2020.2.17 / 花の名所、花のイベント
2月も中盤に差し掛かり、春の訪れがあちこちで感じられるようになってきました。
我が家のバラ庭も、すっかり作業は終わっていて、当面何もすることがなく暇を持て余すこの時期、
早春の風情を味わいに、出かけてみたくなる季節ですね。
今回は、僕の住む関西、奈良からも車で1時間ほどの場所にある、京都市南部の『城南宮』をご案内したいと
思います。
最近のSNSブームの中で、この季節になると、ここ城南宮の梅園の写真がたくさん回ってきます。
家から近い場所にこんな素晴らしい風景が見れる場所があったのか、と
是非、ウメの最盛期に訪れてみたいと思っていました。
そして、念願叶って、昨年2019年3月、城南宮を訪れることができました。
城南宮は、京都市伏見区にある神社で、城(平安京)の南にあることから「城南宮」と呼ばれているそうです。
日々の暮らしの中で知らずに良くない方向に行ってしまったり、家相の心配がないように祈願することを「方除」と
言うそうで、城南宮は「方除の大社」として、建物の工事や引越、また通勤・通学・営業・旅行などの
方除の祈願に、全国から多くの方がお参りされています。
実は、20数年前、我が家を新築した際のご祈祷で、家族で一度、訪れたことがありましたが、
それ以来、ずっとご無沙汰でした(汗)。
開園時間が9時ということで、余裕をもって1時間以上前に自宅を出て、京都に向かって車を走らせました。
到着すると、既に駐車場はほぼ満車。
何とか駐車できて、境内に中に入ると、満開のしだれ梅が出迎えてくれました。
チケットを購入して、早速、「神苑」へと向かいました。
梅林へと向かう道中には、椿の花が咲いていました。
この時期、椿も見頃を迎えています。
こんな赤と白の絞りの椿も咲いていました。
同じような花がバラにもありますね。
ゆっくり椿も鑑賞したかったのですが、まずは混む前に梅園の写真を撮ってしまいたい、と
はやる気持ちを抑えながら、小走りに梅園へと向かいました。
こちらが、「神苑」の梅園を入ってすぐのところ。
手前に小川が流れ、その奥の丘の上に、ピンクや白のウメの木が何本も植えられています。
想像していたより、若い木が多いように思いました。
梅園というと、古木のウメのイメージが強かったのですが、
この城南宮の梅園は、ひょろひょろっとしたウメの木がほとんどです。
視線を左に振っていくと、「春の山」と呼ばれる、なだらかな起伏の丘の上にウメが満開です。
この日は3月3日、訪れたタイミングとしては、ほぼベストだったのではないかと思います。
一見すると、この絶景を独り占めしているように見えますが、実は・・・・・。
ほぼ開園時間と同時に入場したのに、園内の坂道には既に長い行列ができています。
人がいない、静かな風景を撮影したいと思って早くに出かけてきたのに、
考えることは皆一緒ですね・・・(汗)。
こんなにたくさんの人手では、インスタで流れてくるような美しい写真が、果たして撮れるのだろうか・・・。
半ばあきらめ気味に、行列のあとを歩いていきます。
「春の山」をぐるっと半周すると、見えてきた景色がこちら。
突然、カメラのファインダーの中から人が消えました。
「春の山」の周囲を巡る小径が緩やかに下っていき、先ほど見ていた場所は、
この丘の稜線の陰に隠れて見えなくなっているのです。
なかなか良く考えられたランドスケープデザインです。
もちろん、この写真を撮っている両側にはたくさんの人がいるのですが・・・。
そして、城南宮の梅園の一番の撮影ポイントがこちら。
手前に、赤い椿の花がポロリと落ちて、苔むした地面の向こうに、鮮やかなピンクのウメが
カーテンのように広がっている景色です。
このポイントには、高性能の一眼レフカメラに、どでかい望遠レンズをつけたアマチュアカメラマンが
何人も陣取って、この美しい風景を写真に収めていました。
カメラマンは腰を低く据えて、ウメの奥に行列する人が映り込まないよう、アングルを決めて
何枚もシャッターを切っています。
この僕も、ごたぶんに漏れず、持ってきた一眼レフカメラで、何枚もシャッターを切りました。
この写真は、建築やインテリア空間を撮影する用の10mmの超広角レンズを使っていまして、
竣工写真のように、パンフォーカスといって、隅々までピントが合うようにして撮影しています。
とは言っても、ごった返す現場では三脚も立てれないので、
手持ち撮影のため、手ブレが発生したり、何ともお恥ずかしい限りなのですが・・・。
いくつか撮影方法を変えて試してみました。
広角レンズのまま、F値と呼ばれる被写界深度を浅くして、奥の方が少しボケるように撮ってみました。
この写真の他にも、ピントをウメに合わせるのか、落ちた椿に合わせるのか、
いくつか試してみましたが、なかなか難しいですね。
こちらは、広角レンズをマクロレンズに付け替えて、その一番の望遠側で撮影したものです。
手前の落ちた赤い椿(センターあたり)にピントを合わせて、被写界深度を浅くして(ボケを大きくして)
撮影してみました。
遠くのウメの花はボケて、淡いピンクのモヤが掛かったみたいに見えていて、印象的な写真になりました。
ただ、この日は大きな望遠レンズを持ってこなかったので、こんな中途半端な感じしか撮れませんでしたが、
周りにいる猛者たちは、400mmはあろうかという望遠レンズをつけて、より印象的な写真を撮ろうと
頑張っておられました。
何度も通わないと、なかなか良い写真は撮れないかもしれませんね(笑)。
マクロレンズを使って、背景をぼかし気味に撮影した一枚です。
苔の上に散ったウメの花びらがピンクのカーペットのように見えて
とても美しいです。
縦位置でも何枚か撮影してみました。
奥のウメ、手前のウメの花と、どこにピントを合わせて、
どのように切り取るか、普段、あまりウメの写真を撮ったことがなかったので、
なかなか良い写真が撮れませんね。
風景の写真をひととおり撮り終えたので、もう一度最初の場所に戻って、
レンズをマクロレンズに限って再チャレンジしてみました。
枝垂れて咲くピンクのウメの感じが伝わるでしょうか?
更に、その中の一本の枝にフォーカスして撮影してみました。
横位置で、咲く花のクローズアップで撮った写真です。
マクロレンズで、パンフォーカスするとこんな感じ。
ピンクと白のウメだけかと思っていましたが、一部、紅梅も混じっていました。
なかなか納得できる写真が撮れませんでしたが、キリがないのと、次第に観光客も増えてきて
身動きができなくなるほどになってきたので、梅園から出て、次の庭へと向かうことにしました。
城南宮には、いくつもの趣向を凝らした庭が作られていて、梅園からつながる次の庭は、
「平安の庭」と呼ばれる、平安時代の貴族の館にあった庭を再現した庭です。
「曲水の宴遣水」とプレート(看板)が出ていました。
ここ「平安の庭」では、4月下旬に「曲水の宴遣水」という行事が行われます。
城南宮のホームページによると、
「狩衣(かりぎぬ)や小袿(こうちき)といった平安貴族の装束を身につけた男女の歌人が、
小川の辺(ほとり)に座ると、川上から童子が、鴛鴦(おしどり)の姿をかたどった「羽觴」(うしょう)の背に
朱塗りの盃をのせて流します。
歌人は歌を作り短冊にしたため終えて、流れ来る「羽觴」をとりあげ、盃の御神酒をいただきます。
宴の間には静々と白拍子の舞が披露され、一層興趣を添えます。」とあります。
そんな平安時代の貴族の余興を楽しむ庭なのです。
苔むした荒々しい岩の横にツワブキが植えられていました。
何とも風情のある庭です。
「平安の庭」を抜けて、道を挟んだ反対側に、
「室町の庭」、「桃山の庭」と名付けられたエリアが広がっています。
最初に出迎えてくれるのが、こちらの錦鯉が泳ぐ豪華な池。
池の水も澄んでいて、とても美しい風景です。
雅な平安貴族の庭から、豪華絢爛な桃山時代の豪快な武家の庭へと
時代を経て庭が変化していく様を感じることができます。
池の畔には、楽水軒という茶室(写真左端)が作られています。
室町から桃山時代へ、武家の時代には、千利休をはじめとした茶人の庭も盛んにつくられた時代でもあるのです。
茶室の横には、美しい五葉松も植えられ、美しい風景となっています。
松の木の下、茶室の入り口前には、石の手水鉢が置かれていました。
黄金色の見事な石でつくられています。
この「室町の庭・桃山の庭」で最も素晴らしかったのが、こちらの松の木。
龍がうねるように、枝を伸ばしています。
株元から大きく池の方に傾いて、そこから四方に枝を広げています。
アカマツだと思いますが、素晴らしく美しい木肌です。
茶室の楽水軒の前には、紅白のウメが満開です。
向こうに見えているのが、城南宮の境内の中に建つ唐渡天満宮(芹川神社)。
檜皮葺の屋根と、紅白のウメの花の対比がとても美しい風景を作っています。
どこを切り取っても本当に絵になります。
早春の「城南宮」、如何でしたでしょうか?
京都は春の桜のシーズン、秋の紅葉シーズンと、多くの人で混雑しますが、
桜のシーズンより少し早い梅時期も、おススメです。
中でも、この城南宮の梅園は、一見の価値ありです。
この時期、京都へお出かけの際には、城南宮へも足を伸ばされてはいかがでしょうか?
【城南宮・しだれ梅と椿まつり】
期間:令和2年2月18日~3月22日
時間:午前9時~午後4時30分(受付は午後4時まで)
拝観料:大人600円、少・中学生400円
住所:京都市伏見区中島鳥羽離宮町7番地
※ 詳しくは、城南宮のホームページ↓をご覧ください。
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