お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

どこへ行かれなくても、きっと世界はそこにあるから

吉谷桂子

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コロナ禍の状況、ヨーロッパで感染が拡大していったのは、ニュースなどで見る都度、辛かったです。特にイタリア。誤解を恐れずに書いてしまうと映画「ベニスに死す」のような世界観、いっつも世紀末みたいな。それを何度も映画を観ていたせいか、なんとなく街の気配にある危機的な雰囲気。

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昔は、アルバムを眺めて思い出していました。葉書サイズよりも小さな写真に若干ピントのボケた写真を。

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しかし、今はパソコンのデータで見る。

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大型のスクリーンに旅の記憶が一層ビビッドに広がります。今は行かれないけれども、この世界はちゃんと今日もある。そう思っていつか行ける日を夢見て。

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これは、11年前の。クリスマスを過ごしたヴェネチアの家族旅行のときの。写真は当時話題の現代美術館プンタ・デラドガーナ。安藤忠雄さんの仕事として有名ですが、外観そのものは1682年落成のオリジナルを生かしたリノベーション。内装の写真がないので、内部は撮影禁止だったのだったか、忘れたけれども。まだ小学生だった息子が大喜びしたのはチャップマン・ブラザースの大作品群。夢中になれる作品群に出会えて良かった。

親に付き合わされて現代美術館、退屈してたら、かわいそうだったけれども、なんでも見せておきたいと思ったから安堵しました。

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1982年に初めてヴェネチアを訪れたときはカルナバーレの初日、知らないで到着したので、仮面仮装の人々に驚きました。今ほど観光化していなかったし。

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ペスト感染防止の医者のマスクスタイルもヴェネチアの風物詩だったので、息子が欲しがるままに親馬鹿っぽくもあるけれどもマントと黒い帽子、そしてこのマスクを。

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このスタイルで、このあと東京の地元の街で主催したハロウィーンの仮装で彼は出ていたけれど、なんのこっちゃと周りの反応。またしても外してしまったか。ナイトメアクリスマスが無名の時期(5歳、本人の希望で仮装)、誰からも理解されず泣いて帰ってきた。

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ヴェネチアの空港ーホテルーターミナル駅間は、若い時代は乗合の水上バスで移動できたけれども。家族と荷物多めなので、水上タクシー。これがなかなかに高額で覚悟が要る。でも、これもヴェネチアの入場料みたいなもの。また、専用の船着場のあるホテルじゃないと、これまた歩かなくては行けないので大変。ホテルマンに公共船着場まで運んでもらうとか。いろいろ手配も面倒。でも旅は、それを楽しんで。ああ、いつかまた行けるだろうか。

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その後フィレンツェへ、サンタマリア駅から鉄道で移動。

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これまた美しい街で、とにかくうっとりと街を眺める。フィレンツェへ行くならアルノ川沿で泊まるのが大正解。初めて訪ねた38年前から数えて何度も訪ねいろいろ泊まったけれども。川沿いがベスト。

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景色を眺めるために陣取ったホテルは、ポンテベッキオ脇のデザインホテル。ルンガルノ・コレクションへ。

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お正月でも一応受験勉強中。キッチン付きの宿だったので、近くのデリや八百屋さんで日本では手に入れにくい野菜、ラディッキョや

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イタリア産のアーティチョークはすっごくおいしいです。塩茹でしてポクポクした味わい。ラディッキョは塩とオイルのみで。

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ベランダからの眺めを描いたスケッチ。今もとってありますが、十年も経つと本当に良い思い出となります。

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観光。といえば、まさに自国で見慣れているのとはかなり異なる光を愛でる楽しさ。

でもこの旅の間は、雨も多かった。それだけに晴れた時のこの世のものとも思えない美しさ。やはり冬はお天気が今ひとつ。ずっと憧れていたのは、4〜5月のイタリア行き。プリマベッラの絵のような世界。花咲く景色のイタリア。さぞかし!でも、今までは、春は造園工事が忙しく行けなかった。けれども、3年後?4年後?いつか必ず行きたいと思うのです!映画、ブラザーサン・シスタームーンの世界です。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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