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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業・中庭プロジェクト、その7(工事編:スタンドベンチ全貌現る)

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でつくる中庭プロジェクト。

徐々に出来上がっていく中庭の様子を、ランドスケープアーキテクトの視点でご紹介していく企画、

工事編の続きです。

中庭の工事はだいぶ進んでおりまして、中庭の象徴的な楕円形のスタンド・ベンチ(観覧席)が

ようやく全貌を現しました。

今回は、その様子をレポートしたいと思います。

【 2023年11月24日(金)】

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この日は、中庭の楕円形の焦点のひとつに設置する「羅針盤」と呼んでいる石板プレートを、

在校生有志とつくるワークショップの第4回目(最終回)があるため、学校に来ました。

夕方からのワークショップの前に、現場の監理で、中庭の工事の進捗を確認します。

中庭西側(通用口)側から、正面に東館(生徒の昇降口がある建物)方向を見たところです。

西側アプローチの両側には、築山状の植栽帯の土留めのためのコンクリート擁壁が見えています。

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中庭西側の屋外階段(西館2階の図書館へとつながる外部階段)の途中から、中庭を俯瞰で見てみました。

図面で描いた楕円形が中庭にしっかりと現れています。

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もう少し階段を上がって、2階のレベルから見ると、このような感じになります。

楕円形の広場の周りを囲むように、階段状のベンチが見えています。

正面の建物(東館)1階中央が、中庭へとアプローチできる昇降口です。

現在は、工事中のため、出入りできないようにしていますが、中庭完成の暁には、この昇降口から、

中庭へと入ってくることができます。

中庭の中央広場を囲むように設置しているスタンドベンチは、中庭の日照条件を考慮して、

非対称にデザインしています。

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中庭のレベルに降りて、スタンドベンチに近づいてみました。

型枠も外され、コンクリート内の水分もだいぶ抜けて、白くなってきました。

最終的には、このコンクリートに白い撥水塗装を行う予定です。

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楕円形のスタンドベンチから、東館の昇降口方向を見たアングルです。

このあたりのスタンドベンチは、対称(シンメトリー)になっていて、スタジアム感が出ています。

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東館の昇降口側に回り込んで、西棟方向を見たアングルです。

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このアングルが、ちょうど、東棟から西棟を真正面に見たアングルになります。

赤いコーンが置いてある場所に、学生ワークショップでつくる「羅針盤」(石板プレート)が設置されます。

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昇降口から少し南方向にずれたアングルです。

右側が職員室などがある本館(北棟)で、こちら側は日当たりが良いので、スタンドベンチが

かなり奥の方までぐるっと回り込んでいます。

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こちらは、東館の昇降口を南館方向から見たアングルです。

南館は4階建てで、かなりの日陰を中庭に落とします。

特に、太陽高度の低い秋~冬にかけては、中庭の半分ほどが日陰になってしまいます。

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こちらは、南館から西館方向を見たところ。

このあたりが一番校舎の影になる場所で、スタンドベンチは減らして、日陰に強い植栽を植える

ロックガーデンエリアとしています。

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一方、反対側の本館(北館)側のスタンドベンチには、秋冬でも十分、陽が当たります。

暖かい日向エリアに多くのスタンドベンチを配置しています。

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こちらは、スタンドベンチと中央広場の境目。

ガーデンや公園のような大きなランドスケープ案件では、排水が重要です。

広場に降った雨をどのように流す(排水する)のかを考えて設計しています。

今回は、中央の広場部分と楕円形のスタンドベンチの間に、

コンクリートの既製品のU字溝を設けています。

スタンドベンチがある部分には、グレーチングを設置する予定になっています。

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中央広場では、次の工事工程の準備作業が始まっています。

中央広場には、タイルをパターン張りする予定ですが、そのタイル下地(基礎)工事が進められています。

ジャリを敷き詰め、ランマーという機械で転圧し、締め固めていきます。

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ひととおり現場での打ち合わせが終わったので、校舎の中の各方面から、中庭を俯瞰で見てみます。

こちらは、東館2階の廊下側から中庭を見たアングルです。

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少しズームしてみました。

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こちらは、南館と東館の角、3階部分からの俯瞰。

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こちらは、南館と東館の角、4階からの見下ろしです。

視点が上がると、ベンチの見え方にも変化が出てきますね。

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東館3階、昇降口の真上あたりからの見下ろしのアングルです。

このアングルだと、スタンドベンチの非対称(アンシンメトリー)の感じがよく分かると思います。

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南館4階の廊下側から見おろした中庭です。

ほぼ中庭の東西方向の中心部から見下ろしています。

楕円形が少し右側にずれているのが分かりますでしょうか?

南館の外壁面の一部にタイル張りがされているのですが、それが建物中央ではないため、

そのタイル面に中庭の楕円の中心を合わせた結果、全体的に東にずれるような配置になっています。

中央部分では、次の工程のタイル張りの基礎工事が進んでいます。

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再び、東館2階廊下から、中庭全景を撮影してみました。

このアングル、完成予想CGパースとほぼ同じアングル、画角です。

まだスタンドベンチしか出来上がっていませんが、ここに床のタイル張りや植栽が加わると、

ぐっとガーデンぽくなってくると思います。

CGパース昼景(最終版・枠なし)(奈良高校・中庭PJ).jpg

こちらが、完成予想のCGパース。

実物の空間の出来が良くなってきたので、比較してみると、仕上がりのイメージができますでしょうか?

これから、さまざまな仕上げ工程に入っていきますので、どんどん風景が変わっていきます。

乞うご期待ください!

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【 奈良高校・創立100周年記念事業について 】

今回の奈良高校・創立100周年記念の中庭プロジェクトは、50年前の創立50周年の時と同じく、

OBOG(卒業生)をはじめとした、様々な方々の寄付によって創られる事業になります。

「奈良高校 100周年記念特設サイト」も、2023年9月1日よりオープンしております。

  [ 奈良高校 100周年記念特設サイト] は、こちら ⇒ 奈良高校 創立100周年 (narahs100th.jp)

 
 創立100周年を機に、ますます発展する奈良高校へご支援いただけましたら幸いです。   

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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