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専門家「風景」をつくるガーデニング術

ネットでオープンガーデン、京北バラ園(六ヶ畔・花簾庭)2020 ~前編(前年との比較)~

居場英則

新型コロナウィルス禍により一変してしまった生活。

特に、全国に非常事態宣言が発令されたのが、4月~5月にかけてのバラシーズンにピタリと

合ってしまい、バラを見に出かけたり、友人宅の庭を見に行ったりもできなくなり、

今年は何とも残念なシーズンでした。


さて、少し前の記事で、【Stay Home】企画として、「ネットでオープンガーデン」と称し、

自宅ガーデンと、僕がデザインさせてもらった京都市の里山風景の中に作ったバラ園、

「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)の昨年2019年の様子を紹介しました。

記事を書いた時点では、自宅ガーデンも京北バラ園も、まだバラの花が開花していなかったため、

前年の2019年に撮影した写真を使っての紹介でした。

でも、はやり今年2020年の様子も、是非、見ていただきたいということで、

前回記事で、「ネットでオープンガーデン、自宅ガーデン2020」というタイトルで、

自宅ガーデンの様子をレポートさせていただきました。

今回はその続編、「京北バラ園2020」の様子をご紹介したいと思います。

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  ※ 京北バラ園については、こちらのdinos ガーデンスタイリングでバラ園が出来るまでの経緯を書いています。

   ご興味のある方は、バックナンバーをご覧下さい。

      ・京北バラ園ができるまで 〜の3年間の軌跡(前編)〜 は、こちら → 

      ・京北バラ園ができるまで 〜の3年間の軌跡(後編)〜 は、こちら → 

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『京北バラ園・花簾庭』は、今年3月発売のガーデン雑誌『Garden Daiary』(Vol.13、2020年春号)

および6月17日に発売になったばかりのガーデン雑誌『My GARDEN』(Vol.95、2020年夏号)でも

採り上げていただき、ご存知の方もおられるかと思います。

この京北バラ園は、公共施設でもなく、また入場料をとって見学していただく営利目的の庭でも

なく、一個人がオーナーのガーデンです。

ですので、このバラ園のホームページなどもなく、どのようにすれば見学できるのか、

これまであまり情報を出してきませんでした。

今回、ガーデン雑誌さんに採り上げていただき、ようやく公にお披露目できると思っていた矢先の

新型コロナウィルス禍で、この春に予定していたオープンガーデンも中止せざるをえなくなりました。

ところが、5月末に非常事態宣言も解除されたことを受け、バラ園のオーナーの意向もあって、

6月上旬~、急遽、見学希望者の方々に無料で公開させていただく運びとなりました。

冷涼な気候の京北では、バラの開花時期(見頃)が6月上旬~中旬だということも幸運で、

ちょうどベストなタイミングで皆さんに見ていただくことができました。

また、バラの最盛期に地元のNHK京都放送局さんが取材にお越しになり、

6/8(月)夕方のニュース番組『京いちにち、ニュース630』の中で紹介していただいたこともあり、

それ以降、1週間あまりの期間で、2,000名近い方がバラ園を見学におみえになりました。

今年は、春のバラシーズンは終わってしまいましたが、また来春、オープンガーデンを開催する予定

ですので、是非、皆様方には、京北の里山風景の中のバラ園にお立ち寄りいただけましたら幸いです。

今回、見に来れなかった方々のために、今回、「ネットでオープンガーデン、京北バラ園2020」と

称して、今年の様子をレポートしたいと思います。

とてもたくさんの写真を撮影しておりまして、なるべくいろんな角度から、

京北バラ園の魅力をお伝えしたいので、前編・後編の2回に分けてレポートさせていただきます。

第1回めの「前編」では、昨年2019年との比較をしながら、今年2020年の風景をご覧いただきます。

この京北バラ園のプロジェクトは、2016年1月~企画・構想がスタートし、

実際に苗を植えたのが、工事の関係もあって、バラの開花直前の翌年2017年の4月。

今年2020年は、バラの苗を植えて3年目にあたります。

「バラは植えて3年は我慢して育てよ」と、僕が教わったバラの師匠からも言われていましたが、

今年はその3年目を迎え、植えたバラ本来の力が発揮された年になりました。

では、その様子をシーンごとに昨年2019年の風景と見比べながらご案内いたします。

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こちらは、【昨年2019年6月】のバラ園全景。

上述の2誌のガーデン雑誌に掲載された写真は、この昨年2019年に撮影したものです。

ほとんどのバラは植え付けしてから丸2年が経ち、順調に育っています。

左側の三角屋根形状のオリジナルデザインの大型アーチに誘引したつるバラは、

まだほとんどがアーチの頂点にまで到達していない状態です。

一番奥に、つるバラ「群星・群舞」を使って枝垂れ咲く、「バラの滝」ゾーンが見えています。

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こちらは、【今年2020年6月】の様子。

画面右側に広がる色鮮やかなシュラブ樹形のバラは、イングリッシュローズ。

一見すると、特に変化がないように見えますが、昨年より一回りボリュームアップして咲いています。

冬剪定(降雪のある京北では毎年3月初旬に行っています。)では、あまり切り詰めないよう配慮し、

イングリッシュローズの色鮮やかな花色の花が、幾重にも重なりあい、

こんもりと自然樹形で咲くよう意識しています。

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こちらは、鳥居型のエントランスゲートを入って正面にまず見えてくる風景。

【昨年2109年6月】の様子です。

向かって左側の湾曲する園路と、右側の焼き締めレンガを敷き詰めた直線の園路に挟まれた

花壇の奥に、家のように見える建物があります。

実は、これはパーゴラ。

つるバラを壁面や屋根面に誘引するための構造物です。

もともと田んぼだったため、起伏のないフラットな敷地だったので、単にバラを地植えするだけでは

「圃場」のようになってしまうということで、立体的にバラを咲かせるためにこのパーゴラを設計しました。

パーゴラというと、一般的にはフジ棚のような平坦な形をしていますが、

ここ京北バラ園では「里山風景に調和する和の趣きのバラ園」というコンセプトを掲げましたので、

さらに奥に見える切妻屋根の日本家屋と同じ形状の切妻屋根型のパーゴラをデザインしています。

また、画面手前両サイドに広がるイングリッシュローズゾーンの株元には、

ブルーのサルビアを植え付け、園路際には芝生を敷き込んでいます。

バラにはない青い色を「差し色」とすることで、鮮やかなイングリッシュローズの花色を

より一層引き立てています。

ブルーサルビアは植えて2年目で、かなり大きく茂り、とても印象的な風景を作り出しました。

ただ、このバラ園には自動潅水装置がないため、昨年夏の酷暑でサルビアが枯れてしまい、

この春(2020年3月)に、小さな苗から植え直すことになってしまいました。

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こちらは、ほぼ同じ位置から撮影した【今年2020年6月】の風景。

3月に苗から植えたばかりのブルーサルビアは、昨年ほどには茂らず、ブルーの花もあまり目立ちませんでした。

ただ、バラは一回り大きくなり、花つきもボリューム感も、昨年より格段に良くなっています。

このように、毎年定点観測して写真を撮っておくと、反省点と良かった点が良く分かります。

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こちらも、エントランスゲートを入ってすぐのイングリッシュローズ・ゾーン。

撮影時期は、【昨年2019年6月】

この写真でも、大きく繁茂したブルーサルビアがとても良い仕事をしてくれています。

爽やかなブルーの花があちこちに塊となって咲き、花壇にリズムを作っています。

右側の木製フェンスの向こう側は、駐車場。

京北では、冬季の鹿による植物への食害があるため、バラ園の周囲を何らかの柵で囲っています。

その獣害対策で設けた木製の格子塀には平瓦を載せて、和風感を演出しています。

木格子塀のさらに向こう、遠くには美しい京北の山並みが見えています。

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こちらもほぼ同じ位置からの撮影で、【今年2020年6月】

バラの株元に植えたブルーサルビアのボリュームがなく、少し残念な感じです。

シュラブ樹形のバラ(イングリッシュローズ)は、剪定高さを低くしすぎず、

ある程度の高さで、「群」なって咲くように仕立てています。

今年は、黄色、アプリコット系のイングリッシュローズが良く咲いていました。

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こちらは、湾曲する園路から、バラ園奥の方を望んだアングル。

撮影は【昨年2019年6月】

園路の脇に植えられたブルーサルビアがリズミカルに並び、奥へ奥へと誘うように咲いています。

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こちらは、【今年2020年6月】の様子。

全く同じアングルで撮った写真が見当たらなかったので、ひとつ上の写真とは少し異なりますが、

湾曲する園路際で咲くイングリッシュローズの様子が良く分かると思います。

ピンクのイングリッシュローズが旺盛に美しい花を咲かせています。

ここには、手前から、クィーンオブスゥエーデン、プリンセスアレキサンドラオブケント、

ロイヤルジュビリー、ジュビリーセレブレーションなど、王室にちなんだバラを集めています。

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少しアングルを変えてもう一枚。

こちらは、【昨年2019年6月】

何と言っても、園路の両側に配されたブルーサルビアがとても印象的です。

この京北バラ園では、バラの他には、数種類の高木(エゴ、アオダモ、モミジ、ウメなど)のほか、

香り植物(リキュウバイ、ライラックなど)と低木(アジサイ、ユキヤナギ、セアノサス)

などを植栽していますが、宿根草は、このブルーのサルビアひとつに限定しています。

バラ園の予算の関係もあるのですが、一種類に絞り込んだおかげで、潔い風景になり、

バラを引き立てる役目を果たしていると思っています。

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こちらは、【今年2020年6月】の様子。

園路手前では、ブルーのサルビアが見えない代わりに、モリニュー、ポートサンライト、パットオースチンなど、

黄色やアプリコット系のイングリッシュローズが美しく咲き乱れていました。

また奥に目を転じると、全体的な花のボリュームが増しいているのが分かります。

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こちらは、【昨年2019年6月】

イングリッシュローズ・ゾーンから、鳥居型のエントランスゲート方向を振り返って見ています。

右手前の赤いバラは、ダーシーバッセッル。

その左側に少し土の面が見えています。

バラとバラの株間が広く、部分的に土が露出して見えていました。

しかしながら、旺盛に茂ったブルーのサルビアと「補色対比」の位置にある、黄色・アプリコット系の

イングリッシュローズとのコントラストが美しく映えています。

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こちらは、【今年2020年6月】

イングリッシュローズ・ゾーンのバラはボリュームがアップし、ほとんど土が見えなくなりました。

黄色・オレンジ系のバラ、パットオースチンやポートサンライト、モリュニューが旺盛に咲ているのに、

ブルーのサルビアはまだ小さく、ほとんど見えないという状態。

来年は、バラもサルビアも旺盛に咲いてくれると、双方が引き立てあって、風景として完成すると思います。

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こちらは、湾曲する園路を奥の方から鳥居型のエントランスゲート方向に向かって撮影したアングル。

時期は、【昨年2019年6月】

画面手前右側には、オールドローズのマリードブロア、カトルセゾンブランムソーなどが大きく茂り、

岩を乗り越えて流れる水「瀬」をバラの花で表現しています。

園路がゆっくりと右方向へ回り込みながら、イングリッシュローズゾーンの中を抜けて、

エントランスゲートへと繋がります。

このなだらかに曲がる道の風景、シークエンス(流れ・つながり)が、特に気に入っています。

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ほぼ同じ場所から、【今年2020年6月】の様子。

バラは格段にボリュームアップしていて、まさに、右方向から水が流れ込むように見えています。

左奥の駐車場との界壁(木格子塀)に誘引したつるバラも、立体的な風景を形作る大きな役割を果たしています。

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その木格子塀の部分。

こちらの写真は、【昨年2019年6月】に撮影したものです。

手前で咲くピンクの花は、ハーロウカー、シスターエリザベスなどのイングリッシュローズです。

木格子塀には、イングリッシュローズのつるバラ(モーヴァンヒル、ゴールデンセレブレーション、

スノーグース、テスオブダーバービルズ)の他、鮮やかなオレンジ色のサンセットグロウも配置しています。

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少しアングルは違いますが、こちらが【今年2020年6月】の木格子塀付近の様子。

この木格子塀は裏側(駐車場側)が南で、つるバラを誘引している側は北側になります。

その関係で、これまで少し生育が遅かったですが、今年は、ほぼ壁面を覆うように咲いてくれました。

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木格子塀のところから、今度は北側方向、バラ園の最奥方向へ振り返ります。

写真は、【昨年2019年6月】

画面左手に、エントランスゲートからつながる八連のアーチ、そしてその奥正面に

つるバラ「群星・群舞」を使ったバラの滝が、幅・約30mに渡って、水が流れ落ちるように咲いています。

このバラ園は、田んぼ一枚分の広さ(約1000㎡、約300坪)があり、一部アーチや家形のパーゴラといった構造物を

配置していますが、それ以外はフラットな敷地の中に、約250品種、約300株のバラを植栽しています。

このあたりからだとバラ園の全景を一望でき、幾重にも重なったバラがまさに「バラの海」のように見えます。

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こちらは、【今年2020年6月】

昨年より格段に花数が増えているのが、この2枚の写真を比較してみるとよく分かります。

バラ園オーナーが所有する棚田4枚分のうち、一番下に位置する国道に面した一枚分をバラ園にしています。

谷筋に位置するこの棚田は、山から吹き下ろす風が吹き抜け、特に、気温が上がる前の朝一番には、

バラの芳香がバラ園中に立ち込めます。

また、正面奥のつるバラ「群星・群舞」でつくる「バラの滝」のさらに奥には、

隣接する茅葺屋根の古民家が借景になり、いかにも「里山風景の中のバラ園」といった風情を感じていただけます。

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こちらは、【昨年2019年6月】に撮影した一枚。

バラ園西側の八連アーチから、バラ園中央のオールドローズゾーン方向を見たアングルです。

前述のガーデン雑誌『My GARDEN』vol.95(2020年夏号)の巻頭ページを飾った一枚目の写真が、こちら。

ある意味、この京北バラ園を代表する一枚と言っても良いかと思います。

左奥に、このバラ園の代名詞、つるバラ「群星・群舞」でつくる「バラの滝」が見え、

中央には、芝生敷きのなかに、自然樹形のオールドローズを配置しています。

オールドローズは、香りを重視して品種選定を行っています。

日本庭園のような石組みを乗り越えるように誘引したオールドローズは、近くを流れる清流・桂川の

川面にある岩を乗り越える水の流れ「瀬」を表現しています。

奥に見える家形パーゴラは切妻屋根型とし、里山風景に調和する日本家屋のようにデザインしています。

唯一気になるのが、正面奥、スギの木が植林された隣接地の一部が倒木していることです。

これは2018年、京北地方を襲った大型台風により倒木したものです。

以前は、美しいスギの森が一面に借景として見えていたのが途切れてしまい、少し残念です。

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こちらは、【今年2020年6月】に同じほぼ位置から撮影した一枚です。

オールドローズも順調に育ってくれていますが、一部、生育が遅れていた品種を支柱を使って

上に持ち上げて咲かせている部分がありますが、順調に育成すれば、今後は他のオールドローズと同様に、

自然樹形でなるべく低い位置で咲かせたいと考えています。

この辺りはバラの株間を広く取っているため、スペース的に横に広げた方が風景として美しく見えるのと、

後方の「群星・群舞」による「バラの滝」に被らないように、なるべく低く咲かせたいと考えています。

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ここからは、このバラ園の一番の見せ場、バラ園奥の棚田の段差を活かして作った、

つるバラ「群星・群舞」による「バラの滝」ゾーンです。

写真は、【昨年2019年6月】に撮影したものです。

元々の棚田の段差は約50センチ程度だったのですが、少しブロックを積み上げて、約1mの段差をつくりました。

その段差の上の段に、一季咲きのつるバラ「群星・群舞」をランダムに混植しています。

群星・群舞はモッコウバラなどと同じく、枝を下垂させても咲く性質があるため、

枝を段差の手前に引っ張る誘引を行い、まさに「枝垂れ咲く風景」を作っています。

手前のオールドローズゾーンでも、石組みの奥に植えたつるバラを岩の手前に引っ張るような誘引を行い、

岩を乗り越える「瀬」を表現しています。

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こちらは、【今年2020年6月】の様子。

昨年も見事なまでに咲き誇ってくれた群星・群舞の「バラの滝」は、昨年以上に見事な風景をつくってくれました。

現地のスタッフの皆さんが、毎年、この枝垂れ咲くように誘引する作業を行ってくださっています。

試行錯誤をしながら、年々花数も増え、美しい風景が出来上がっています。

「バラの滝」の奥には、隣接する茅葺屋根の古民家が「借景」となって、とても風情のある風景になっています。

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「バラの滝」ゾーンに寄ってみます。

こちらは、【昨年2019年6月】の様子。

棚田の段差を増幅させて作った「バラの滝」ですが、バラの滝に沿って園路をつくっているため、

ここを通行する人がバラのトゲで怪我をしないようにという配慮も込めて、

トゲのないバラ「群星・群舞」をセレクトしています。

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こちらは、【今年2020年6月】の様子。

昨年でも十分美しい風景が出来上がったと喜んでいたのですが、今年はさらにそれを超える美しさです。

花のボリュームが格段にあがり、まさしく堰を流れ落ちる水が水しぶきを上げているように見えます。

このつるバラ「群星・群舞」を使って「バラの滝」をつくろうと考えた経緯も少しお話しておきます。

バラ園を設計させていただけるという話があった時、計画地付近をいろいろ歩き回って、

バラ園のどのような方向でデザインすべきか、模索しました。

京北の美しい山並みと、京都市内まで流れ込む清流・桂川、そして里山風景の中に点在する古民家の集落。

全国各地にある洋風のバラ園ではなく、「日本の原風景」とも呼べる美しい風景に調和する「和の趣き」のバラ園を

作ってみたいと思いました。

ただ、前述のように計画地は平坦な田んぼ(耕作放棄地)だったため、単にバラを植えるだけでは

「圃場」のようになってしまう、という危機感がありました。

そんな中、そういったこのバラ園のすぐ横を流れる桂川に、地元の景勝地「六ヶ堰」という、

下流域に水を分配するための堰があると聞いたのでその現場を見に行きました。

その「堰を流れ落ちる水の流れ」を見て、バラの花を使って「水の流れ」を表現したいと、思いついたのです。

水が流れ落ちる様を「水簾(すいれん)」と言いますが、そこから着想を得て、

このバラ園の名称を、「六ヶ畔・花簾庭(ろっかはん・かれんてい)」と名付けました。

「景勝地・六ヶ堰の畔(ほとり)にある、花を水に見立てて風景をつくるバラ園」という意味です。

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こちらは、道路を隔てた向かい側にバラ園オーナーが所有する小山の上からバラ園全景を見たアングル。

撮影は、【昨年2019年6月】

このように上から見下ろすと、全体の広さが分かると思います。

田んぼ一枚分、約1000㎡(約300坪)の広さです。

一般家庭の庭と比べるととても大きなスペースですが、公共の公園や入場料を払って見学するバラ園と比べると

本当に小さなガーデンです。

ですが、このスケール感がちょうど心地よくて、様々なシーンを順に見て回りながら、

バラ園全景も一望することもできます。

園内には交差する2本の園路が敷かれ、画面手前に八連のアーチ、奥に家形パーゴラ、

左に棚田の段差を活用した「バラの滝」、右側に駐車場、そして国道162号線。

さらに、その右に清流・桂川がゆったりと流れています。

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こちらが最後の写真、【今年2020年6月】のバラ園全景です。

画面手前に見える八連の大型アーチに誘引したつるバラも、その多くがアーチ頂点近くにまでツルを伸ばしました。

きっと来年2021年は、もっと素晴らしい、もっと美しい風景を見せてくれることでしょう。

今から楽しみです。


如何でしたでしょうか?

今年2020年の「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)。

新型コロナウィルスの感染予防のため、非常事態宣言がだされ、一旦は公開中止を決めていたのですが、

バラの開花直前に非常事態宣言が解除されたため、急遽、感染予防対策を実施の上、無料公開されました。

残念ながら、今年見に来れなかったという方は、是非、来年春にお越しいただけたらと思います。

今秋10月中旬頃、秋バラのシーズンにオープンガーデンを開催する予定ですが、

京北バラ園は、「バラの滝」を構成する群星・群舞ほか、香りのオールドローズなど、

春にしか咲かない一季咲き品種が多いため、秋は、春のような美しい風景は見ることができません。

是非、また来年春にお立ち寄りいただけましたら幸いです。

次回は、『ネットでオープンガーデン、京北バラ園(六ヶ畔・花簾庭)2020 ~後編(京北バラ園の見どころ)~』

と称して、今年2020年春の様子をさらに詳しくレポートしたいと思っています。

乞うご期待ください。

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【 京北・香りの里 六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)について 】

   住所:京都市右京区京北比賀江町口烏谷(くちからすたに)

        (京北にある皇室ゆかりの御寺・常照皇寺に向かう国道477号線の左側にあります。)

   2022年・オープンガーデン情報

     開催期間:令和4年5月27日(金)~令和4年6月5日(日)の10日間限定

     開園時間:9:00~16:00  駐車場:7台あり    

   ※ 「維持管理協力金」についてご協力のお願い

     当園は個人の私庭であり、有志ボランティアにより維持管理されています。

     昨年(令和3年)までは、庭主のご厚意により、無料で一定期間開園しておりましたが、

     昨年本年度より、入園されるお客様から、お一人500円の「維持管理協力金」をお願いしております。

     皆様から頂戴いたしました「協力金」は、バラ園の今後の永続的な維持を目標とした

     園内のバラの育成・保護、資材購入、園内の整備等に使用させていただきます。

     ご理解ご協力の程、お願い申し上げます。

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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