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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

北海道 銀河庭園 閉園前 わたしから見た、その美しさ

吉谷桂子

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ついに今年の10月14日で、北海道の広大なイングリッシュガーデン、銀河庭園は閉園してしまいます。

私にできることとしては、たとえ写真でも、その美しさを少しでも多くの方に知っていただうこと。

↑↓の写真は、昨年10月29日のもので私は今年、この景色を見ることはできない。素晴らしい眺めでした。

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↑は去年ですが。こんな写真もでてきました。2017年10月6日の同じ場所。

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銀河庭園は、広さ10ヘクタール(100,000㎡)の敷地にイギリスのガーデンデザイナー、チェルシー・フラワーショウでも数々の夢のある庭をデザインしてきたバニー・ギネスさんが、全体デザインからディテールの構造物まで、すべてをデザインし、2006年にオープンしました。

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イギリスから招いたイギリス人の大工さんによって長い時間をかけて作られた建物はすべてイングリッシュオークのハンドメイドの木造。これらの建物を見るだけでも感動のガーデンです。

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そして、全ては、オーガニックなガーデニング手法を基本にして除草剤は一切使わず、病害虫に対しても無農薬でずっと対処してきました。

これはすごいことです。ゆえに、立ち上げ当初から関わっているヘッドガーデナーの女性2人も素晴らしい方々なのでした。

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↑今年6月に行った時。このようなショータイムはもう2度と見られないのだろうと思ってたくさん写真を撮りました。

バラだけを咲かせたローズガーデンではありませんが、オーガニックのローズガーデンとしては、日本一美しい!!!と思っています。

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2016年より、私が銀河庭園のスーパーバイザーとなった際、最初はガーデンのエントランスから奥の庭へ、新たなガーデンエリアを設けて誘導路にも、植栽計画。

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それまで入り口周辺には、宿根草ほか花の咲くガーデンデザインがなかったので、入ってすぐのエリアとメインガーデンに繋がるダブルボーダー、銀河ボーダーのガーデンを作らせていただきました。

4月は↑こんな感じでスタートして最初の春でしたが

↓同じ年の秋は、頑張ってダリアと一年草の花は、その年のうちに見事なパフォーマンスをするので、こんな感じに!素敵だったんですよー!見せたかった。

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7年前。私60歳だったか。ちょっと。若いですね。

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これがエントランスのウエルカムガーデンで、ここを進むとチェルシーツリーハウス。

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ここにもフォトコーナーを作らせていただきました。ツリーハウスのアプリコット色に併せてアプリコット色のダリアで

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メインガーデンに繋がるダブルの帯状花壇、銀河ボーダーのガーデンを造成中の2017年晩秋。最初の年2016年に右側のボーダー、2年目に左のボーダーを着手

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開園の最初から、本当に美しかった Brack& White Garden

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White & Blue イメージの Trellis Garden は典型的なイングリッシュガーデンらしい庭で、そこに至るまでは、入場して、しばらく野性的な自然の道を歩くような園路でしたから、入った瞬間から華やかな花の咲くエリアが必要だと思っておりました。

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トレリスガーデンのトレリスのデザインは本当に繊細で美しかったです。初めてここを見た時の感動は10年以上が経った今も、見るたびにため息がでます。しかし、こうした構造の美しさが一般的にどの程度人気があったのか。よくわからないところもありました。多くの方々は、デザインの美しさというより、どれくらい花が咲いているか。そちらに重点が置かれた見学のように思われました。それもよく分かります。

到着してすぐにわー!っと盛り上がらないと気分が上がりにくいので。なので、肥料お少し多めにセットして花を咲かせる計画もスタート。

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私が銀河庭園のスーパーバイザーへの依頼をお受けしたミッションは当然、観客動員数を増やすためです。

このような表現が正しいか、自分でいうのも、語弊の誤解が懸念されますし、今まであまり言わないきたことですが、ガーデン・ショーの内容にしても「より一層多くの人たちが楽しめる内容」とは、私自身の好みや、本当はこうしたいと思うような先端的デザインよりも、大衆性を常に考えてきました。

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それはデザイナーとして当然のこととして。より一層、だれもが花を楽しんでくれて、親しみやすいガーデンを目指すことに。しかし、私自身は自分なりの理想の枠をそう簡単には飛び出せず。個人的には↑白い花や青い花。やはり好きですが、そこは封印。

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たとえば、こうした景色、花もグラスも構造物も、背後の景色も全部を調和させたようなけしきを美しいと思いうけれども。あまり一箇所で同じ花がどっさりと咲いている景色が好きではない。

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バニーさんのデザインは夢、ファンタジーの詰まった楽しみの多い作風で、1993年のチェルシーの作品で知って以来ずっと尊敬するデザイナーですが、ブラック&ホワイトガーデンのかっこよさや、ブルーガーデンのクールな色調はとにかく洗練の極みです。でも、逆に、赤やオレンジ、ピンク色など、暖色系の花が植る植栽計画が少なかったことで、私はあえて分かりやすく派手目な調子、ピンク色や赤やオレンジ、黄色の色調の花を選ぶようにしました。

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スネイクガーデンにて。時に!2017年当時は私のアパレルブランド、Shade で洋服のデザインもしていたので、このセーターのデザインは、サンプルが出来上がったばかり!

やはり、本当はネイビーの無地の上下、セットアップがもっとも落ち着くし、好きなのですが、楽しい雰囲気、庭を感じるアウトフィット。それも大切だと思うのでした。好みとかじゃなく、ドレスカラーコードと同じような...。(続く)


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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