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専門家「風景」をつくるガーデニング術

2020年冬、我が家のつるバラ誘引風景

居場英則

3月に入って、春本番という季節になってきました。

今年は例年より更に暖冬傾向で、僕の住む奈良は毎年2月頃、一度は積雪があるのですが、

この冬は一度も雪が積もりませんでした。

昨年もバラの開花は早かったですが、今年も早そうな予感がします。


さて、今回の記事では、我が家のつるバラ誘引後の様子(風景)をご紹介しようと思います。

我が家では、建物や外構のフェンスなど、大きな壁面を使って、何本ものつるバラを誘引しています。

それが我が家の風景を形作っています。

つるバラの配置は、大きくは変わりませんが、毎年マイナーチェンジを重ねていて、

5月に咲くつるバラの風景も少しづつ変化しています。

そんな我が家のつるバラ誘引の状況を、毎年定点で撮影しています。

葉が展開する前の枝だけの誘引の状況を写真で記録しておくと、花が咲いた時にイメージ通りで咲いたのか

確認も出来ますし、翌年のつるバラ誘引作業の目安にもなるので便利です。

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こちらが、我が家の前庭全景です。

前庭は前面道路に面したオープン外構になっていて、写真向かって右側が玄関アプローチ、

左側の空間が駐車場になっています。

正面奥の建物外壁(1階部分の白い壁面部分)に加え、前庭を取り囲む敷地境界のフェンス、ブロック塀、

そして中央のシンボルツリーの株立ちのエゴノキの後ろにある小壁などを使って、つるバラを誘引しています。

また、写真右端の引き込み電柱にもつるバラを誘引しています。

最近は電力計もスマートメーターになっているので、計器を見に来ることもなくなったので、

葉が展開してメーターが隠れても大丈夫です。

むしろ、引き込み電柱の存在感を消すためにも、オベリスク誘引のようにつるバラを巻き付けて、

電柱全体で咲かせるようにしています。

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こちらは玄関アプローチを正面から見たところ。

正面の建物外壁の一部にガラス扉が付けられていて、その奥が中庭になっています。

玄関アプローチの向かって右側に、隣地境界のブロック塀、左側に小壁があって、

どちらにも建物の外壁と同じ割肌調の白い大理石タイルを張って、囲われた空間を作っています。

この囲われた三面につるバラを誘引し、バラの開花期にはバラの花に囲われて玄関にアプローチする演出です。

右側の隣地境界のブロック塀が途切れたあたりの花壇には、以前、常緑樹のヤマモモの大木を植えていましたが、

一昨年に抜いて、代わりにつるバラを誘引できるよう、我が家では初めてのアーチを設置しました。

このアーチには、古いイングリッシュローズのヒルダ・ミュレルとアップルシードを両側から誘引しています。

アーチ付近の花壇には、オベリスクを使って、数種類のイングリッシュローズを誘引しています。

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こちらは、玄関アプローチ右側の隣地境界のブロック塀。

ブロックの右側(隣地側)が方位でいうと南になるので、

つるバラを誘引しているのは北向きの壁面になります。

バラを始めた当初は、ここにアンジェラとつるアイスバーグというつるバラを

植えていました。

数年前に、入れ替えを行って、今は壁面の右側からバロン・ジロー・ドゥ・ラン、

左側からスーベニール・ドゥ・ドクトル・ジャメインを交差するように誘引しています。

白い割肌調のタイルに映えるよう、赤いバラを咲かせるようにしています。

アンジェラやアイスバーグのような多花ではありませんが、風情のある咲き方を

してくれます。

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こちらは、建物の外壁に当たる部分で、サンルームの前庭側の壁面。

こちらには、バラを始めた当初から植えているつるバラ、キング・ローズと

レッド・キャスケードを植えています。

どちらも、少し樹勢を落としていることもあって、この冬、その間に

同じ赤系統の小花を咲かせるチェビー・チェイスを地植えしました。

この3種類のつるバラは、どれも遅咲きで、花期もぴったりと合います。

壁面の上方で咲かせるような誘引をしたので、壁面の下部が少し淋しくなり、

そこを補うように、鉢植えのキングローズをプラスしました。

縦糸と横糸を絡めるような誘引を行っています。

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こちらが、建物正面を見たところ。

中庭へと続くガラス扉を両側から囲むように、左右からつるバラを誘引しています。

ガラス扉の上部に、つるの先端が来るように、波紋状に誘引しているので、

アーチで咲かせるような風景をつくることができます。

DSC_0160.jpgこちらが、数年前の5月のバラの最盛期の様子。

今年のつるバラの構成とは若干異なっていますが、概ねこのような風景で、今年も咲くと思います。

ガラス扉の向かって右側に、上からローズピンク色のキング・ローズ、その下の赤い小花がレッド・キャスケード。

ガラス扉の左側の壁面には、ピンクの房咲きのジャスミーナを誘引しています。

今年は、これに加え、右側には赤い小花のチェビー・チェイス、左側には、パレードを誘引しています。

一斉に咲き誇るように、花期を合わせるよう、遅咲きの品種を集めています。

また、配色も乱れないよう、赤〜ローズピンク〜ピンクに絞って、グラデーションをつくるように

品種を選んでいます。

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建物外壁(ガラス扉)の左側は、かなり大きな壁面となっています。

この前庭は西向きなこともあって、外壁に開けられた開口部(窓)は最小限に絞っているので、残りの壁面を

大きく使って、壁面全体を花で埋め尽くすようにつるバラを誘引しています。

誘引しているつるバラの品種は、壁面の向かって右から、ジャスミーナ、パレード、中央の株立ちのエゴノキを

挟んで、チェビー・チェイス、フロレンティーナ、そして鉢植えでイングリッシュローズのヒースクリフ、

そして、鉢植えで、キングローズ、一番左端に地植えのブレーズを配置しています。

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同じ壁面を駐車場側から斜めに見たところ。

この壁面に、地植え、鉢植えを含め11本のつるバラを誘引しています。

誘引に当たっては、なるべく波紋状に誘引し、つるの交差をできるだけ少なくしています。

葉が展開してくると密生し、風通しが悪くなるのと、品種によって、ステム(花茎)の長さが異なるので、

交差させると、ステムの短い品種がステムの長い品種に覆い被さられるようになり、

生育も悪くなる上、見栄えも悪くなるので、なるべく同心円状(波紋状)に誘引するようにしています。

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こちらは、前庭の駐車場側、北側住戸に隣接する境界フェンスです。

お隣の駐車場のポリカーボネート製の屋根の存在感を抑えるために、常緑のオリーブを3本植えています。

白い木製フェンスには、つるバラのピンクカクテル(中央)と右側にイングリッシュローズの

クラウン・プリンセス・マルガリータを誘引しています。

2本のつるバラの間を埋めるように、複数のクレマチスを誘引しています。

その手前の花壇に、シュラブ樹形のイングリッシュローズを中心に何本かのバラを植えて、足元を彩ります。

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白い木製フェンス部分を斜めに見たところ。

フェンスに誘引しているつるバラやクレマチスは、テラコッタ鉢を使って植えています。

半分ほど土の中に埋まったテラコッタ鉢は、底を抜いて地植え状態にしています。

この辺りは、地中に下水配管などがある上、オリーブの根が張っているため、

後から植え付けた植物の根が他の植物に邪魔されないよう、配慮しています。

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白い木製フェンスを道路側から見たところ。

メインのつるバラ、ピンク・カクテルを引き立てるように、

青色系統のクレマチスを、花形を変えながら、何種類も植えています。

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ちなみに、こちらの写真が、5月の満開の頃の様子。

白い木製フェンスを背景に、ピンクと黄色が鮮やかなピンク・カクテル、

そして、クレマチスは、美佐世、天塩、H.F.ヤングを加えています。

建物壁面が赤系統のつるバラがメインなのに対し、この白い木製フェンスは

キャンディカラーでまとめています。

さらに、ピンク・カクテルが早咲き品種ということもあり、

クレマチスも早咲き大輪系の品種を合わせています。

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こちらは、ガラス扉をくぐった中庭から、前庭方向を見たところ。

左側のガラスの壁面の建屋がサンルーム。

そのガラスの壁面に誘引しているのが、ピエール・ド・ロンサール。

ガラスの奥に、サンルームのブルーグリーンの板張りの壁面が見えるように、所々隙間を空け誘引しています。

写真の向かって右側、母屋側が「ランウェイ花壇」と呼んでいるエリアです。

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ちなみに、こちらが昨年の中庭の様子。

サンルームのガラスの壁面に、ピエール・ド・ロンサールが咲き乱れています。

ただ、枝先がサンルームの高い位置に集約していて、ガラスの壁面の低い位置ではあまり花が咲いていませんね?

今回はその反省を踏まえて、枝をなるべく低い位置にも誘引し、また、枝の先端を各所に散らすように、

段差剪定を意識した誘引にしています。

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ランウェイ花壇を正面から見たところ。

ここは、土の中に埋め込んだテラコッタ鉢に、スリット鉢で育てたバラや

その他の植物を入れ替えて咲かせる方式を取ってきましたが、

やはり可能な限り地植えしたいということで、テラコッタの鉢底を抜く形で

地植えしています。

一番手前にシュラブ樹形のイングリッシュローズ、2段目のシャクヤク、

一番奥に、つるバラを植え込んでいます。

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一番奥(建物側)のつるバラは、雨水の縦管や木杭を使って誘引しています。

一番手前の小さなテラコッタ鉢だけ、「ランウェイ方式」にしていて、

サルビアなどの宿根草を入れ替えて配置するように計画しています。

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こちらは、中庭の建物と反対側、隣地境界のブロック塀です。

こちらも、建物外壁と同じ、白い割肌調の大理石タイルを張っているので、白い背景に映える赤いバラ、

をカーディナル・ヒュームを誘引しています。

お隣の建物が近く、中庭は日陰になるため、バラの生育には厳しい環境ですが、

このカーディナル・ヒュームは、毎年変わりなく咲いてくれます。

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その大理石タイル張りの右側、サンルームとの間がシェードガーデンで、我が家では最も日陰になる場所です。

この隣地境界にも木製フェンスを配置していて、黒く塗装しています。

この厳しい日陰環境でも咲くつるバラを、何年も試してきました。

樹勢を落とすバラや、生育しても花を咲かせないバラが多い中、何とかこの厳しい日陰環境下でも花を咲かせる

品種として、ロサ・オリエンテスのバラ、ダフネと、レオナルド・ダ・ヴィンチの枝代わり、アントニオ・ガウディ

を植えています。

何とかこの環境に適合したのか、シュート(枝数)も増えて、壁面全体をカバーできるようになりました。

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最後は、こちら。

中庭の奥、隣地境界と建物とのわずかな隙間に設置した黒い木製フェンスに誘引しているのは、

オールドローズのマダム・イサーク・ペレール。

お隣の建物が、このあたりは平屋建てなこともあって、中庭の他のバラよりは生育環境が良いため、

良く咲いてくれます。

ただ、光を求めて、上へ上へと枝を伸ばすため、フェンスのなるべく低い位置に誘引するよう、心がけています。

画面左側には、雨水配水管(実はダミー)を利用して、つるバラ、ロワド・ロンサールを誘引しています。

限られたスペースの中で、最大限に様々な物を活用して、つるバラを咲かせる工夫をしています。

これで、概ね我が家のつるバラの誘引状況はご紹介できたかなと思います。

大きく変わらないようで、毎年小さな工夫を積み重ねながら、いろんな事にチャレンジしています。

それでもイメージ通り咲いてくれないことも多々ありますが、こうして誘引状況の記録を残しておく事で

反省点に気付き、新たな改善を加えることが出来るのです。

皆さんのつるバラ誘引作業の参考になれば幸いです。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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