2019.10. 3 / ガーデニング(GARDENING)草花(FLOWER & PLANTS)
刊行されて間もない「ナチュラリスティック・プランティング・デザイン」
ナチュラリスティック・プランティング・デザインに関する書物です。
もう、この関係の本はここ数年でたっくさんでていますが
まだ最後まで、まったく、読み進められていないのですが。理解というのは時と共にさらに深まるのでそれが嬉しいです。
この本の著者、ナイジェル・ダネットは、シェフィールド大学の植栽デザインと都市
園芸の教授であり、イギリスにおける
造園への革新的なアプローチをした、イギリスにおけるナチュラリスティックガーデンの先駆者です。
ロンドン・オリンピック開催の際は、彼の設計によるスタジアム周辺の植栽が注目を浴びました。
植物における多機能的な植生の使い方を開拓し、それが現在の元オリンピック会場周辺のすてきな雰囲気を作り出していて、
このときの華やかなさではないけれども、私は大好きです。
さて、この感じを日本でも、できないものか。私もそれを試みつつ、はや。10年以上が経とうとしていますが、
以下の写真は私が設計している庭の写真です。
問題は、出会う環境ごとに、北海道、福島、群馬、東京、神奈川、静岡と、日本って小さな島なのにドラマチックに気候や
植栽環境がまったく異なるので、
思い通りの植栽など....。
なかなか芸術的なセンスだけでは、太刀打ちできません。....なので少しでも手がかりをと
思い本を手に取るのです。ネットでも調べます。
でも、実際にその場所に立つのが一番!できれば、ガーデナーに話を聞くのが一番。
本の内容。ご本人自身の幼少期からの自然との関わりから、スタートしますが、庭の美しさ。
その庭を「美しいと思うかどう」は、鑑賞者の感性に委ねるところがあり、
私自身も長年、自分ではこれで良いと思った景色が「なんだか雑草?」と言われる状況を20年以上も続けていますので、
イギリスやオランダの例は羨ましく感じる次第です。写真は以前にも登場していますが、安曇野に作った6月の庭で
「雑草?」とつぶやかれた景色。
今年、銀河庭園に登場した景色。もともと、ここはイギリスのバニー・ギネスさんがデザインしたメドウガーデンですが
今年はこのなかに八十箇所の土壌改良ゾーンを作って、赤いポピーなどを入れ新たなフィールドを。
個人的にこんな感じが大好きなのでした。
こちらは、今年完成した浜松市天童浜名湖鉄道二俣駅のレイルフィールド。
宿根草のいわば、日本のニューペレニアル・ガーデンです。
こちらは、群馬県中之条ガーデンズのスパイラルガーデン。
しかし、これらの景色のピークは、初夏の1ヶ月前後です。
今後の景色はどうかなと。
中之条ガーデンズは、来年以降の新たな新進気鋭のヘッドガーデナー、優秀な人が参画してくれる予定があるので
期待しています。
最後の写真はピート・アウドルフさんの設計したハウザー&ワース。今年、6月に訪ねましたが
半年後の12月にまた行く予定です。
ナイジェル・ダネットさんの本のイントロダクションを
ピート・アウドルフさんが書いています。あまりうまく翻訳できないのですが、印象的だったことを
私なりの解釈に直してみました。
素晴らしい感情を引き起こす自然主義的な植栽に関して、私たちの見解や展望がどれほど似ているかを実感している。
自然の感触はあるが詳細に裏打ちされた美しい庭園や風景の作り方に感銘を受けた。
自然主義的な植栽デザインの世界は、 無限の可能性と無限の喜びの源泉です。
常に進化し、可能な境界を広げ、以前の出来事の基盤に刺激的な新しい概念を構築しようと常に進化している分野です。
間違いなくこの本は自然主義的なデザインがさらに進化するための踏み台を提供し、まったく新しい世代のデザイナーと庭師
が植栽への環境に配慮したアプローチで、働く際に新しい新鮮な考えを受け入れるように奨励するものだ。
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強く共感するし同感なのですが、なかなかほかに同感してくださるクライアントさん、観客もレアなので、日本のガーデンデザイナーは、やはり今しばらく悩みつつ進むことになるのでしょうか。いや、私はこれも少しづつ、何年か遅れながらも独自の日本の環境にあった方法で、新たな庭の価値観が生まれると信じて。私の年齢だと、次の若い世代に繋いで行きたいと強く思うようになりました。
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