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専門家「風景」をつくるガーデニング術

ネットでオープンガーデン、京北バラ園(六ヶ畔・花簾庭)2020 ~後編(京北バラ園の見どころ)~

居場英則

今年春のバラシーズンは既に終わってしまいましたが、

この時期、この春のバラの様子を振り返るにはちょうど良い時期です。

こちらのディノスさんのガーデニングサイト「dinos ガーデンスタイリング」におきまして

今年2020年春の自宅ガーデンと、僕がデザインをさせていただいた京都市右京区京北に作った

バラ園「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)の様子を

「ネットでオープンガーデン」と称して、前回、前々回の記事でレポートさせていただきました。

京北バラ園の方は、かなりの枚数、写真を撮っていますので、一度では紹介しきれなかったので、

今回はその続編「京北バラ園2020、~後編(京北バラ園の見どころ)~」と題して、

ご紹介したいと思います。

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前回記事では、前年の2019年と今年2020年の風景を、ほぼ同じ場所から撮影した写真を

比較しながらご紹介させていただきました。

今回の後編では、今年2020年だけの写真を使って、まるで園内を歩いているかのように

ご案内していきたいと思います。

ちょっと写真多めですが、よろしければお付き合いください。

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まず、こちらがバラ園のメインエントランス。

神社の鳥居のような形をしたゲートが、バラ園南西の角に設けられています。

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入ってすぐ、正面のゾーンは、イングリッシュローズゾーン。

色鮮やかな花が咲き乱れています。

写真を撮ったのは、オープン前の朝8時頃。

朝日を浴びて、バラの花がキラキラと輝いています。

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上の写真から少し目線を右に振ったのがこちら。

湾曲しながら奥へと続く園路の右側に、駐車場との境に設けられた木塀に沿って園路があります。

この2つの園路に挟まれた三角形のゾーンもイングリッシュローズゾーンです。

イングリッシュローズゾーンには、宿根草のブルーサルビアを植栽しているのですが、

昨年の酷暑で枯れてしまい、今年3月に植え直したもので、今年は昨年ほどの勢いはありません。

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駐車場側の木塀沿いの園路から見たアングル。

正面奥に見えるのが、家の形をしたパーゴラ。

つるバラを壁面や屋根面に誘引するための工作物です。

和の風情を出すために、切妻屋根の形に設計しています。

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再び、バラ園のメインとなる中央の園路に戻りました。

メインの園路は緩やかにカーブしながら、バラ園の奥へと誘います。

園路の両側がイングリッシュローズゾーンになっています。

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緩やかにカーブする園路を進むと、もう一本の園路と交差します。

そのあたりから、メインエントランスの鳥居型ゲート方向を振り返ったところです。

カーブする園路の両側が、イングリッシュローズゾーンです。

奥右手側に八連のアーチが見えています。

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交差した園路を少し駐車場側に移動したところから撮ったのがこちら。

イングリッシュローズゾーンが右奥へとつながっていく感じが分かるかなと思います。

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同じ場所から、目線を北側、バラ園奥の方へと移します。

バラ園の最奥には、棚田の段差を活かして作ったバラの滝がちらりと見え、さらにその奥には

隣接する茅葺屋根の古民家が借景となっています。

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もう一方の園路を奥へと進んでみます。

左側にイングリッシュローズゾーン、その奥にオールドローズゾーン、そして最奥に

つるバラ群星・群舞を使ったバラの滝ゾーンが見えています。

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ここでメインの園路に戻り、カーブする園路に沿って、さらに奥へと進んでみます。

左側から大きく枝垂れて咲くバラは、オールドローズ。

岩を乗り越えて流れる「瀬」を表現しています。

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更に奥へと進みます。

右側には紫陽花の群生地、その奥にもオールドローズゾーン、そしてこちらにも

つるバラ群星・群舞のバラの滝が見えてきます。

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湾曲する園路を一番奥まで進むと、つるバラ群星・群舞によるバラの滝にぶつかります。

そのバラの滝に沿って、備前焼のような赤い焼き締めレンガを敷き詰めた園路が通っています。

ここももちろん通れるのですが、バラの滝が迫っているため、トゲのない群星・群舞を

セレクトしています。

左側の芝生ゾーンには、自然樹形で咲かせるオールドローズをメインに植栽しています。

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群星・群舞のアップです。

白い花の群星と淡いピンクの群舞をランダムに混ぜて、自然な雰囲気を作っています。

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反対方向を見たところ。

春先にシュートを擁壁の下の方に引っ張るように誘引しています。

枝先を下垂させても咲く群星・群舞の性質を利用しています。

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この群星・群舞のバラの滝ゾーンは、園路を挟んで3つのゾーンに分離していますが、

全体で約30メートルほどの花があります。

このバラの滝は、バラ園のすぐ横を流れる清流・桂川の景勝地、「六ヶ堰」という堰を

流れ落ちる水や水しぶきをバラの花で表現したものです。

この京北バラ園の中でも、一番の見どころです。

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こちらは、バラ園西側にある八連のアーチの中から、バラの滝方向を見た写真。

バラの滝ゾーンの手前(写真右側)には、自然樹形で咲かせる、香りのオールドローズゾーンが

広がっています。

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オールドローズゾーンから、群星・群舞のバラの滝ゾーンを見た一枚。

ちょど山間の谷筋に立地するこのバラ園に「ダム」をつくったように見えます。

山から流れてくるバラの花をここで受け止め、堰を作って貯めて、堰を越えて溢れた花が

滝となって下流域へ流れ出すようなイメージです。

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こちらは、アーチから見たイングリッシュローズゾーン。

オールドローズゾーンとはことなり、一品種3株ほどまとめて咲かせ、ボリューム感を持たせています。

密に咲かせることで、オールドローズゾーンとの対比を作っています。

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こちらは、オールドローズゾーンから、バラ園西側の八連アーチ方向を見たところ。

オールドローズゾーンには、芝生を敷き詰めているのですが、ところどころに、メンテナンスや

鑑賞用に、飛び石を配置しています。

実は、ここにひとつ「ハート形」の石がありますので、是非、現地を訪れられたら、

探してみていただければと思います。

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こちらは、群星・群舞のガラの滝ゾーンの手前、オールドローズゾーンから

エントランスゲート方向を見たアングルです。

右奥に八連のアーチが見えています。

次はアーチの中をくぐります。

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八連のアーチを一番奥から見たところ。

このアーチは、地元・京北在住のアイアン作家さんに作っていただいたオリジナルデザイン。

バラ園にあるアーチというと、円弧状のものが多いですが、ここでは、里山風景に合うよう、

切妻屋根の形に似せた、不等辺の三角形のデザインとなっています。

遠くには京北の美しい山並みが見えています。

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八連アーチの中を進むと、すぐ先に鳥居型のメインゲートが見えてきます。

実は、このアーチは、棚田の上の段へアプローチするサービス動線で、軽トラックなどが

通れるようにしています。

アーチの最頂部では、約5mの高さがあり、つるバラの誘引は年々大変になってきていますが、

つるバラは大きく成長し、間もなく両サイドから頂点に達し、トンネルが形成されそうです。

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バラ園をぐるっと一周してきたので、さらに別のルートで進んでみます。

こちらは、再びエントランスゲートの正面、イングリッシュローズゾーンです。

花壇に植えたシュラブ樹形のイングリッシュローズ、そして右側の木製格子フェンスに誘引した

つるバラが、立体的に空間を彩ります。

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少し寄ってみます。

右側の壁面を覆うつるバラは、イングリッシュローズ以外からもセレクトしていて

色合わせを考慮して選んでいます。

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こちらはイングリッシュローズゾーンの横に作った家形のパーゴラ。

壁面や屋根面につるバラを誘引するための工作物としてデザインしています。

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家形パーゴラから、南側、駐車場側を見たところ。

バラ園は冬期の獣害対策(鹿による食害)のため、全周を何らかのフェンスで囲っています。

南側は駐車場との境で、意匠的にも重要な部分なので、木格子に平瓦を載せて、

「和の趣き」を演出しています。

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木製パーゴラの足元には、F&Gローズなどの和バラを集約して植栽しています。

イングリッシュローズのような派手な色鮮やかさはないものの、楚々とした和の雰囲気を

漂わせています。

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こちらは、「和の趣き」の和バラゾーンの向かいの木格子塀。

ここには紅白の絞り柄のバラ、ニューイマジンやパープルスプラッシュといった

「和の趣き」を持つつるバラを誘引しています。

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そのゾーンを方面から見たところ。

パープルスプラッシュ、エクセレンツフォンシューベルト、ニューイマジンなどのつるバラが

配置されています。

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こちらも「和の趣き」をもつつるバラを誘引したゾーン。

手前から、一重咲きの安曇野、カクテル、パルフェタムールが並んでいます。

安曇野は、今年玉のような形に咲くよう誘引していただき、とても印象的な風景になりました。

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こちらは、家形パーゴラの東面。

ここにも大型のランブラー品種のつるバラ、ランブリングレクターを誘引しています。

家形パーゴの北側には、青い花のアジサイを群生させています。

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家形パーゴラの中から、バラ園北側方向を見たところ。

手前には、青い花の咲く紫陽花が群生しています。

バラが終わっても、しばらくは紫陽花の花を楽しめます。

その奥には、バラ園のシンボル、群星・群舞のバラの滝が見えています。


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手前のオールドローズゾーンから望む群星・群舞のバラの滝。

奥には隣地の茅葺屋根の古民家が美しい借景となっています。

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もう一方の園路から、群星・群舞のバラの滝を真正面に見たアングル。

奥に、京北の里山、そして茅葺屋根の古民家が見え、このバラ園を象徴するような風景です。

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さらにアップ。

茅葺屋根とこの地域の名産・台杉、そして、群星・群舞のバラの滝。

意外と風景としては調和しているように思います。

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さらに引いて、バラ園全体が入るように撮ってみました。

手前には色鮮やかなイングリッシュローズが咲き乱れています。

まさに「バラの海」。

今年は花数がとても多いように思います。

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群星・群舞のバラの滝と反対方向、南側を振り返ったところ。

色鮮やかなイングリッシュローズゾーンの奥に、平瓦を載せた木格子塀。

その壁面にも色鮮やかなつるバラが咲き誇っています。

そして、その先の遠方には、京北の山並みが見えています。

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咲き乱れるイングリッシュローズゾーン。

ここには、ジュードジオブスキュアなど、強香品種のバラが揃い、香りに包まれます。

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そして、これが最後の一枚。

緩やかにカーブする園路から、エントランスゲート方向を見たところ。

手前右側にこぼれ咲くオールドローズ、そしてその奥のイングリッシュローズゾーンへと

繋がるシークエンス。

この景色がとても気に入っています。

如何でしたでしょうか?

今年2020年の「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)。

新型コロナウィルスの感染予防のため、非常事態宣言が出され、一旦は公開中止を決めていたのですが、

バラの開花直前に非常事態宣言が解除されたため、急遽、感染予防対策を実施の上、無料公開されました。

残念ながら、今年見に来れなかったという方は、是非、来年春にお越しいただけたらと思います。

今秋10月中旬頃、秋バラのシーズンにオープンガーデンを開催する予定ですが、

京北バラ園は、「バラの滝」を構成する群星・群舞ほか、香りのオールドローズなど、

春にしか咲かない一季咲き品種が多いため、秋は、春のような美しい風景は見ることができません。

今回ご紹介した風景をご覧になりたい方は是非、また来年春にお立ち寄りいただけたらと思います。

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【 京北・香りの里 六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)について 】

   住所:京都市右京区京北比賀江町口烏谷(くちからすたに)

        (京北にある皇室ゆかりの御寺・常照皇寺に向かう国道477号線の左側にあります。)

   2022年・オープンガーデン情報

     開催期間:令和4年5月27日(金)~令和4年6月5日(日)の10日間限定

     開園時間:9:00~16:00  駐車場:7台あり    

   ※ 「維持管理協力金」についてご協力のお願い

     当園は個人の私庭であり、有志ボランティアにより維持管理されています。

     昨年(令和3年)までは、庭主のご厚意により、無料で一定期間開園しておりましたが、

     昨年本年度より、入園されるお客様から、お一人500円の「維持管理協力金」をお願いしております。

     皆様から頂戴いたしました「協力金」は、バラ園の今後の永続的な維持を目標とした

     園内のバラの育成・保護、資材購入、園内の整備等に使用させていただきます。

     ご理解ご協力の程、お願い申し上げます。

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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