少し前の記事にも書きましたが、今の我が家の庭づくりを始めたのが3年半ほど前になります。
病気で妻を亡くしたことがきっかけなんですが、それまでは同居していた母が庭の管理をしていました。
管理をしていたと言っても、好き勝手に植物を並べただけの状態で(汗)、新築時に植えた高木も、
きちんとした剪定もされず、荒れ放題に近い庭となっていました。
「亡き妻を偲ぶ追悼の庭」づくりを思い立ち、ピンク色のバラで庭を埋め尽くそうと考えたのですが、
意外なことに、まず最初にしたことは、ガーデンの骨格となる高木の植え替え、配置換えでした。
バラがメインの庭にするつもりでしたが、バラだけがてんこ盛りにある庭にはしたくなくて、高木や低木、
宿根草やグランドカバー植物なども混在する、自然な雰囲気の庭を目指そうと思いました。
そんなことでスタートしたガーデンリフォームですが、今回は我が家の庭の高木について書いてみようと思います。
●見下ろしのアングルを意識した中庭の植栽計画
こちらは、我が家の中庭で、2階の廊下からの見下ろしのアングルで撮影した写真です。
我が家の中庭はコの字型の建物に囲まれ、さらに隣接する南側のお隣のお宅にも囲われた、
閉鎖的な庭となっています。
その大部分には、乱張り石が敷き詰められ、土が露出している部分は極端に少なく、
しかも中庭の隅の方に分散しているのです。
その限られた土のスペースそれぞれに、高木を植えることで、
立体的に中庭を取り囲むような配置にしています。
写真右上が、新しくガーデンリフォームで植樹したコハウチワカエデ、
左上が別の場所から移植した常緑樹のシラカシ、左下に見えているのが常緑樹のソヨゴです。
どの木も株立ち樹形を選び、なるべく圧迫感のないように配慮しています。
●優しい木陰を生み出す、コハウチワカエデ
中庭をグランドレベルで見たのがこちらの写真。
もともとは、ここに常緑樹のシラカシが植えてあったんですが、
常緑樹ゆえ全体的に重い印象となり、それでなくても隣接建物の影になり、
暗いイメージのこの場所が一層暗く感じるので、思い切ってシラカシを掘り上げ、
中庭の反対側に移植しました。
落葉樹で葉が薄くて適度に光を通すコハウチワカエデは、
シェードガーデンを明るい雰囲気に変えてくれました。
●2階からの見下ろしの風景でも考えてみる
こちらの写真は、2階の寝室から見下ろした中庭のシェードガーデンゾーン。
敷地の南側とはいえ、隣接する建物が迫っているため、
かなりの日影になる場所です。このシェードガーデンには、
日影でも育つ宿根草のギボウシやシダなどを植えています。
その頭上には、軽やかな黄緑色のコハウチワカエデの葉が太陽の光を浴びて
輝いています。
隣接する建物の影を避けて、高い位置で葉に光を当てることで、
太陽の光を感じさせるという作戦です。
立体的に植栽を施すことで、日影の庭を心地良いものにすることができます。
●借景としての高木
こちらは、中庭をグランドレベルから見た写真です。
まだバラの花が咲く前、4月の庭です。
極端に土が少ない我が家の中庭では、テラコッタ鉢を多用して、その季節の旬な花を咲かせる工夫をしています。
この時期は、チューリップやムスカリといった球根植物に加え、ユキヤナギやハナカイドウといった
早春を感じさせる花が咲き始めています。
この中庭の風景をより豊かにしているのが、背景となり両サイドに見えている高木です。
画面右側がシェードガーデンから移植した株立ちのシラカシ、左側に見えている株立ち樹形の高木が、ソヨゴです。
どちらも常緑樹ですが、枝を透くような剪定を行い、なるべく軽やかに見せています。
高木が全て落葉樹となると、冬場が淋しくなるので、適度に常緑樹を混ぜるようのが良いように思います。
●建物の北側、終日日影の場所にも高木を植樹
こちらは、玄関ドアを開けて正面に見える位置にある坪庭です。
建物の北側にあり、ほぼ終日日影となる場所で、植物を植えるには厳しい環境です。
以前、ここに植えていた日影に強いとされる陰樹のイヌシデは生育不良でした。
ガーデンリフォームに際し、ヤマモミジをインターネット販売で取り寄せ、
ダメ元でこの場所に自分で植えてみました。
すると、ラッキーなことにちゃんと根付いてくれました。
植物の生命力は想像以上でした。
●秋の紅葉の時期にはライトアップ
枯れてしまうことを覚悟の上で、建物北側の坪庭に植えたヤマモミジですが、
枯れるどころか日影をものともせず成長し、秋には美しい紅葉を見せてくれました。
日当りの悪い場所では、モミジは美しく紅葉しないと聞いたことがありましたが、
嬉しい誤算でした(汗)。
せっかく美しく紅葉した景色を昼だけではもったいないので、ライトアップしてみました。
玄関ドアを開けた正面のフィックスガラスの奥に、照明で照らされた紅葉が美しい
モミジが暗闇に浮かび上がった時は、とても感動しました。
●「時間を買う」つもりで、高木を植栽する
こちらは、我が家の前庭です。
前面道路に面した前庭は、道路と仕切りのないオープンな空間となっています。
この前庭では、建物の外壁や隣地境界の塀やフェンスに誘引したつるバラが見せ場ではあるのですが、
バラが咲くのは、一年の中で2週間〜長くても1ヶ月程度。
それ以外はバラの花のない庭となってしまいます。
なので、バラだけではなく、バラの花がない時でも美しく見えるような雑木の庭をベースに考えました。
前面道路に一番近い花壇には、我が家のシンボルツリーとなる、約5メートルの高さのある株立ち樹形のエゴノキを
新たに植樹しました。
また、建物際の花壇にも株立ちの落葉樹のアオダモを植栽しています。
それ以外にも何本かの高木をランダムに配置することで、前庭の立体感や奥行き感が出るように配慮しました。
バラ苗に比べると、高木一本の値段はかなりしますが(汗)、「(成長するまでの)時間を買う」感覚で、
予算の許す範囲内で、なるべく大きな木を入れることにしました。
●花ではなく、樹形を楽しむ株立ちの落葉樹
こちらは、前庭の建物に近接した花壇に新たに植樹した落葉樹のアオダモです。
野球のバットの材料にもなる堅い木ですが、成長は遅く、
花を鑑賞する木ではありませんが、その細くしなやかな樹形はとても美しいです。
特に新緑時期の葉っぱはとても清々しく、庭の清涼剤のようです。
美しい樹形をキープするために、時々、剪定する必要はありますが、
それも雑木の庭ならではの楽しい作業です。
我が家では、このアオダモの奥に、メインのつるバラを壁面誘引しているので、
なるべく影を落とさないように、定期的に剪定しています。
●記念樹は残して活かす
こちらは前庭の玄関アプローチ脇の花壇に植えている高木で、ヤマモモ。
新築時からずっとこの場所に植えたままにしています。
3年前のガーデンリフォームで、前庭の高木は一新したのですが、
このヤマモモは新築祝いにいただいたものでもあり、このまま残すことにしました。
葉の堅い常緑樹は、放置するとすぐに葉が茂り、ボリュームも大きくなってしまうので、
定期的な剪定が必要です。
ここでは、すぐ横の建物外壁面につるバラを誘引したこともあって、
なるべく日影をつくらないように、以前より強めに剪定するようにしています。
●お隣さんのカーポートの存在を消す常緑樹のオリーブ
こちらは前庭の北側隣地境界側を見た写真です。
お隣のお宅には、黒いアルミ製のカーポートが設置されていましたので、そのカーポートの存在感を
少し和らげるために、常緑樹のオリーブの木を隣地境界のフェンスに添って、3本植えています。
ここも、以前は常緑樹のキョウチクトウという木を3本、列植していたのですが、日当りも良過ぎて
大きく成長してしまい、剪定が大変になってきました(汗)。
そこで、常緑でありながら、葉も軽やかなオリーブの木にガーデンリフォームの際に植え替えをしました。
オリーブの銀葉のおかげでとても優しい雰囲気になり、秋には実も収穫できるようになり、一石二鳥でした(笑)。
オリーブの木の足元には、地植えの宿根草のアガパンサス(青い花)と鉢植えの紫陽花(濃いピンクの花)を並べ、
さらにその足元をカバーするようにセダム類を植えています。
こうすることで、立体的な植栽帯になりました。
今回は、我が家のガーデンリフォームに伴う、高木の植え込みについて書いてみました。
庭の骨格を決める上で、高木の品種選び、配置計画はとても重要なことではないかと思います。
庭づくりの中で、一番コストもかかるものですし、一度植えてしまうと、なかなか植え替えも難しいものなので、
熟慮して決められるのが良いと思います。
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