2020.6.27 / ガーデニング(GARDENING)草花(FLOWER & PLANTS)
21世紀になって、もう20年です。これまでの園芸と違ったスタイル、認識も新たに捉え直して
みると、またまた、いま面白いです。多様性という点でも、選択肢がたくさんあるからです。
写真は先週の中之条ガーデンズのパレットガーデン。私なりのナチュラリスティックの考え方で
デザインをしています。
特にこの庭は、21世記を起点に未来の庭のあり方を目指して、少しづつ進化を考えている庭です。
この中之条ガーデンズ内には見事なバラ園があるので、こちらパレットガーデンは、その対照形に
なるイメージでバラは植わっていません。
また、今後、病害虫の被害が目立つ品種は諦めていくつもりです。
一時的な華やかさは目指してはいません。むしろ、長い期間のプロセス、どれくらい楽しめるか。
しかしそれも、見る側の審美眼にも頼る傾向もあり。パレットでもこれらオーナメンタルグラス、
実際に美しく育つかどうか、実は地域環境への影響も様子を見ながら少しづつ。
このパレットガーデンを一挙に完成させようとは思っていません。毎年様子を見ながら...。
自然本来の植物の生態を観察しながら.......、もちろん、まだ、まだ研究観察中です。しかし、
華やかさというより、雰囲気の面白い植物に興味を持ってくださる方も、今増えています。
嬉しいです。
こちらは、昨日の北海道、銀河庭園。まだバラは満開ではありません。
今年、植栽計画の見直しさせていただき、リニューアルしたローズガーデンです。こちらも
十数年来のバラの無農薬栽培、バラにおけるオーガニック栽培を試行しており、ノウハウも安定してきて
これからの2〜3週間はもっとも輝きが増す予定です。(大雨は怖いですが)
この庭の見た目は、20世紀初頭に確立した伝統的なイングリッシュ・ガーデンの
雰囲気を持っていますが、実は、その中身はトラッドとモダンをミックスしています。
要するにクラシックなバラも植わっていますが、強健な現代種も混植し、病害に強い宿根草も取り入れて。
手を入れることで、庭が美しく輝くのは、実は、トラッド型もモダン型も同じだと思います。
↑はトラッドですが、銀河のブラック&ホワイトの花の庭。こちらの見頃は晩夏以降です。
↑イギリスのシシングハースト。百年前と比べて違うのは、気候が変動して以前よりも、
イギリスの気候も温暖化。それこそ、四半世紀前と比べたら、バラの庭が減っているように
見受けます。現代、オーガニックでバラを育てるには、まず、強健な品種選びが基本ですが、
それなりに手はかかっています。
なので、去年、イングリッシュガーデンツアーで訪ねたシシングハーストでも、
21世紀の新たなヴィジョンの庭が登場しようとしていました。
銀河庭園のバニー・ギネスさんのデザインには、まさに独自のファンタジーがあり、
構造物も独創的な美しさ。そこに植栽のアイデアで、変化を。↑6月↓10月
マルチ・レイアー植栽をしています。季節で咲く花が変わる。いつがベストか、ではなく
それぞれが面白いと捉えていただけたら良いけれども、ダリアの花のピークは10月ですねえ。
ちなみに昨日↓アリウムがピークでした。ドラゴンの顔が好きです。
こちらは、北海道ならではの、植えっぱなしで毎年出てくるアリウム(ここではグローブマスターなど)が彩りを。秋には、ダリア、ダリアだけは、晩秋に掘り上げ、春にまた植える。ハイメンテナンスで華やかな花です。↑6月クラシックな方法で栽培しています。↓10月
他は、季節になると植えっぱなしで毎年咲く、宿根草や球根が活躍。
自然の力を借りた芸術ではないかと思います。そして、来週はもう違う状態になっている
このアリウム・オブリクムは、日本初挑戦でした。去年オランダから取り寄せて
温暖な浜松ではうまく育ちませんでしたが、酷寒の冬を迎える北海道ではうまく行きました!
こうした栽培面のテクニックや気候との相性に、デザインを組み込むのは、本当に難しいですが...。
去年ツアーで訪問した個人の庭。バリーコート Burry Court 。20年ほど前にPiet Oudolf が
デザイン。それを継承し、これまでオーナーのセンスで美しく絵画的でした。
去年でクローズすると伺いとても悲しかったけれど、去年は本当にここを訪問できてよかった。
芸術性の高い庭でした。 去年のガーデンツーの回顧録にも、
「結論としては、時代を超えて、素晴らしいものは残るし、古臭くもならない。しかし、その裏には耐えまざる努力があって、その部分に感動する。あって当たり前ではない。美しい庭。是非、今の内に見ていただきたいと思います。」と、書いていましたが、もう2度と見ることのできない庭も数えきれないほど、あります。
ある意味、どんな庭も、来週には違う状況にあるはずだし。
今年オープンの Newt in Somerset のなかにあるガーデン・ヒストリー・ミュージアムは
その私のお伝えしたい世界観、庭のダイバーシティやモダニズムのあり方をよく表していました。
(本当は今年の9月にツアーを組んでいてチケットも20人分確保していたのですが)
そこで、オランダのミッドセンチュリー、ミーン・ルイスに繋がるピート・アウドルフ。
もっともっと広い視野で庭や園芸を捉えてみよう!ということになります。
庭のこうした歴史や世界観に、美学だけでなく、栽培経験、植物といういきものへの愛情などなど。
さまざまな要素が必要なのは明らか。
世界の情報がネットを通じて取り入れやすくなっている現代だからこそ、広い視野で
自分の庭の方法を洗練させたり、昇華させたり。それは、無限に可能性があるのだなあと思う次第です。
明日6月28日(日)NHKEテレ 8時30分~ 見逃した方は再放送あり!
趣味の園芸「まちをニワに 第10回 街の中に"四季を入れる"」
出演は、三上真史さんと、吉谷桂子。吉谷、趣味の園芸に十数年ぶりです。
今回は、今世界で注目されている「ナチュラリステックガーデン」。
その魅力を、東京青山、そして中之条ガーデンズ(群馬県)からお送りします。
(再放送30日(火)午前10時25分~ 2日(木)午後0時30分~)
ぜひご覧ください。
https://www.nhk.jp/p/syumi-engei/ts/WJ9WG8YL24/
の放送の内容は、どうしても1時間の講座でも語りきれないナチュラリスティックとアートのこと。お伝えできるのは、ほんの一部でただしくお伝えするのは難しいのですが、ほんの少しでお伝えできたらと、願っております。
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