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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

6月30日の北海道 銀河庭園 最新イギリス報告 の報告とパルテール花壇

吉谷桂子

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6月最後の日曜日、北海道恵庭市 銀河庭園にて「最新イギリス報告」というタイトルの講座を

開催させていただきました。会場へはたくさんの皆様にお越しいただき、本当に嬉しいことでした。

ありがとうございました。

会場では、300枚以上の写真にそれぞれたくさんの言葉を注ぎ込んでいたので、そのすべての文言を

ご理解いただくのは難しかったと思われます。.....また、こちらはオンラインではなかったので、

こちらのブログで、そうした言葉の補足というか、覚え書きのようなことを続けていきたいと考えています。かなり時間がかかるので、この夏のあいだに...

お伝えたえしたいことは、ひとっ飛びに要約すると、ひとつ。

「人は本能的に自然とのつながりを求めている...だからこそ...」というような基本の考えを下敷きに

ガーデニングの楽しさ。その価値、ただなんとなくではなく、意識的に、心や身体を健康にしてくれるガーデニング、自分なりに納得というか、安心というか、そのためのちょっとしたヒント、アイデア、

ちょっと心の付箋に挟んでおく。みたいに、日々の暮らし、生き方のお役にたてばと思って.います..。

さて、今回は銀河庭園へ

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本能的に、かどうかも、わからないけれど、私は、いつも、自然とのつながり、大切に思っています。

室内にいるときは、青空でも曇り空でも雨でも良いから、視界にそれがないと辛いので、窓辺にこだわる。

よく空の色を見ています。風の感じとか。そして、なによりも私の植物たち。庭。

今の時期の東京は熱中症の危険もあり、屋外〜ワイルドな自然からは、身を守ることも考えなくてはいけませんが、先日の北海道では暑い時間帯もありましたが、やはり、気持ちの良い風が吹いていて、

銀河庭園内にある木道(写真↑)の心地よさは最高でした。この木道を好んで気持ち良さそうに選んでいくのは 案外大人には少なくて、子供たちに見かけます。そういった感性のある子供を見かけるとホッとします。

この景色にしても、人の手が入っています。しかし、うまく自然と協調しながら、すてきな世界を作ること。それが、ガーデンの理想だと思います。でも、その自然な雰囲気、 私の感触ではそんなに大人気と言うわけではなくて。

もっと正直をいうと、こうしたエリアに人気....まったくないようなのです。好んでここを歩く大人を見たことがないので。...それよりも、当然ですが

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今はローズガーデンのバラの花が、満開。それゆえに、たくさんの方々がお見えになっていました。

このエリアも 私がスーパーバイザーとして就任してからは、バラ以外にたくさんの宿根草を

植えさせていただきました。景色としてのローズガーデンは、バラだけではなく、丈夫な宿根草を

選んでいますが、その増えすぎてしまうかもしれない状態を抑えるのもガーデナーのセンスと技術で

これは素晴らしいものです。

それらが、やはり3から4年以上の時間の経過の中で理想的な姿に育っています。

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ちなみに、特に、今年の銀河庭園のローズガーデンはもう、なんというかすごかったというか。

植物たちが、まるで閉園の決まったガーデンで、最後のエネルギー大放出・全開!のような。それはガーデナーの心象も映していたかもしれません。

今は徐々に、手をかけることも労働力の点でも難しくなっているのと、時に自然界の恐ろしさ。

箱根 星の王子さまミュージアムも、その自然災害の影響が閉園の理由のひとつになっていました。

干ばつ、大雨、そんな繰り返しもあります。夏の猛暑、冬の突然の大寒波で枯れる植物も跡を

断ちません。

そんな状況で2021年に私がデザインをさせていただいたのが、このパルテールの庭です。

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2021年の時点で問題がはっきりした際、こんな返事を銀河庭園に送っています。

「気候変動、今後も当然起こりうる自然の極端な変化のなかで、私たちが行うべきは、
ガーデンに対するサステナブルな対処です。
 
そこには、根底的なバニー・ギネスさんへのリスペクト、バニーさんのデザインを残しながら、フランスやイギリスのスタイルを 植物のセレクトはフランスではなく
北海道で元気な植物で変換するということにできたらと思います」

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その完成がこの写真でした。

下の写真が以前の、10年ほど前。そして、2021年、このツゲがいっせいに枯れてしまう冬がありました。

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ツゲのコンディションの維持は今やヨーロッパでも大変なことになっています。

病害虫、気候の関係で枯れるものが増えている。代替え植物へのニーズも高まっています。

でも常緑の灌木はコストが高い(特に成長が遅いのは高い!)ので、私は灌木を選ぶのをやめました。

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ツゲではない植物で、もともとのバニーギネスさんのデザインを生かしながら もっとも手間がかからず、しかも銀河庭園に増えている、それはなんだろう!ガーデナーの山口さんと園内をまわって。

これはできる?できない?できれば買わなくても、株分けだけで済む。買うのはなるべく少なく

だってここ、かなり、ひろい!

そんな植物で、構成できないか。

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工事が始まったのが、2021年の春〜初夏です。

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ちょうど、ここに、2021年7月7日の写真があります。あれから、3年目の今年。

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なんと、おなじアングルで写真を撮っていませんでした。

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でも、描いた絵と同じ、というか、それ以上になったのです。今年!

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若干、Yew イチイのトピアリーの位置が違っていますが、あとはほぼスケッチを同じに!!!

今年ようやく、なったのでした。

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閉園を惜しむ声がさらに大きくなっていますが、このガーデンは、それほどたくさんの手間を

かけなくても、この植栽デザインに変わりなく、存続できるように、(私も今年あたりで引退を考えていたので、私がこなくてもデザイン維持がしやすい庭へ)ようやくなったかと思えた、それが先週のことでした。北海道にいらっしゃるチャンス、ぜひ、銀河庭園を訪ねてみてくださいね!

恵庭駅から無料のシャトルバスがでています。

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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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