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専門家「風景」をつくるガーデニング術

秋の球根植え付けシーズン到来

居場英則

10月も終盤に差し掛かり、ずいぶんと涼しく過ごしやすくなって来ました。

もう冬の訪れもすぐそこに感じられる季節ですね。

さて、この時期のガーデニングイベントとして、春咲き球根の植え付け作業があります。

今回は、我が家の球根植え付け作業の様子をご覧いただこうかと思います。

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この時期になると、園芸店の店先では、春に花が咲く植物の球根が目につくようになります。

チューリップをはじめ、水仙、ヒヤシンス、ムスカリ、その他たくさんの球根が並びます。

我が家では、かなり数の鉢植えに球根を植え付けしますので、通販で割安な球根を調達することが多いです。

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こちらは、ある年の春(4月頃)の我が家の中庭の風景です。

たくさんの鉢植えに、色とりどりのチューリップやムスカリなどを咲かせていました。

最近は、育てている植物が増えてしまったので、これほどの数の球根を植えてはいないのですが、

チューリップなどを群生して咲かせると、本当に華やかな春の庭になりますね。

この春のチューリップ満開の写真を、とあるチューリップメーカーさん主催のフォトコンテストに応募したところ

入賞することができて、賞品としてチューリップの球根をたくさんいただいたことがあります。

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こちらがその時に送っていただいたチューリップの球根です。

普段なかなか目にすることがない希少な品種のチューリップの球根を送っていただいて、とても感激しました。

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こちらは我が家の前庭・玄関アプローチに、チューリップを植えたテラコッタ鉢を並べていた時の写真ですが、

別のとある園芸資材メーカーさんからのオファーがあって、販売用の球根のパッケージに

この写真を使わせてもらえないかというお話をいただいたことがあります。

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もちろん快諾をして、我が家のガーデンの写真を使っていただきました。

こちらが、その写真を使って商品化された球根のパッケージです。

自分の庭の写真が一般に販売される商品のパッケージに使われるという、なかなか遭遇しない機会を頂きました。

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その年は、その園芸資材メーカーさんが、是非ご自宅で使ってくださいと、大量に球根を送って下さって、

とても贅沢にたくさんの球根を使わせていただきました。

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そんな春咲き球根の植え付け作業は、概ね10月頃に行っています。

土のままの地面が少ない我が家の庭では、ほんんど鉢植えになります。

庭の風景をつくるために、なるべくシンプルなテラコッタ鉢を使うのですが、テラコッタ鉢フェチなもので、

かなりの数のテラコッタ鉢のコレクションがあります。

写真は、そのほんの一部ですが、これらのテラコッタ鉢を駐車場に並べるところから作業が始まります。

どの鉢にどの球根を植え付けるか、毎年悩みながらの作業ですが、春の開花風景を想像しながら

球根を鉢に間配りしていきます。

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いざ、球根の植え付け作業に入りますが、こちらは、一般的なチューリップの球根です。

通常販売されている時は、茶色い皮を被った状態になっています。

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この薄皮を剥いて、植え付けるようにしています。

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僕の植え付け方法は、一品種一鉢で、なるべく密集して植え付けています。

球根のパッケージに記載されている植え付け時の球根と球根の間隔より、かなり狭めにしています。

咲いた時の密度感、ボリューム感を出すように意識しているためです。

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球根は同じ向きに並べて植え付けることが重要です。

球根の向きによって、葉が出る方向が決まるので、同じ向きに葉が展開するように、球根を並べていきます。

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元肥(マグァンプKなど)をパラパラと撒いて、培養土を球根の上に被せていきます。

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チューリップの他に、水仙やムスカリ、スノーフレーク、チオノドグサ、フリージアなどの球根が小さい品種は

毎年、花後に球根を太らせてから掘り上げ、殺菌剤で消毒して再利用するようにしています。

チューリップなどの球根の大きな品種は、養分をほとんど使ってしまい、なかなか翌年も同じような立派な花は

咲かせることができないので、チューリップは一年ものとして、花後に廃棄しています。

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リサイクルするムスカリや水仙などの球根は、秋まで直射日光の当たらない、通風の良い場所で保管しています。

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ムスカリなどの小さい球根は、何度もリサイクルできるのですが、やはり年々球根が小さくなってしまいます。

ですので、新しい球根も買い足して、混ぜて使うようにしています。

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ムスカリの球根もかなり高密度に植え込んでいます。

鉢の中央に、新しく買い足した球根を配置し、その周囲にリサイクルした球根を植え付けるようにしています。

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同じ鉢をいくつか作って、開花期に鉢を並べてボリュームを出せるようにしています。

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こちらは、チオノドグサの球根です。

チオノドグサもリサイクルして使えますが、ムスカリ同様、リサイクルを繰り返すと徐々に球根が小さくなるため

新しい球根を買い足しています。

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チオノドグサの球根も、新しいものを中央に配置し、周囲にリサイクルの球根を配置します。

こうすることで、鉢の中央で大きな花を咲かせることができ、鉢としてのバランスが取りやすくなります。

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僕は、球根に限らず、寄せ植えが苦手なので(センスがないもので)、基本は一品種ひと鉢スタイルなんですが、

たまにチーリップとビオラ・パンジーを寄せ植えにすることもあります。

チューリップの花色と、ビオラ・パンジーの花色の組み合わせを考えながら球根と苗を間配りしているところです。

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鉢の中央にチューリップの球根をまとめて植え付け、その周囲に、ビオラ・パンジーの苗を配置します。

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球根の上に培養土を被せて完成です。

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春咲き球根の植え付けがひととおり完了した状態です。

チューリップとビオラ・パンジーを混植した鉢だけが、先にビオラ・パンジーの花が咲き始めています。

所狭しと、中庭の乱張り石のテラスにテラコッタ鉢を並べて、球根が開花する春を待ちます。

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2月末〜3月初旬頃になると、チューリップの球根から、可愛らしい芽が伸びてきます。

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3月中旬頃になると、葉が展開し出し、植え付け時に球根を同じ向きに並べた通り

同じ方向に葉が伸びて行きます。

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大きなテラコッタ鉢から、チューリップの葉が展開し出すのを眺めるのが

とても楽しみな季節、それが3月です。

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4月初旬になり、庭でユキヤナギが咲き始めると、いよいよチューリップなどの春咲き植物の開花目前です。

赤茶色のテラコッタ鉢からチューリップのシルキーな緑の葉が何本もすくっと立ち上がる姿は、とても美しいです。

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この頃になると、チューリップより一足先に、他の球根が開花し始めます。

こちらは、ブルーのチオノドグサです。

こちらも一品種ひと鉢で、美しい姿で咲いてくれています。

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こちらは、少し珍しい品種の球根花で、プシュキニア・リバノチカ。

米粒のような小さな白い蕾に淡いブルーのストライプの入る花は、とても可愛らしいです。

テラコッタ鉢の縁から、こぼれるように咲く様もとても気に入っている風景です。

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こちらは、黄色水仙。

キリンのような形をした花が同じ方向を向いて咲く様も、毎年楽しみにしている風景です。

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こちらは、チューリップとビオラ・パンジーを混植した鉢植えです。

紫の縁取りのある黄色いビオラの花の中から、ピンク色をしたチューリップが茎を伸ばし始めたところです。

こんもりと丸く咲いている風情や、配色のバランスが上手くいったためでしょうか、

この寄せ植えの写真でガーデンフォトコンテストの賞をいただいたこともあります。

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同じ鉢を横から見たところです。

ひとつ前の写真より数日あとの写真ですが、ピンク色のチューリップの茎が伸びて

黄色いビオラの花の上で咲いています。

この寄せ植えの鉢が庭にひと鉢あるだけで、ぐっと庭が華やぎます。

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こちらは、最初にご紹介した、ある年の我が家の中庭風景です。

バラやクレマチスなどが作る立体的な庭の風景も素敵ですが、春咲き球根がつくる早春の風景もとても魅力的です。

秋に、春の開花した風景を想像しながら球根を受け付けて、半年後にやっと出会える風景です。

秋の球根植え付けは、ガーデニングの醍醐味のひとつと言える、とても大切なイベントだと思っています。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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