2016.12.15
毎年決まった時期になると花を咲かせるように見える庭木も、剪定の時期には注意が必要で、いつ剪定しても良いという訳ではありません。今回は、樹木の花つきを左右する剪定の適期についてご説明します。
例えば6~7月に見ごろを迎えるアジサイ。
通常は7月頃までに開花期が終わりますが、その後すぐに剪定を行えば、翌年もまた美しい花を咲かせてくれます。
しかし、同じ木でも、冬になってから剪定をしてしまった場合、翌年は花を咲かせてはくれません。
この違いは一体何なのでしょうか?
(photolibrary)
その秘密は、「花芽文化(はなめぶんか/かがぶんか)」にあります。
「花芽文化(はなめぶんか/かがぶんか)」とは、植物の花になる芽が形成される内部組織の変化のことをいいます。
厄介なのは、これが外見からは判断できないこと。
そして、それが開花期よりもずっと前に起きる植物もあるということです。
つまり、「まだ芽も蕾もないし、咲くのは半年も先だから」といって花芽分化期の後にうっかり剪定してしまったりすると、咲くはずの花芽ごとバッサリ切り落とすことになり、当然翌年には花は咲かず、葉ばかりが茂るということが起こり得るのです。
花芽分化は、植物が成熟していて、開花するだけの養分を蓄えた状態にあり、さらに温度や日長、水分状態などの一定の環境要因が一定期間満たされることで促されます。
仮にある年に剪定のタイミングを間違え、花のつかない年を迎えてしまうことがあっても、普通は翌年の同じ時期になるとまた花芽分化が始まります。
ですから、剪定によって二度と花が咲かなくなってしまうといった心配は要りませんが、この植物の生長サイクルである「花芽分化期」を把握して剪定を行わないと、毎年美しい花を楽しむことはできないということは、しっかり覚えておきましょう。
それでは、楽しいガーデニングライフを!
■参考資料:「開花期と花芽分化期の例」
アジサイ:開花期6~7月 / 花芽分化期8~9月
サルスベリ:開花期7~9月 / 花芽分化期6月
キンモクセイ:開花期9~10月 / 花芽分化期7~8月
ツバキ:開花期1~3月 / 花芽分化期6~7月
バラ:開花期5~6月 / 花芽分化期7~9月
ユキヤナギ:開花期3~4月 / 花芽分化期7~10月
オリーブ:開花期5~6月 / 花芽分化期1~2月