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専門家「風景」をつくるガーデニング術

グリーンサポート会、近所の公園のフジの誘引

居場英則

今僕が住んでいる地域の公園(市の管理する公園)で、住民有志が「グリーンサポート会」と称し、

定期的に公園の雑草刈りや、公園にあるフジ棚のフジの管理を行っているのですが、

今回は、そのグリーンサポート会で行った、フジの冬剪定&誘引作業について、紹介してみたいと思います。

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ずいぶん昔のブログ記事で、この近所の公園のフジや、国内外で見たフジの風景について書いています。

 ※ 詳細は、こちら → 「フジがつくる美しき風景(前編・国内外で見た心に残るシーン)


実は、この写真の、フジ棚にフジの花が満開のシーンは、今はもう見ることができません。

近所の団地の再開発計画の絡みで、隣接する市の公園も一体開発されることになり、

公園にあったシンボルツリーのケヤキの大木は保存されることになりましたが、

それ以外の植物はほぼすべて伐採されることになり、この写真のフジ棚およびフジの木は

切り倒されることになりました。

住民の保存運動の中で、この写真に写っているフジの古木2本のうち1本は移植できるかも、とのことで、

隣接するもう一つの公園の敷地内に移設されたのでした。

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それから、数年経って、現在の様子がこちら。

もともとのフジ棚があった場所に、新しいフジ棚(パーゴラ)がつくられました。

その両サイドから、新しく植えられたフジの木がパーゴラに向かって植えられました。

この新しいパーゴラに、以前のようにフジの花を咲かせたい、との思いで、

住民有志のグリーンサポート会でフジのメンテナンス・育成を行っています。

僕自身は、フジの専門家ではありませんが、いろんな本を読み漁ったり、フジの専門家の講習会に参加して

勉強しながら、見よう見まねで講師役を仰せつかって、フジのメンテナンスを行っています。

この時期、葉を落としたフジの冬剪定、および誘引を、ここ数年、実施しています。

写真は、その作業をグリーンサポート会のメンバーで行っている様子です。

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新しい公園に、フジの幼木を植えてもらってから数年が経ち、ようやくパーゴラ全体をカバーするくらいまで

生育しました。

まだまだ4月5月の開花期には、大した花は咲いていませんが、徐々に花数も増えてきているように感じています。

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こちらは、隣接するもう一つの公園。

こちらは、団地の再開発のエリアから外れたこともあり、古いままの公園です。

この青く塗装された鉄製のパーゴラは、おそらく40年以上も前に、この住宅地が出来た頃からあるもので、

そこに、同じくらいの歳月を経た古木のフジが2株植えられていました。

長きに亘って、ほとんどメンテナンスされていなかったためか、その古木のフジは、こぶ病に罹患し、

枝は伸びても毎年ほとんど花が咲かない状態でした。

こちらの古い公園のフジ棚でも、昔のようにフジの花をたくさん咲かせよう、ということで、

グリーンサポート会のメンバーでここ数年メンテナンス活動を行っています。

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先に述べた、隣接するもう一方の公園が再開発で一新され、そこに植えられていた古木のフジ1株をダメ元で、

こちらの公園に移植してもらいました。

それが、この写真の手前に写っているフジです。

フジの移植は難しいと言われていますが、この古木のフジは何とか移植に耐え、活着しました。

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こちらの写真は、フジの冬剪定および誘引作業のために、古い鉄製のパーゴラの上に上って撮影したものです。

手前が古いパーゴラ、その奥が移植したフジ用に設けられた新しいフジ棚です。

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今年は、古いパーゴラに持ち上げられていた古木のフジの枝を全撤去し、新しいフジの枝だけに更新しました。

古いフジは、こぶ病に罹患し、ここ数年様子を見てきましたが、結局ほとんど花を咲かせることがなく、

一方で、新しく植えてもらったフジが生育し、パーゴラを覆えるようになったため、

思い切って入れ替えることにしたのです。

新しいフジの枝を、放射状に誘引し、なるべく枝が重ならないようにしました。

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パーゴラの上から、そのフジの枝の流れを撮影してみました。

写真右上が、フジの株がある場所です。

そこから、パーゴラの対角線に広がるように、枝を間配り、誘引しています。

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パーゴラを下から見たところです。

写真右側上部が、フジの株元がある場所です。

昨年までは、古木のフジの枝がパーゴラの上でかなりの面積を占有していましたが、

今年は思い切ってそれを切ったので、新しいフジの枝だけになり、花芽への日当たりも各段に向上したと思います。

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さらにパーゴラを見上げた様子のアップ。

バラの誘引に比べると、棘もないので、楽ちんです。

つるバラでは、壁面(垂直面)に誘引することが多いですが、フジの場合パーゴラという水平面に誘引するため

少し勝手は違いますが、枝の振り方、間配り方は、つるバラと共通するものがあり、

作業をしていてとても面白かったです。

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パーゴラのコーナー部からのアングル。

この写真の一番手前の柱の横に、古株のフジがあったのですが、病気で弱っていたこともあり、

今回思い切って株元から切りました。

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こちら、一番手前(写真右端)のフジが、隣接する公園から移植した古木のフジです。

奇跡的に活着し、今では元気よく生育しています。

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真横から見たところ。

長く伸びたツルは、左側の新しく作ってもらったパーゴラに誘引していますが、

枝の右半分は「立ち木仕立て」をイメージした作りこみにしています。

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こちらの写真は、地元・奈良の春日大社の境内にある「萬葉植物園」にある、「立ち木仕立て」のフジです。

いわゆる「棚づくり」と呼ばれる「パーゴラ(フジ棚)」に寝かせるような仕立て方が多いフジですが、

萬葉植物園では、結構な本数、「立ち木仕立て」で育てられています。

 ※ 萬葉植物園のフジの風景のブログ記事は、こちら → 「フジがつくる美しき風景(後編・萬葉植物園のフジ)

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こちらの白藤も、萬葉植物園の「立ち木仕立て」のフジで、枝の半分はフジ棚へ誘引され、

もう半分は、盆栽のように空中で花を咲かせるような仕立てになっています。

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我々の公園のフジも、ほとんどが「棚づくり」(パーゴラへの誘引)ですが、

この前の公園から移植した古木のフジは、その枝の半分は、パーゴラ側に引っ張っていますが、

もう半分は「立ち木仕立て」としています。

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別アングルで見ると、このような感じ。

フジは大木になると、一本の木で10㎡以上もカバーすることができるようで、

この新たに作ってもらった小さなパーゴラには、納まりきらないのです。

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公園より1.5mほど高い位置にある道路から見下ろした様子。

古木のフジから伸びるつるが、すでに小さなパーゴラを覆いつくしています。

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手前(写真右側)の、青い塗装が施された鉄製のパーゴラと、アルミと樹脂でつくられた新しい

茶色いパーゴラの間に、もう一本、フジの若木が植えられています。

隣接する公園から移植した古木のフジが、万一枯れた際の保険として植えてもらったものですが、

移植したフジ、新しく植えたフジ両方ともがうまく活着し、小さなパーゴラ(茶色い方)に

2本のフジの枝を伸ばせるだけのスペースがなくなってしまいました。

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そんなこともあり、保険で入れてもらった若木のフジを、古い鉄製のパーゴラの方に、

引っ張って誘引することにしたのです。

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その様子を別アングルで撮影したのがこちら。

右側の茶色いパーゴラの際に植えてもらった若木のフジを、左側の青く塗装された古いパーゴラの方に

引っ張って誘引しているのが分ると思います。

青い鉄製のパーゴラの足元に植えられていた古木のフジは、病気に掛かって元気をなくしていたので

思い切って根際で伐採しました。

少し不細工ですが、うまく共存させるために、このような対策を行って育てています。

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冒頭でも紹介した、10年ほど前に、近所の公園で咲いていた見事なフジ。

いつかこのような風景を再生できるよう、グリーンサポート会のメンバーで愛情を注いでフジの木を育てています。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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