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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

イギリス最先端のウェルビーイングなガーデン事情 2024ツアー報告 

吉谷桂子

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今年5月21日の夜 羽田空港に向かい、翌朝の飛行機でロンドンヒースロー空港に向かってから

早1ヶ月が過ぎました。外国へ行く事。(今円安なので特に)ものすごく大変だと思いますが、

大変であるほどに、人生は、充実するものと思います。65歳をすぎて高齢になると、そうした意欲も

薄れる傾向がないわけではないけれども、もう少し頑張ってみよう。と、結局はガーデニングの力によって

ふるいたつことができるように思います。

今回のツアーには、29名さまのご参加がありました。(一名様、残念ながら、直前のご病気でキャンセル)

またたくさんの方々にキャンセル待ちかなわず見送って頂かざるを得なかった事お詫び申し上げます。そして、

ご参加いただき、まことに有難く、感謝の気持ちでいっぱいです。

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そのためにも、行き先の決定+アポイントの取り組みには、半年を要しました。

昨年のツアー終了直後から、そして実際の予約業務は、昨年年末からスタートしていたからです。

そして、なんと言っても、今、ガーデンの旅で行くべきは、マンチェスターです。

産業革命以来、近代化と共に荒廃していった街の自然を、21世紀に入って美しい緑の世界に変えていこうと

そうした機運が、高まっていった彼の地のグリーンインフラ。'Greening Grey Britain'  

それらが、注目のガーデンデザイナーらによって

魅力的な世界に生まれ変わった。これはいかなくては!!!

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ブリッジウォーターに始まって、メイフィールド(写真上)は、廃墟になっていた場所を100年以上ぶりに

ナチュラリスティックガーデンを中心に子供から大人まで、みんなの安らぎの場所につくり変えた。

そして、同じ日の午後に訪ねたチャッツワースもすごいことになっている。

私は どうにかして70歳になるまでにもう一度チャッツワースにゆっくりと尋ねたいと思っていて、

その時はぜひ敷地内にある宿泊施設にトライをしたいと思っていますが、さぁできるかどうか。

今イギリス国内で一番行きたい場所です。もちろん....

純粋にプラクティカルにガーデンということなら、間違いなくウィズレーですが、そして

初心者の方には、シシングハーストや20世紀からあまり変わらないガーデンがおすすめです。

しかし、極めつけの3日間のステイ先ならチャッツワース。

車を借りて、マンチェスターをめぐる1週間。やってみたい。

憧れます。 実は私、30年前にもチャッツワースを訪ねているのですが、あの時とは、もう全然違っていたのでした。

それはまさに、生き生きとクリエイティブな魂が躍動しているような庭でした。写真では表しきれませんが。

チャッツワースの広い景観は 数年前に 邸宅を修復するための3,200万ポンドのマスタープラン・プロジェクトを完了させたデヴォンシャー公爵夫妻が  庭園の再生にも同様の効果を期待して  ジョセフ・パクストンが作ったロックガーデンをベースに植栽をトム・スチュワート=スミスに依頼 したところからスタート。

 その後の主なプロジェクトには以下のようなもの。


アルカディアは一種のコードネームで、この家にあるプッサンの絵にちなむ。と庭師のスティーブ・ポーター氏  

2018年からGucci が支援している取り組みで、この15エーカーの森林地帯は部分的に伐採され、トムによって集中的に植栽デザイン。庭にはグッチのロゴは1つもなく。私はあってもいいんだけどと思いつつ。

対照的な特徴を持つ4つの小庭をつなぐ散歩道が造られ、屋敷と庭園を見渡す素晴らしい眺望を提供している。

湿地帯の庭、コンサバトリーまで斜めに見渡せるウサギの木陰、

そしてトムの共同作業者である自然主義植物家のジェームス・ヒッチマシュが植えた「草地の木陰」がある。

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メイズ・ボーダーズ  に繋がる景観。トムは、以前はルピナスの庭だった場所を、彼自身のダイナミックなスタイルで反映した宿根草主体の庭に再構成

石柱、刈り込まれたイチイの形、鉄細工のバスケットなどが、この庭に構造を与えて。

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ローズガーデンもリニューアル。

チャッツワースのガラス温室の前にある古い整形式のローズガーデンは、トムによって再構築され、「トスカニー・スーパーブ」や「シャルル・ド・ミルズ」などの古典的なバラを含む、はるかに多種多様な宿根草も植えられている。

木製のあずまやが設置され  トムのインスピレーションは、ソールズベリー侯爵夫人が1980年代からハットフィールド邸とクランボーン邸で追求していた、アンティークなガーデニングを基にしている。


トラウト・ストリームも圧巻。(それを感じるひとにだけかもしれませんが)

2015年のRHSチェルシー・フラワー・ショーで初めて紹介された、ダン・ピアソンデザインの庭のリロケーション。

そう言われなかったらわからない、あまりにも自然の景色。だけど、ここの空気が特別


2022年6月 のガーデンズイラストレイテッドの記事から読み直し。

1度目にしていた記事をもう一度探し出して読み直してみると、発見がいっぱい  行く前にもっと読んでおけばよかった。

昨年は、注目のシェフィールドのグレイトゥーグリーンプロジェクト、ピートさんトムさん、

ナイジェルさん設計の庭のあるトレンサムガーデンも行きましたが、一度で気がすまなかったのは

やはり、ブリッジウォーターとチャッツワース。また、1度や2度ではすまないどころか

一年中、永遠に通い続けたいRHS ウィズレー。ともに、とんでもない進化。

個人でも、行ける方には、ぜひぜひとおすすめしたいです。

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単に有名な庭を見学に行く。花見の旅。と言う事ではないので「ガーデン探し」が、最初からの重要な課題です。

そして、地図上の行程を無駄なく辿る。計画と順路。ストーリーの組み立て。

それらを信用してくださって、多くの方々に、また今は非常に高額な旅行代金でご参加いただくのですから、責任も重大。

怒涛の日々で、お伝えしたい事も溢れているのに、なかなかできず。

個人では訪問の難しいアポイント先もなかなか手こずりましたが、最終的にトム・スチュワート・スミスさんの

サージヒルプロジェクトは最大の旅の山場でもありました。

また、イギリスには約3週間の滞在で、ひとりでレンタカーを借りて旅をするというチャレンジもあったので

毎日が勉強・刺激・不安・感動。大満足・疲労困憊・満腹・不眠の繰り返し。

そして、旅につきものの落とし物(今回は、私は大切なお守りと、買ったばかりのiPodと、子供の入学記念に購入したGucciのネックレスと超愛用のヘアブラシetc)紛失物は注意力が散漫になったときに、いつの間にか失っているありさま、これは身代わり地蔵の厄落としと捉えて、

それから同行の友人がスマホをスリにすられて翌朝一緒に警察へ。

などなどの連続にて、やっぱり旅は大変。そして、67歳になった今は、一番辛いのが時差ボケ。

あまりの時差ボケ頑固ゆえ、毎日こんなに、3時間程度しか眠れなくても、とにかくハイテンションですから。

どこかで度を越しつつ、頑張らなかったら後悔しそうなのですから、限界超えに挑戦でした。.....と、なりながら昨日

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無事、第一回目の 池袋コミュニティ・カレッジにおける『イギリス最先端のウェルビーイングなガーデン事情 

2024ツアー報告』会を開催させていただきました。うまくお聞き取りいただけなかった箇所も多々あったかと思います。

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興味を持ってご参加くださった会場へは約20名さま

オンラインでは約80名様のご参加。ありがとうございました。

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緊張しつつ、あまり自信のない「自分の声」で、どこまでみなさまにお伝えできるのか。

不安でしたが、 お伝えしたいことの大一番は、やはり世界一のガーデニング大国。

現在の英国で何が起きているのか。どういった方向性が今一番正しいやるべきのことなのか。

ご一緒に旅ができた方々には、あまり多くの言葉を使わずとも、今回のお伝えしたい世界観は

ある程度は伝わったのではないかと思います。

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私たちは、今、何に気づくべきか。

そんなことの集大成として、先に挙げているのが、このタイトル「ウェルビーイングを目指す」です。

が、本当のところの意味は、とてもじゃないけれど、一言では語れません。

何度も、もっと適切な言葉について考えましたけれど。 文才の限界というか、自分の語録の限界。

そして、英語で語られている 的確な言葉を、これをまた日本語にするとさらに道が違うように思えて。

それは私の語学力やいろんな能力の限界も影響していますが、話は少しそれますが、今回のツアーは、

ありがたいことに、とてもたくさんの方々の注目をいただき、当初の申し込み開始日には満席になり、

その後もたくさんのキャンセル待ちの方にお待ちいただいた結果、

最後は30名様までお客様のご参加が決まりました。そのみなさまには、きっと、その私のいわんとするところを

実際に感じていただけたのではないかと思います。

最初は30名様おられて、残念ながら最終的には29名様。当初の22名様の枠からお申し込みにつれて

それは果たして、一体どうなるのか?

私も、ツアーコンダクターとして、なかなかの試練でした。その緊張と 自分自身の能力不足の中で、悩む部分も限りなく....

でも、 ありがたいことにご参加された方々の感覚的な、これはひとことでいうと「センス」の良さにて、

あまり多くの言葉を使わずとも、まさに感動を共有できたり、今回のお伝えしたい世界観は

ある程度伝わったのではないかと、手応えがありました。同じものを見て、みんなで感動するのって、本当に嬉しいのです。

それから、8日間ずっとご一緒に過ごした皆さまのすっごくチャーミングな存在感や、その仲間意識に

いつも救われて...。おなじような世界が好きなわたしたちの幸せな時間ってありました。

なかでも

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最終日に訪問したマギーズ  ここで得たもの、これもまた、私の人生に、仕事に大きな影響力がありました。

本部を紹介してくださったマギーズ東京の皆様に感謝。

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先週からずううっと編集していたこれらの講座、見逃しアーカイブ配信の受付が始まりました。

何十何百時間をかけても、まだ編集し足りない、これをさらに磨いて来週は北海道へ。

そして、7月には、中之条ガーデンズへ。9月にも埼玉アリーナで。徐々に進化していく所存です。

https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1013310.html


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


Instagram@keikoyoshiya 

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