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専門家「風景」をつくるガーデニング術

僕のおススメのバラの植え替え方法

居場英則

ディノスさんのこのガーデニングサイト『dinos ガーデンスタイリング』に

連載記事を書かせていただくようになって、もう間もなく3年になります。

今年一年は、「僕のおススメの○○○」と題して、東西のおススメのバラ園や、

おススメのバラやクレマチスの品種紹介など、書かせていただきました。

この「僕のおススメ」シリーズも、今月と来月の2回を残すのみとなりました。

来年は、また別のテーマで書かせていただく予定になっているのですが、

今年のあと2回、「僕のおススメ」シリーズでは、

年末年始にかけてのロザリアン必須の庭作業について、

書かせていただこうと思います。

今回は、「僕のおススメのバラの植え替え方法」をご紹介します。

我が家の庭は、その大部分が乱張り石のテラスになっていることもあり、

育てているバラの8割がたは、鉢植えです。

都市部の住宅地ですので、隣接建物の影響で日陰も多く、

また、場所によっては風通しも悪かったりして、

バラ栽培には、なかなか厳しい環境条件です。

そんな中、たくさんの鉢植えでバラを育てているのですが、年末を目前にした

この時期、毎年恒例の庭作業が、「鉢植えのバラの植え替え」です。

バラの植え替えについて、多くのバラの本にも詳しく記載されていますし、

バラ界の有名な先生方が講習会などでいろいろお話をされておられます。

それぞれ微妙に違う部分もありますし、育てておられる地域の環境条件に

よっても、異なることがあります。

ですので、これが正解!というものではなく、こういう方法もあるんだ、

くらいにみていただいて、あとは、それぞれのメソッドの良いところや

自分の育て方に合う方法を模索しながら、試していただけたらと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、今回、僕のバラの植え替え方法を

みていただく前に、ディノスさんでも取り扱いのある関連商品について

少し紹介させていただけたらと思います。

今回、使わせていただいたのが、こちら↓の商品。

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ロザリアン垂涎の肥料、「バイオゴールド・セレクション薔薇」です。

この赤いパッケージの袋を、園芸店の店先でご覧になった方も多いと思います。

一般的なバラの肥料に比べると、お値段もちょっぴり高めの高級肥料です。

鉢植えのバラの場合、水やりの度に、肥料分が流亡するため、定期的に

追肥を入れてやる必要があります。

とはいえ、たくさんのバラを鉢植えで育てていると、多くの肥料が必要となり、

なかなか高級な追肥肥料を使うことができないのですが、

今回、この「バイオゴールド・セレクション薔薇」を使わせていただきました。

年末の鉢バラの植え替えにあたって、この肥料の効果がどれくらいあったのか、

鉢の中の根張りの状態をチェックしてみようと思います。

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バイオゴールド・セレクション薔薇」の赤いパッケージを開封したところ。

一瞬、磯の香りが漂うような気がしますが、基本的にはほぼ無臭です。

肥料としては大きい白い粒が見えます。

天然素材由来の原料で、生育に必要な三大要素(窒素、リン酸、カリ)に加え、ミネラル分も豊富で、

土中の有効菌を活性化させ、土が柔らかくふかふかになるというふれこみです。

我が家のような、日照条件の悪い環境下においても、バラの力を引き出してくれるという、頼もしい肥料です。

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パッケージの裏側には、親切な説明書きがあります。

鉢植えのバラには、3月頃から年末近くまで、月1回ペースで、8号のスリット鉢では30粒程度入れるようです。

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バイオゴールド・セレクション薔薇の粒の一つ一つは、特徴的な三角形をしています。

開発者がこだわったこの三角形のフォルム。

鉢の中で転がらず、水やりの際にもその場に安定する、というのがポイントのようです。

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これで、約10粒。

一般的な8号スリット鉢なら、この量の3倍を鉢の上に並べます。

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約10粒を、鉢の縁際に置いてみます。

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こちらは、つるバラを植えた10号鉢。

10~15粒ほどを3カ所、追肥として置いてみました。

ちなみに、二重鉢になっているのは、まだ苗の生育が十分ではないので、大きい外側の鉢(12号)では大きすぎ、

鉢の中で溺れてしまうので、内側の10号のロゼアポットに植え付けしています。

ただ、オベリスクに誘引したいので、オベリスクの支柱が刺さるように、外側の鉢を用意しているのです。

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バイオゴールド・セレクション薔薇を置いてから、半月程度経った頃の様子。

日々の水やりや雨で、こんな風になります。

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アップで見てみましょう。

炭が燃えたような感じにも見えますが、肥料が溶け出した感じがよく分かります。

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つるバラの鉢植えを植え替えのために取り出してみました。

白根が、鉢の外側によく見えています。

まずまずの状態ではないでしょうか?

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取り出した鉢の上に載せてみました。

これだけ元気な状態なら、来年も期待できそうです。

さて、ここまで「バイオゴールド・セレクション薔薇」を使っての

バラ栽培の根張りの状態を見ていただきましたが、

ここからは、同じく「バイオゴールド・セレクション薔薇」肥料を使った

我が家の鉢植えのバラの植え替え作業について、

いくつかのパターンを見ていただこうと思います。

まずは、こちら↓

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こちらは、2年前に新苗で購入した、チェビー・チェイスというつるバラです。

まだ2年目でひ弱な苗だったので、8号スリット鉢に植えています。

ただ、見た目を考慮し、どうしても、この大きさのテラコッタ鉢を使いたかったため、

8号スリット鉢を内側に入れ、その外側にも土を入れています。

こうすることで、根の大きさに合わせた鉢環境を作っています。

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テラコッタ鉢から、8号スリット鉢を抜きました。

プラスチックの鉢の底のスリット部分から、根がはみ出るように伸びていました。

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根張りの状態は、こんな感じ。

思ったほどの根張りではありませんでしたが、クラウン近くにも白根が見られ、

まずまずといったところでしょうか?

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植え替えに当たって、根をほぐします。

頭皮マッサージをするように、株元付近をほぐしつつ、底の部分もほぐしています。

この際、根に癌腫がないかのチェックもしています。

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全体の3分の一から2分の一程度、土をほぐしました。

今回、このつるバラ、チェビー・チェイスは地植えすることにしました。

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建物の外壁面に誘引するために、建物の際に50センチ四方、深さも50センチ程度の穴を掘ります。

そして、その底の部分に、帯水層として、腐葉土を2センチほど敷き詰めるようにしています。

この辺りも、バラの先生や解説本によって違うところなので、参考程度に考えていただければと思います。

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植え込む土ですが、僕は、自分で資材を混ぜて培養土を作っています。

目安としては、赤玉土(中粒):赤玉土(小粒):腐葉土:牛糞堆肥=3:3:2:2 のイメージです。

これ以外にも、牡蠣殻石灰や草木灰、くん炭などを混ぜる場合もあります。

この土の配合も、それぞれなので、あくまでも参考程度に。

今回は、地植えするため、穴を掘った時に出た土(後ろのバスケットの中の土)を、

作った培養土に適量混ぜて、埋め戻しします。

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バラ苗を植えるために、堀った穴に培養土(一部掘った土を混ぜたもの)を入れていきます。

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バラ苗の植え付けの前に、元肥も適量ばらまきます。

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根を崩したバラ苗(チェビー・チェイス)を、掘った穴にセットしていきます。

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クラウンが土の中に隠れてしまわないよう、高さを決めて土を入れていきます。

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竹の棒などを使って、株元の下の方に向かって斜めに差し、土の中に空隙ができないようにしていきます。

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土が落ち着いたら、株元のクラウンが隠れないように再度調整して、その周りにウォータースペースを作ります。

ちょうどお皿のような感じです。

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次に、水やりをします。

この際、特定の水道(みずみち)が出来てしまわないように、念入りに水を遣ります。

水を遣ることで、根を落ち着かせることを、「水決め」と言います。

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均等に水が引いていくようであれば、大丈夫です。

これで植え付け完了です。

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このあと、このつるバラ、チェビー・チェイスを建物壁面に誘引していきます。

本格的な誘引は、もう少ししてから。

バラの休眠期に入る12月~1月くらいに、毎年実施しています。

今回は、ツルが折れないように、仮の誘引です。


続いて、こちらはは、「鉢植えのバラ」を「鉢植えのまま植え替え」する

様子です。

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こちらは、イングリッシュローズの古い品種で、ウィズレー。

立派なクラウンで、株立ち樹形の美しい鉢植えです。

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8号スリット鉢から取り出してみました。

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こちらのところどころに白根が見え、まずまずの状態かと思います。

土の状態もそんなに悪くないため、軽く土を崩す程度にとどめます。

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先ほど同様、株元の土の肩部分を軽く崩します。

株元の真下、鉢底の中心部分を軽く崩します。

また周辺部も土を削るようにほぐします。

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一回り小さくなった株を、同じ8号スリット鉢に戻します。

この際、空いた隙間に新しい土を入れ、底の部分には、元肥を忘れずに

入れるようにしています。

こちら↓は、また別の植え替え方法を実践しています。

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このテラコッタ鉢に植えているのは、中型のつるバラ、カクテル。

昨年植え替えたばかりの鉢で、まだ土もそんなに悪くなっているわけではないと思うので、

今回は、部分的な植え替えをすることにしました。

植え替えの作業も、誘引を解かずに、そのまま行いました。

DSC_3015.jpgテラコッタ鉢の

テラコッタ鉢の土を、部分的に金属製のスコップで掘って、取り出します。

この時、多少、根を切っても大丈夫です。

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このような感じで、全体で3カ所、穴を掘ります。

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3ヶ所掘った穴に、新しい土を入れるのですが、その前に、元肥を入れておきます。

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そして、その上から、新しい土を投入して、最後はキレイに表面をならします。

これで、植え替え完了!

とても簡単です。

植え替えて間もない鉢や、大きくて鉢を倒しての植え替えが難しい場合などに、この方法を使います。

全く土を変えないよりは効果が見込まれると思っています。


以上のような形で、我が家では、この時期鉢植えのバラの植え替え作業を行っています。

鉢数がたくさんあるので、大変ですが、鉢を開けた際に、その根の様子を確認することができ、

今年一年頑張った成果を目で見て確認することができるので、ハラハラドキドキしながら作業をしています。

さて、次回は、「僕のおススメ」シリーズの最終回ということで、「僕のおススメのつるバラ誘引法」と題して

書かせていただこうと思っています。

これからバラの作業をされる方の参考になれば幸いです。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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