2020.4. 8 / 花の名所、花のイベント
4月に入りました。
今年はいつになく暖冬傾向で、僕の地元、奈良市は一度も雪が降りませんでした。
このブログ記事が掲載される頃には、既に桜の旬を過ぎているかもしれませんが、
今回は桜の風景が美しい、奈良のお寺とそのお寺のある古い街並みをご紹介したいと思います。
日本には数多くの桜の名所がありますが、関西では京都・嵐山、大阪城公園、大阪の造幣局の桜の通り抜け、
そして奈良では、吉野山の桜が有名です。
もちろん吉野山の桜も素晴らしいのですが、僕がとある鉄道会社のポスターでその写真を見て
是非一度行ってみたいと思ったのが、今回ご紹介する、奈良県中部、高取町にある「壺阪寺」です。
壺阪寺は、「西国三十三書第六番札所」として知られ、多くの人が参詣する
奈良県屈指の名刹です。
眼病封じの寺としても知られ、ご本尊の十一面千手観音菩薩は
眼の病にご利益があると、古くから信仰されてきました。
僕がここを訪れたのは一昨年ですが、ちょうど桜が満開のベストな
タイミングでした。
奈良時代、元興寺の僧・弁基上人がこの山で修行していたところ、
愛用の水晶の壺を坂の上の庵に納め、感得した観音像を刻んで祀ったことが
始まりとされています。
平安期には、長谷寺とともに定額寺に列せられ、平安貴族達の参拝も
盛んになり、清少納言は「枕草子」の中で、「寺は壺坂、笠置、法輪・・・」と
霊験の寺として筆頭に挙げているほどのお寺です。
写真は、重要文化財の三重塔で、階段の手前に枝を伸ばす桜との対比が美しいです。
壺阪寺で最も目を惹くのがこちらの巨大な石仏。
他にも巨大な観音像や寝仏が石で作られています。
これらの石仏は、1900年代後半に作られた比較的新しい仏像で、
インドでの奉仕事業によるご縁で贈られたとのことです。
巨大な石仏の手前にも桜の木があり、淡いピンクの花越しに
白い石仏が雄大に鎮座しています。
壺阪寺では、仏像とひな人形を一緒に飾り祀る「雛曼荼羅飾り」が毎年3月に公開されています。
本堂のご本尊の前には、約1500体のひな人形で飾られた雛曼荼羅を見ることができます。
お寺の本堂に、ひな人形が飾られるという不思議な空間に圧倒されます。
こちらは、南インド・カルカラにおいて延べ5万7,000人の石彫師の手によって、
インドの石に彫刻され製作されたお釈迦様の半生を記した「天竺渡来佛伝図レリーフ」。
高さ3m、全長50m、重さ300tという巨大なもので、
輸送の都合上、各場面を数個に分断し彫刻されたそうです。
彫刻そのものも素晴らしいのですが、僕が心惹かれたのは、その上の花壇です。
黄色いレンギョウや白いモクレンが満開で、頭の上から降り注ぐように咲いていました。
こちらはその一角に咲いていたトサミズキです。
トサミズキがこんなに大きく、たくさんの花を咲かせているのは初めて見ました。
空に向かって手を広げるように咲いている株立ち樹形がとても美しいです。
このレリーフの上の部分にも登れるようになっています。
上からレンギョウ、トサミズキの黄色い花越しに、三重塔を見たところ。
三重塔の足元にはソメイヨシノの淡いピンクが雲のように咲いています。
ここに白いモクレンが加わります。
黄色と白い淡いピンクの花々が、見事に咲き揃った風景に圧倒されました。
この色の組み合わせ、樹木の組み合わせは素晴らしいなと思いました。
険しい山の山中にあるため、寺の境内もかなりの高低差があります。
上から見下ろすと、石仏、三重塔、本堂、八角円堂、多宝塔など、
寺の主要な建造物を一同に眺めることができます。
それぞれの建物の間を、ソメイヨシノの淡いピンクの花が埋めて、雲の中にお堂があるように見えます。
少し下りてきました。
大きな石仏を真横に見ることができるアングルです。
周囲をソメイヨシノの花に囲まれてとても美しい風景になっています。
もう少し上がると、絶好のビューポイントがあります。
ソメイヨシノの花の中に石仏が顔を出して下さいます。
非常に狭い場所なので、このアングルで写真を撮りたい人が
入れ替わり立ち代わりで順番に写真を撮っていました。
少しアングルを変えると、ベストなポジションがありました。
ちょうど胸から上が、はっきりと見えるポジションです。
これとほぼ同アングルの写真が、冒頭で書きましたとある鉄道会社の
ポスターになっていた写真です。
この風景が見たくて、壺阪寺を訪れました。
是非、この絶景を見に、壺阪寺へお出かけください。
壺阪寺からの帰り、駐車場で美しい風景を見つけました。
ソメイヨシノの手前に紅花のモクレンが満開でした。
ソメイヨシノの淡いピンクの小花と、モクレンの濃いピンクと大振りな花のコントラストが
殊の外、美しかったです。
その紅花モクレンの大木を下から見上げた一枚です。
モクレンの濃いピンクはグラデーションになっていて、趣深いです。
モクレンは、「木蓮」と書きますが、まさに蓮のような花。
仏教寺院にはとても似合う花だと思います。
花期がとても短いのが儚くて残念ですが・・・。
駐車場に面した崖地に、もうひとつの春を見つけました。
ヤマブキだと思います。
ここにも黄色い花が咲いていて、嬉しくなりました。
壺阪寺を後にして、麓の高取町に行ってみました。
高取町は明日香地方に位置し、古くから薬の町として有名です。
江戸時代には伊勢街道沿いに売薬が始められ、「先用後利」(先に薬を使い、代金は後払い)という
独特の商法で、親しまれました。
今も製薬産業や家庭配置薬業は、高取の主要産業となっているそうです。
そんな古き良き時代の街並みが、高取町には残っています。
また、高取町は「雛飾り」の町としても有名です。
古い街並みを保存・活用する試みとして、「町屋の雛めぐり」というイベントが開催されています。
(※今年は、コロナウィルス流行の影響でイベントは中止されているようです。)
民家や商家の玄関、縁側、店先などに、その家庭にご縁のあるお雛さんが飾り付けられていて、
自由に見学することができます。
街の中心部のイベント会場には、巨大な雛飾りも展示されています。
また、昨今は城郭ブームですが、ここ高取にはかつて日本三大山城と謳われた「高取城」がありました。
標高約600mの高取山山頂に築かれた山城で、山上に白漆喰塗りの天守や櫓が29棟もあったと言われています。
写真は、高取町内で見つけた看板で、奈良産業大学が作成した再現CGパースです。
明治に入り、廃城となり、全ての建物が取り壊され、現在は石垣が残るのみとなっています。
如何でしたでしょうか、「桜大仏」の壺阪寺に、古い町並みが残る高取町、そして日本三大山城の高取城跡。
奈良県中部の明日香地方にほど近いエリアに見どころ満載の場所があります。
桜の頃が一番のおススメの時期です。
是非、訪れてみてはいかがでしょうか?
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