2020.4. 1 / お気に入りの植物
4月に入り、いよいよ春本番。
いろんな花が咲き始め、庭も俄然、賑やかになってきました。
今回は、そんな春らしい風景をつくる代名詞ともいえる、球根植物・チューリップが咲く風景を紹介します。
数年前につるバラをメインにしたガーデンをつくり始めた頃から、欠かさず育てているのがチューリップ。
球根植物であるチューリップは、蓄えたエネルギーを開花で使い果たしてしまうためか、
地植えしてもなかなか翌年も奇麗な花を咲かせることが難しいので、鉢植えで育てています。
こちらの写真は、数年前にガーデンリフォームを実施した翌年の春の中庭。
まだ鉢植えの植物が少なかった頃で、庭もすっきりしています(笑)。
テラコッタ鉢に、一年草のビオラや球根植物のムスカリ、スイセンに加えて、
チューリップを一品種一鉢というスタイルで育てています。
こちらの写真は、さらにその翌年。
中庭の乱張り石張りのテラスに、所狭しとテラコッタ鉢に植えられたチューリップが並んでいます。
一部の鉢には、ビオラとチューリップを混植したりもしていました。
同じ球根植物のムスカリの青い花が、ピンクや黄色のチューリップの花を引き立ててくれています。
庭の奥の方には、ミツバツツジやハナカイドウ、シジミバナなど、低木の春の花が咲いています。
まさに穏やかな春の一日といった風景です。
そして、こちらは、さらにその翌年、ガーデンリフォームしてから3年目の春の中庭です。
年々チューリップの鉢植えが増え、中庭を埋め尽くすほどになっていました。
バラと同様、青い花がないチューリップの花色を引き立てるため、
ムスカリや青い花のビオラなどを多用しています。
今思えば、少しトゥーマッチ(やり過ぎ)な印象ですね(汗)。
チューリップの作る風景は、ツンと尖った葉が重なり、花の高さも揃っていて、
バラが咲く風景とは少し異なる風情があります。
チューリップが作る風景は、昼だけではありません。
こちらは、我が家の前庭、玄関アプローチ。
鉢植で育てているため、中庭から前庭へ鉢を移動させました。
日が暮れるマジックアワーには、照明に照らされたチューリップが幻想的に輝きます。
また、チューリップの楽しみは、開花期だけではありません。
土の中から葉が展開し出す頃も、とても魅力的な風景を見ることができます。
写真は、3月中旬頃の中庭。
お気に入りの大きなテラコッタ鉢に植え込んだチューリップの球根が芽吹き始め、
規則正しく葉が並ぶ風情も、なかなかのものです。
僕は、チューリップの球根の植え付けは、かなり密にしています。
咲いた時のボリューム感を出すためです。
球根の植え付け時に、球根の向きを確かめながら植え込み、
同じ方向に、規則正しく葉が展開するようにしています。
さて、ここからは、実際に様々なチューリップの品種を育ててみた中で、
特に良かった、印象的な品種をいくつかピックアップしてご紹介します。
まずは、こちらの写真から。
我が家の中庭でのワンシーンですが、とても気に入っている一枚です。
手前のアプリコットピンクのチューリップが、プリティ・プリンセス、
そしてその後方、少し高い位置に見えている白と紫色のチューリップが、
フレーミング・フラッグという品種です。
この2種類のチューリップは、特に気に入っている品種です。
まずは、こちらのプリティ・プリンセス。
「レンブラント咲き」と称される、縞模様や絞り模様の入る咲き方で、
まさにレンブラントの絵画のようなドラマチックな花です。
手前には蕾が立ち上がっていますが、全体が緑色の中で、
先端に少しだけピンクの色が顔をのぞかせているところがお洒落です。
蕾が割れて、中から濃いアプリコットピンクの花弁が出てきました。
葉にも白い斑が入っているのもポイントです。
花が開くと、夕焼けのような何とも言えない美しい茜色に染まります。
そこに筆で線を描いたような濃い模様が混じるのが、とても美しいです。
こちらは、朝日を浴びてオレンジ色に染まった姿。
異なる時間帯の光によって、さまざまに表情を変えるのが良いところです。
こちらは、もう一方のレンブラント咲きのチューリップで、
フレーミング・フラッグ。
純白の中に、赤紫色の絞り柄が入る品種です。
柄も花によって微妙に異なっています。
背景に黄色いチューリップが見えますが、紫色と補色対比になり、
より一層引き立っています。
こちらが一番立ち姿の美しい状態。
着物の柄のような複雑な絞り模様が、洋の庭にも和の庭にも合うと思います。
もうひとつ、この品種の魅力がこちら。
完全に花が開く直前の姿ですが、まるで卵のような形をしています。
群で咲くとこんな感じになります。
とてもキュートな印象で、思わず笑みがこぼれてしまいます。
続いてのおススメ品種がこちら。
こちらもとても個性的な品種で、ハッピー・ジェネレーション。
白地に炎のような赤い筋模様が入ります。
中のしべの部分は黄色で、本当に燃えているかのように見えます。
庭の中に、このチューリップが咲くと、パワーをもらえるような気がします。
こちらは、先ほどのハッピー・ジェネレーションの色違いで、
ハッピー・ピープルという品種。
赤い部分が黄色になっています。
バックライトで光を透過させると、花そのものが発光しているように見えます。
写真映えという点では、このチューリップも美しかったです。
ジュディスレーターという品種で、一見するとただの赤いチューリップに見えますが、
花茎との接点に、ほのかな黄色が残っています。
逆光で、花を透かせて下から見上げるように撮影してみました。
花の底の方が白く発光しているように見えます。
いくつも花が重なると、こんな景色になります。
松明(たいまつ)のようにも見えます。
「写真映え」という切り口でチューリップを捉えると、
こんな写真も面白いかなと思います。
品種名が付かない、ただの赤いチューリップですが、
水滴をまとって、とても瑞々しく見えます。
こういうシズル感のある写真も、チューリップでは撮りやすいかと思います。
こちらも同様に、品種名のない、赤いチューリップですが、
太陽の光を浴びて、すくすくと伸びている姿に生命力を感じます。
手前に入れた紫色のビオラ、背景の黄色チューリップなども相まって
幸せを感じる一枚になっているように思います。
こちらも気に入っているチューリップの写真で、とある写真コンテストにも入賞した一枚です。
一品種一鉢が主義の僕にとっては珍しく、黄色いビオラとピンクのチューリップの寄せ植えで、
こんもりと茂る幸せの黄色いビオラの中央に、背丈の低めのピンクのチューリップを咲かせました。
ブーケのようにも見えますね。
こちらは、横から見たところ。
寄せ植えというよりは、混植で、黄色に紫が混じるビオラと、単純なピンクのチューリップが
お互いを引き立て合っているように見えます。
おススメのチューリップの品種の話に戻しましょう。
こちらは、サンセット・トロピカルという品種で、この花色が特に気に入っています。
サンセットとか、コーラルという表現がぴったりくる、味わい深い色で、
チューリップというより芍薬に近い色合い、質感かなと思います。
濃い葉の色とのコントラストも美しいです。
こちらは、八重咲品種で、ネグリタ・ダブルという品種。
こちらは、チューリップというよりバラに近い咲き方。
濃い青紫色の花は、オールドローズのカーディナル・リシュリューに
似ているように感じます。
こちらも、八重咲き、バラ咲き品種の代表格でアンジェリケ。
葉を見ずに、花だけ見るとバラと見間違うくらい似ています。
大きく太った球根で植えたアンジェリケの大輪花は、とても迫力があります。
ここからは、少しマニアックな品種をご紹介します。
こちらは、原種系チューリップのひとつで、プリケラ・フミリス。
矮性で背丈が小さく、20センチくらいのところで咲きます。
写真は咲き始めの頃で、3月下旬。
他のチューリップに先駆けて咲く、早咲き品種です。
奥に写っている青い花は、球根植物のチオノドグサと、黄色いスイセン。
プリケラ・フミリスの花茎の付け根に少し黄色い部分が見えますが、
スイセンの黄色と同化し、チオノドグサの青と補色対比で
とても美しく見えます。
プリケラ・フミリスの花は、花弁の先が少し反り返るように咲きます。
そのあたりも原種系ならではの特徴なのかなと思います。
そして、個人的にこの品種が好みな理由は、こちら。
蕾の頃の、この金属的な光沢感。
このフォルムや質感がとてもたまりません(汗)。
マニアック過ぎて引かれるかもしれませんが(笑)。
そして、もう一つ、こちらの原種系チューリップも魅力的です。
ライラック・ワンダーという品種で、こちらも矮性です。
この蕾にも、秘めた美しさを感じます。
蕾マニアの視点でいくと、この写真にも美を感じます。
緑色から茶色へグラデーションする縞模様。
開花せず、このままでいて欲しいと思ってしまいます(笑)。
こちらの黄色いチューリップの蕾も素敵です。
蕾に微かに表れたかすり模様、黄色い斑入りの葉など、萌えを感じます(笑)。
如何でしたでしょうか?
我が家のチューリップガーデンと、おススメ品種たち。
開花期が美しいのはもちろんですが、発芽してから開花するまでのプロセスにこそ、
チューリップを育てる醍醐味があるのではないでしょうか?
是非、皆さんも春のチューリップガーデンに挑戦していただけたらと思います。
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