2020.6.19 / ネットでオープンガーデン
6月に入り、梅雨まっただ中の今日この頃。
バラが最盛期の5月はあっと言う間に過ぎ、我が家の庭も一時の賑わいから解き放たれ、
今はしっとりとした紫陽花の庭へと変わっています。
今年のバラシーズンは、例年とは大きく異なったシーズンでした。
新型コロナウィルスの感染予防のため、不用不急の外出を自粛することが求められ、
「Stay Home」の合い言葉のもと、家で過ごす時間が長くなりました。
毎年、バラシーズンにはバラの名所に出かけたり、オープンガーデンをされている町へ出かけたりしていましたが、
今年はそれもできませんでしたが、逆に自宅の自分の庭と向き合うことができ、
普段気付かないことに気がついたり、いろいろ庭の改良点を発見したりと、悪い面ばかりではありませんでした。
1ヶ月ほど前に書かせていただいたブログ記事で、昨年2019年の自宅ガーデンの様子を、
「【Stay Home】ネットでオープンガーデン、自宅ガーデン2019」と称してご覧いただきましたが、
今回は、今年2020年の我が家の庭の様子をその続編としてご覧いただこうと思います。
合わせて、今年3月に書かせていただいたブログ記事「2020年冬、我が家のつるバラ誘引風景」の中で
ご紹介したつるバラの誘引風景と、実際に今年5月に咲いた風景とを見比べていただきながら、
我が家のガーデンをご覧いただければと思っています。
では早速、我が家の前庭から順にご案内して行きましょう。
こちらが、我が家の前庭の全景を真正面から見たところです。
前面道路に面した前庭は、オープン外構となっていて、写真向かって右側が玄関アプローチ、
左側が駐車場スペースとなっています。
普段は、ここに養生中のつるバラやクレマチスの鉢植えが所狭しと並んでいるのですが(汗)、
撮影のため、一時的に道路に出させてもらって、全景が見やすいようにしています。
前庭全景を少し斜めから見たところです。
前庭の道路に一番近い花壇に、シンボルツリーの株立ちのエゴノキを植えています。
北側(写真では左端)の隣地境界には、目隠しと隣家の駐車場の屋根が見えないように
常緑樹のオリーブを3本、列植しています。
敷地の南西角には引き込み電柱があるのですが、スマートメーターに取り替えたことで検針が不要になり、
引き込み電柱にも赤い花の咲くつるバラ、チェビー・チェイスを誘引しています。
無粋な引き込み電柱をつるバラが隠してくれ、立体的に花を咲かせてくれるので、気に入っています。
玄関アプローチから中に入って行きましょう。
この写真は、少し離れたところから望遠レンズを使って撮影しています。
人の目の画角に近く、実際の見え方に近いです。
こちらは、ほぼ同じ位置から広角レンズを使って撮影した一枚です。
実際よりかなり広く、奥行きも感じられるように見えます。
風景を撮るには広角レンズの方がよりワイドに撮れるので多用しています。
玄関アプローチの左側、シンボルツリーのエゴノキの後ろ側に、小壁があって、
この小壁にピンクの一重咲きのつるバラ・モーツアルトを誘引しています。
その反対側、南側の隣地境界近くに、株立ち樹形の落葉樹、ヤマモミジを植栽しています。
エゴノキとヤマモミジが玄関アプローチの両側から張り出し、緑のトンネルを作っています。
この緑のトンネルを抜けると、建物外壁につるバラを誘引した我が家の庭の一番の見せ場が迫って来ます。
こちらが、ほぼ同じ場所から見た、この冬(1月)の様子です。
つるバラは、枝しかなく、どのように誘引しているのか、よく分かると思います。
また、誘引したつるバラがどのように咲いているのかも比較して見る事ができます。
こちらは、建物の外壁面に誘引したつるバラが創り出す風景です。
中央にガラス扉があって、向かって右側がサンルーム、左側が母屋です。
建物1階部分には、白い割肌調の大理石タイルが貼ってあるのですが、
そのタイル面にのみつるバラを誘引しています。
こちらが、今年1月のつるバラの誘引風景です。
白い大理石タイルの目地部分に木ネジを打ち込んで、ステンレスワイヤーを張り、つるバラを誘引しています。
2階のテラコッタ色の塗り壁には木ネジを打ち込みにくく、また誘引時に脚立が届かないといった理由があり、
建物1階部分だけにつるバラを誘引しています。
こちらが、今年5月のバラが満開の頃の様子。
白い大理石タイルとのコントラストを強調するために、右側のサンルームの壁面には
上から濃いローズピンクのキング・ローズ、赤い房咲きのチェビー・チェイス、返り咲きのレッドキャスケード
という地植えのつるバラ3本に加え、鉢植えで、キング・ローズをもう一本加えて赤い壁を構成しています。
向かって左側の壁面には、淡いピンクの房咲き品種のつるバラ、ジャスミーナを誘引しています。
中央のガラス扉の奥には、建物で囲われたプライベートな中庭が広がっています。
このガラス扉の壁面を、少し左側から撮影したアングルです。
ガラス扉の奥に見えているブルーの壁面がサンルームです。
画面右端に見えているのは、玄関アプローチ脇の小壁に誘引しているつるバラ、モーツアルトです。
もう少し引いた位置から、建物の外壁面に誘引したつるバラが描く風景が分かるように撮ってみました。
ほぼ同じ位置から撮影した、冬の誘引風景が分かる写真です。
つるバラの誘引方法もいろいろ試行錯誤を繰り返しながら行っていますが、
なるべく枝を交差させず、同心円を描くように誘引することを心がけています。
建物外壁の全景が分かる一枚。
建物の手前に植えている株立ち樹形の高木は木肌が美しい樹木でアオダモ。
その後方に、建物に穿たれた小さな縦長の窓があります。
この窓につるバラがかぶらないよう、翼を広げるように誘引しているのが分かるでしょうか?
また、この風景をデザインするために重要視しているのが、開花期です。
バラも早咲き、中咲き、遅咲き品種がありますが、この壁面では全て中咲き〜遅咲き品種のつるバラを
セレクトしています。
そうすることで、壁面が一斉に咲き誇るようになるのです。
こちらが、冬の誘引直後の様子。
つるバラのよってステム(花茎)の長さが異なるため、なるべくかぶらないように同心円状に誘引することを
基本としています。
画面右端のつるバラ・ジャスミーナは特にステム(花茎)が長く、以前その下に誘引したつるバラに覆い被さる
ように咲き、そのバラが弱ってしまった経緯があり、今はそのような誘引方法をとっています。
こちらは、建物外壁面の一番左側の壁面。
こちらには、赤い花が咲く品種ばかりを集めて誘引した「レッドクリフ」(赤い断崖)と呼んでいる壁面です。
左から、地植えの古い品種のつるバラでブレイズ、鉢植えでキング・ローズ、
同じく鉢植えのイングリッシュローズでヒースクリフ、地植えでフロレンティーナ、
最後に、同じく地植えでチェビー・チェイス、合計この赤い花の壁面だけで5種類のつるバラを入れています。
花径(花の大きさ)、房咲きかそうでないかなど、同じ赤い花でも多彩な咲き方をするバラを混ぜる事で
複雑な表情を創り出しています。
また、ピンクのバラより白い大理石タイルとのコントラストが付き、美しく映えます。
レッドクリフゾーンから、玄関アプローチ側を見たアングル。
前面道路に面したオープン外構がよく分かる写真です。
数年前からオープンガーデンは開催していませんが、前庭は道路に面しているので、
このシーズンになると、朝、散歩がてらに、この風景を見に来られる方もおられます。
こちらは、玄関アプローチの脇、駐車場との間に設けた小壁。
この小壁には、ピンクの一重咲きのつるバラ・モーツアルトを誘引しています。
下垂しても咲く性質を使って、株元は壁の一方(建物側)にありますが、小壁の反対側にも誘引し、
壁の両側で咲かせて、ボリューム感を出しています。
モーツアルトは、非常によく咲くバラで、見に来られた方にも「このバラは何と言うバラですか?」と
よく聞かれます。
モーツアルトも遅咲きのバラで、建物外壁に誘引したつるバラと同時期に咲くように選んだものです。
モーツアルトの横に、今年、知人から貰い受けたイングリッシュローズのガートルード・ジェキルを植えています。
ジェキルは、早咲き〜中咲き品種のため、写真ではだいぶ咲き進んで、枝も切り戻してしまった後ですが、
このバラも風景を美しく彩るバラとして、我が家では欠かせない存在になりました。
再び、建物正面のガラス扉付近へ戻りました。
ガラス扉の奥には、オープン外構でパブリックな「前庭」とは対極の、
閉じられた庭、プライベートな「中庭」が見えています。
ここから先は公開していないエリアです。
遅咲きのバラが多い前庭に比べ、中庭は早咲き品種のバラが多いエリアです。
正面奥の開口部の上部のスクリーンに誘引しているのは、早咲き品種のつるバラでスパニッシュ・ビューティ。
この写真を撮影したのが、5月24日ですので、既に花は全て終わっていました。
代わりに、鉢植えで育てている遅咲き品種のバラを中庭に集結させて、雰囲気を作ってみました。
そういったことが出来るのも、鉢植えのバラの魅力ですね。
正面左に見えるオレンジ色のバラは、ビブレ・バカンス!というフランス・メイアン社のバラ。
黄色は同じくメイアン社のバラで、ベビー・ロマンチカ、そしてイングリッシュローズのグレイスなどです。
黄色・オレンジ色に映える青系統のクレマチス、ラプソディや流星に加え、ブルーのサルビアもさりげなく添えて
風景を作っています。
鉢植えのギボウシやフウチソウも爽やかな雰囲気を作っています。
中庭から前庭方向を見たのがこちら。
向かって左側にガラス張りのサンルームがあり、そのガラスの壁面に誘引しているのが、
つるバラ、ピエール・ド・ロンサール。
ピエールは中咲き品種なので、撮影日の5月24日では、もうほとんど咲き進んで白くなっていました。
画面右側は、「ランウェイ花壇」と呼んでいるゾーン。
ここは、なかなか上手く咲いてくれない難しいエリア。
まだまだ試行錯誤が続きそうです。
こちらは、今年冬のつるバラ誘引風景。
サンルームのガラスの壁面を使って、つるバラ、ピエール・ド・ロンサールを誘引しているのですが、
ここではガラス面を美しく見せるために、ワイヤーを張らずに枝と枝を交差させて固定する方法をとっています。
また、前年の誘引で枝先にしか咲かなかったという反省点を考慮して、ガラス面では段差剪定を行っています。
こちらが、今年の5月中旬頃、ピエールが一番美しかった頃の様子。
右端の枝先だけでなく、サンルームのガラス面の範囲でも、まんべんなく花を咲かせています。
このあたりも、今年上手く誘引ができたポイントかと思います。
ここからは、ポイントごとに、今年上手く行ったゾーンをご紹介します。
こちらは、前庭。
写真は、GW中くらいで、早咲きのバラが開花し始めた頃です。
我が家では、今年この前庭の隣地境界部分に誘引しているつるバラ、カクテルが一番に開花しました。
今年は、このカクテルのゾーンがとても美しく、お気に入りの風景になりました。
カクテルを植えているゾーンのアップです。
実は、この風景を構成しているカクテルは2株あって、
ひとつは、お隣さんの了解を得てお隣さん宅の敷地内に置かせてもらっている
鉢植えでオベリスク仕立てのカクテル。
もう一株が、隣地境界の白い大理石タイルを貼ったブロック塀の内側(我が家側)に
株元があるカクテルで、このブロック塀の両側に誘引しています。
この2株のカクテルが一体となって、一続きの風景を創り出しました。
その隣地境界のブロック塀を真横から見たところ。
壁の左側に地植えしたカクテルの株元があり、ブロック塀の外側(隣地側)へ
誘引しているのが分かると思います。
また、壁の右側に鉢植えのカクテルをオベリスク仕立てにしたものを配置し、
壁面に誘引したカクテルと一続きの、流れるような風景を創り出しています。
もうひとつ、今年上手くいった風景がこちら↓。
前庭の北側(先ほどのカクテルと反対側)の隣地境界沿いの白い木製フェンス付近です。
こちらには、カクテルの枝代わり品種のピンク・カクテルというつるバラを誘引しています。
こちらは、今年の冬の誘引直後の様子。
3本のオリーブの木の下に、シュラブ樹形のイングリッシュローズを地植えし、
その後方、隣地境界の白い木製フェンスにつるバラやクレマチスを数品種、誘引しています。
冬の間は何もなくて、とてもスッキリしていますが、春になり植物が葉を展開しだすと、風景は一変します。
ピンク・カクテルが満開の頃の様子。
ピンク・カクテルもカクテル同様、早咲き品種で、GW辺りから咲き始め、
5月中旬くらいまでこの風景が見られます。
このゾーンは、「キャンディコーナー」と呼んでいて、ピンクやアプリコット、
黄色などの可愛らしい色を中心に、バラにはない青い色素を持つ植物として
クレマチスやサルビアを差し色として使っています。
白い木製フェンス部分にクローズアップした誘引の様子。
大きく枝を伸ばしたつるバラ、ピンク・カクテルを幾重にもUターンさせながら
壁面全体を使って誘引しています。
実際、今年の5月に咲いた様子がこちら↑。
今年は例年以上にたくさんのピンク・カクテルが咲きました。
青い花のクレマチス、美佐世やミゼット・ブルーが、ピンク・カクテルの中に
埋もれてしまったのが少し残念ですが・・・。
如何でしたでしょうか?
今年2020年の我が家のバラ庭。
実際のオープンガーデンは行っていませんが、こうして「ネットでオープンガーデン」と称して
皆さんに見ていただける機会を得て、大変嬉しく思います。
今年上手く行った点、上手く行かなかった点、いろいろありますが、
また来年につなげるべく庭作業に励んで行きたいと思っています。
次回は、僕がデザインを手掛けた京都の里山風景の中につくったバラ園、
「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)の今年2020年の様子を、
「ネットでオープンガーデン」の続編としてレポートしたいと思います。
乞うご期待下さい。
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