2020.3.18 / お気に入りの植物
4月が目前になり、春らしさを感じる季節になってきました。
地球温暖化の影響なのか、ここ数年、春の訪れが年々早くなっている気がします。
さて、長く花を楽しませてくれたクリスマスローズのシーズンが終わって、
チューリップや桜、芍薬、そしてバラへと次々と開花が始まる前の、ちょっとしたエアポケット的な
この季節を楽しませてくれるのが、ユキヤナギ。
今回は、脇役的な存在であるユキヤナギとその近縁種であるシジミバナにスポットライトを
当ててみたいと思います。
こちらは、前面道路に面した我が家の前庭。
玄関アプローチや駐車場を含めたオープン外構になっているのですが、
その一番道路に近い中央の花壇には、我が家のシンボルツリーの株立ち樹形のエゴノキがあります。
その足元で白い花が咲いているのが、ユキヤナギです。
写真は昨年2019年3月末に撮影したものですが、この時期は建物壁面や隣地境界のフェンスに誘引した
つるバラが芽吹き始めたばかりで、シンボルツリーの落葉樹のエゴノキは、まだ全く葉がありません。
そんな少し寂しげな風景の中で、ひと際目を惹くのが、エゴノキの足元両側に植栽している
ユキヤナギです。
僕はなるべく枝を剪定せず、自然樹形で咲かせるのが好みなので、我が家のユキヤナギは、
エゴノキの足元で翼を広げるように雄大に咲いてくれています。
こちらは、3月中旬頃の様子。
ユキヤナギの白い花が咲き始めた頃です。
奥には見頃を過ぎたクリスマスローズの花がわずかに残っていて、
バトンタッチするように、ユキヤナギが見頃を迎えます。
ユキヤナギは、枝垂れた枝先の長い穂に、たくさんの花を咲かせます。
ユキヤナギという和名は、葉がヤナギに似て、白い多数の花が、
雪のように見えることからつけられています。
バラ科の植物でもあり、枝の出方や花の咲き方はつるバラに似ている
ように思います。
特に気に入っているのは、長い枝をそのまま垂れさせても
枝先までびっしりと花を咲かせるところです。
「頂芽優勢」という大原則に反して、何をしても咲くという剛健さが
嬉しい植物です。
ほとんど放置で手が掛からないという点は、とても重要なポイントです。
しかも花期が長いというパフォーマンスの良さも大きなメリットです。
再び、前庭のユキヤナギを道路側から見たところです。
エゴノキの両側の2本植えているのですが、まさに翼のような形。
白い滝のように、花が降り注いでいるところも気に入っています。
まさに「風景をつくれる植物」という点で、評価できる植物です。
ユキヤナギの良さは、春だけではありません。
紅葉のとても美しいのです。
写真は、12月末頃の様子。
エゴノキやモミジ、バラなどの落葉植物が葉を落としたあとも
黄色く色づいた美しい姿を長く保ち続けてくれます。
春だけでなく、晩秋も風景を楽しめるという一石二鳥の植物です。
ユキヤナギの良さは、引きで見た風景だけではありません。
「群」で咲いた圧倒的なボリューム感だけでなく、
ひとつひとつの小さな花にも美しさを見出すことができます。
この写真はユキヤナギの花が、ぽつりぽつりと咲き出した頃の様子です。
五弁の白い花がいくつも重なり合って、美しい模様をつくっています。
どこか家紋のようにも見える、グラフィカルな花形がとても魅力的です。
次々に開花する花と、蕾が混在する様子。
小さな世界にも動きがあって、見ていて飽きません。
写真に撮っても美しい、まさにフォトジェニックな植物だと思います。
咲き進むと、枝にびっしりと花が咲き誇ります。
自然樹形が作り出すリズムといい、動きといい、
春の爽やかな風になびく風情がたまらなく愛しいです。
もうひとつ、我が家ではユキヤナギに似た植物を育てています。
同じバラ科シモツケ属の落葉性低木で、ユキヤナギの近縁種のシジミバナです。
ユキヤナギと同様、枝垂れても咲くので、自然樹形で育てると
そよ風になびいて風情がでます。
シジミバナは、最初、八重咲きの栽培種が中国の庭園に植えられているのを
ヨーロッパの植物学者や園芸家によって発見されたそうです。
後に一重咲きの品種も発見されたそうですが、八重咲のイメージが強く、
一重咲きの軽いイメージのユキヤナギより、少しエレガントな印象です。
シジミバナの花期は4月~5月で、ユキヤナギよりやや遅れて開花します。
花期も、ユキヤナギと同様で長く花を楽しめるのが魅力です。
シジミバナの名前は、この花の形が、シジミの身に似ていることから名づけられたようです。
確かに貝のようにも見えますが、ボタンアイの白いバラの花のようにも見えます。
ユキヤナギとシジミバナを両方揃えて育てると、庭に奥行きが出るかもしれません。
本格的な春の花が咲く少し前のひと時の静けさを美しく彩ってくれるユキヤナギとシジミバナ。
是非、皆さんのガーデンでも育てて見られては如何でしょうか?
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