、古いままの公園です。
この青く塗装された鉄製のパーゴラは、おそらく40年以上も前に、この住宅地が出来た頃からあるもので、
そこに、同じくらいの歳月を経た古木のフジが2株植えられていました。
長きに亘って、ほとんどメンテナンスされていなかったためか、その古木のフジは、こぶ病に罹患し、
枝は伸びても毎年ほとんど花が咲かない状態でした。
こちらの古い公園のフジ棚でも、昔のようにフジの花をたくさん咲かせよう、ということで、
グリーンサポート会のメンバーでここ数年メンテナンス活動を行っています。
先に述べた、隣接するもう一方の公園が再開発で一新され、そこに植えられていた古木のフジ1株をダメ元で、
こちらの公園に移植してもらいました。
それが、この写真の手前に写っているフジです。
フジの移植は難しいと言われていますが、この古木のフジは何とか移植に耐え、活着しました。
こちらの写真は、フジの冬剪定および誘引作業のために、古い鉄製のパーゴラの上に上って撮影したものです。
手前が古いパーゴラ、その奥が移植したフジ用に設けられた新しいフジ棚です。
今年は、古いパーゴラに持ち上げられていた古木のフジの枝を全撤去し、新しいフジの枝だけに更新しました。
古いフジは、こぶ病に罹患し、ここ数年様子を見てきましたが、結局ほとんど花を咲かせることがなく、
一方で、新しく植えてもらったフジが生育し、パーゴラを覆えるようになったため、
思い切って入れ替えることにしたのです。
新しいフジの枝を、放射状に誘引し、なるべく枝が重ならないようにしました。
パーゴラの上から、そのフジの枝の流れを撮影してみました。
写真右上が、フジの株がある場所です。
そこから、パーゴラの対角線に広がるように、枝を間配り、誘引しています。
パーゴラを下から見たところです。
写真右側上部が、フジの株元がある場所です。
昨年までは、古木のフジの枝がパーゴラの上でかなりの面積を占有していましたが、
今年は思い切ってそれを切ったので、新しいフジの枝だけになり、花芽への日当たりも各段に向上したと思います。
さらにパーゴラを見上げた様子のアップ。
バラの誘引に比べると、棘もないので、楽ちんです。
つるバラでは、壁面(垂直面)に誘引することが多いですが、フジの場合パーゴラという水平面に誘引するため
少し勝手は違いますが、枝の振り方、間配り方は、つるバラと共通するものがあり、
作業をしていてとても面白かったです。
パーゴラのコーナー部からのアングル。
この写真の一番手前の柱の横に、古株のフジがあったのですが、病気で弱っていたこともあり、
今回思い切って株元から切りました。
こちら、一番手前(写真右端)のフジが、隣接する公園から移植した古木のフジです。
奇跡的に活着し、今では元気よく生育しています。
真横から見たところ。
長く伸びたツルは、左側の新しく作ってもらったパーゴラに誘引していますが、
枝の右半分は「立ち木仕立て」をイメージした作りこみにしています。
こちらの写真は、地元・奈良の春日大社の境内にある「萬葉植物園」にある、「立ち木仕立て」のフジです。
いわゆる「棚づくり」と呼ばれる「パーゴラ(フジ棚)」に寝かせるような仕立て方が多いフジですが、
萬葉植物園では、結構な本数、「立ち木仕立て」で育てられています。
※ 萬葉植物園のフジの風景のブログ記事は、こちら → 「フジがつくる美しき風景(後編・萬葉植物園のフジ)」
こちらの白藤も、萬葉植物園の「立ち木仕立て」のフジで、枝の半分はフジ棚へ誘引され、
もう半分は、盆栽のように空中で花を咲かせるような仕立てになっています。
我々の公園のフジも、ほとんどが「棚づくり」(パーゴラへの誘引)ですが、
この前の公園から移植した古木のフジは、その枝の半分は、パーゴラ側に引っ張っていますが、
もう半分は「立ち木仕立て」としています。
別アングルで見ると、このような感じ。
フジは大木になると、一本の木で10㎡以上もカバーすることができるようで、
この新たに作ってもらった小さなパーゴラには、納まりきらないのです。
公園より1.5mほど高い位置にある道路から見下ろした様子。
古木のフジから伸びるつるが、すでに小さなパーゴラを覆いつくしています。
手前(写真右側)の、青い塗装が施された鉄製のパーゴラと、アルミと樹脂でつくられた新しい
茶色いパーゴラの間に、もう一本、フジの若木が植えられています。
隣接する公園から移植した古木のフジが、万一枯れた際の保険として植えてもらったものですが、
移植したフジ、新しく植えたフジ両方ともがうまく活着し、小さなパーゴラ(茶色い方)に
2本のフジの枝を伸ばせるだけのスペースがなくなってしまいました。
そんなこともあり、保険で入れてもらった若木のフジを、古い鉄製のパーゴラの方に、
引っ張って誘引することにしたのです。
その様子を別アングルで撮影したのがこちら。
右側の茶色いパーゴラの際に植えてもらった若木のフジを、左側の青く塗装された古いパーゴラの方に
引っ張って誘引しているのが分ると思います。
青い鉄製のパーゴラの足元に植えられていた古木のフジは、病気に掛かって元気をなくしていたので
思い切って根際で伐採しました。
少し不細工ですが、うまく共存させるために、このような対策を行って育てています。
冒頭でも紹介した、10年ほど前に、近所の公園で咲いていた見事なフジ。
いつかこのような風景を再生できるよう、グリーンサポート会のメンバーで愛情を注いでフジの木を育てています。
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