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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業・中庭プロジェクト、その9(工事編:スタンドベンチ塗装工事)

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でつくる中庭プロジェクト。

徐々に出来上がっていく中庭の様子を、ランドスケープアーキテクトの視点でご紹介していく企画、

工事編の続きです。

工事は着々と進んでいるのですが、こちらのブログでのレポート記事は、

少し遅れてまして、まだ昨年末の様子を思い出しながら書いております。

今回は、中庭の観客席となる楕円形のスタンドベンチの塗装工事(仕上げ工事)について整理してみました。

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こちらは、まだコンクリート製のスタンドベンチの型枠が外れて間もない頃の様子です。

校舎で囲われた中庭も、まだ植栽などもなく、砂利やコンクリートだけの殺風景な空間でした。

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スタンドベンチの話に行く前に、中庭の時計塔の話をしておきます。

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こちらは、昨年2023年の夏、まだ中庭の工事が始まる前の写真。

旧・平城高校時代のままの中庭風景です。

この中庭の中心部の円形花壇にこの時計塔は設置されていました。

中庭で過ごす際、時間がよく分かるように設置されていたものです。

解体工事にあたり、この時計塔は一旦撤去されていましたが、新しい中庭に引き継いで使われることになりました。

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新しい中庭の工事が進み、これから植栽工事などが行われる前に、前にあった時計塔を設置することになりました。

新しい中庭では、様々な活動ができるよう広場になっている関係で、時計塔は真ん中から、隅の方へと

場所を変えることになりました。

設置されたのは、中庭北西の角に近い場所。

中庭の楕円形のスタンドベンチから見えやすいこと、校舎南棟の共用廊下からも中庭を見下ろした際に見える位置

ということで、この場所となりました。

新しい庭で、未来に向けて時を刻んでくれることを願っています。

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さて、楕円形のスタンドベンチの話に戻しましょう。

中庭の広場を囲むようにつくられた楕円形のスタンドベンチは、無筋のコンクリートでできています。

型枠を外したばかりの状態は、冷たい無機質な物体のように見えます。

スタンドベンチの一段目の足元には、中央広場の雨を排水するための雨水側溝を設けています。

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ランドスケープデザインでは、雨水をどのように処理するかが重要なポイントになります。

中央広場のタイル面には緩やかな勾配が付けられ、四方に水を排水するように設計しています。

そして、この側溝で受けて、集水枡から場外へと排水します。

スタンドベンチの足元の雨水側溝には、最終的にはグレーチングが設置されますので、

その上に足を置くことになります。

4段のスタンドベンチも緩やかな勾配に沿って設けられ、前の人の頭上を抜けて視線が広がるように設計しています。

楕円形のスタンドベンチの重なりが、なかなか良い感じです。

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こちらは、スタンドベンチの側面。

コンクリート打設時にできる細かい「す穴」を補修してもらっているところです。

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こちらは、スタンドベンチへとアプローチする階段部分です。

同じくコンクリートでできています。

ベンチとベンチの間の隙間ですが、今は砂利が敷き詰められていますが、その砂利を撤去し、

そのあとに土を入れ、植物を敷き詰める予定です。

植物は、芝生ではなく、踏圧にも耐え、耐雑草性の高いグランドカバー植物を植栽する予定です。

どんな植物を植えるかは、乞うご期待!

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コンクリート製の階段を正面から見たところです。

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楕円形のスタンドベンチは、コンクリート製で出来ていますが、コンクリートは水分を含んでいることから

収縮によりクラック(ひび割れ)を起こしてしまいます。

そのため、そのクラックを意図的に発生させる「伸縮目地」をところどころに設けています。

写真は、職人さんが、その伸縮目地にコーキング材を打っている様子です。

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白いコーキング材を伸縮目地に打ってもらった様子です。

このままだと伸縮目地が目立ってしまいますが、このあと、コンクリートのスタンドベンチに白い塗装を施して

仕上げすることになっています。

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スタンドベンチへの白い塗装工事が始まりました。

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上面(座面)だけでなく、側面(見える側も裏側も)もすべて、白い塗装を施します。

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東棟校舎の中庭への昇降口近辺の重力式擁壁(表面を石積みで化粧したもの)側から見たアングル。

自然石と人工物との違和感があるように見えますが、植栽が入ると、だいぶ見え方が変わってくると思います。

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どんどんスタンドベンチが白く塗り込められていきます。

中庭を囲む四周の校舎が白いこともあるのですが、植栽の緑とのコントラストを考慮して、白色を選んでいます。

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スタンドベンチは座る部分なので、白く塗りますが、階段は下足で歩くところなので、

コンクリートの仕上げのままとしています。

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ほぼスタンドベンチが白色に塗り終わりました。

側面に四角い穴が開いている部分には、足元灯が設置されます。

夕暮れから夜間にかけて、ほのかな灯りで中庭が浮かび上がるようにデザインしています。

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こちらは、中庭の南北の校舎両側に設置されて、重力式擁壁。

スタンドベンチや植栽を植えるために、約1mの盛土をしいていますが、その盛土を受け止めるための擁壁です。

このコンクリート製の擁壁のトップと側面にも、撥水性の塗料を塗ってもらっています。

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こちらは、中庭西側のサブアプローチ両側に設けられたL字型の擁壁。

ここも、植栽を植えるために盛り上げた土を受けるための擁壁です。

この擁壁は、石の化粧貼りなどはせず、コンクリート打ち放し仕上げとなります。

その打ち放し面にも撥水塗装を塗ってもらっています。

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楕円形のスタンドベンチが白く塗られたところで、校舎上から見下ろしで中庭全体を見た俯瞰の写真です。

コンクリートのままの時より、白く塗られて、よりスタンドベンチの存在感が際立ってきました。

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中庭の一部が校舎の影になる関係で、アンシンメトリー(非対称)にデザインしたスタンドベンチの様子が

よく分かるアングルです。

正面奥が、校舎東館で、その1階が中庭へとアプローチできる昇降口になります。

中庭中央では、タイルを貼るための基礎工事が始まっています。

これから、急速にさまざまな仕上げ工事が始まっていきます。

これまでの土木工事から、仕上げ工事、ガーデンとしての趣きが感じられる工程に入ってきます。

今後の進捗にも乞うご期待ください!

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【 奈良高校・創立100周年記念事業について 】

今回の奈良高校・創立100周年記念の中庭プロジェクトは、50年前の創立50周年の時と同じく、

OBOG(卒業生)をはじめとした、様々な方々の寄付によって創られる事業になります。

「奈良高校 100周年記念特設サイト」も、2023年9月1日よりオープンしております。

  [ 奈良高校 100周年記念特設サイト] は、こちら ⇒ 奈良高校 創立100周年 (narahs100th.jp)

 
 創立100周年を機に、ますます発展する奈良高校へご支援いただけましたら幸いです。   

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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