2016.11. 2 / お庭づくりの工夫
秋も深まり、庭の蔦にも鮮やかな赤い色が乗りました。
秋から冬にかけては、それまで青々としていた緑もだんだんと黄みがかり、
気づけば葉をすっかり落として冬じたくをしている木々も。
自然の摂理にかなった彼らの生命活動には、神秘的なものを感じます。
一方で、わたしたちが趣味や生活の一部として取り組む「ガーデニング」は、
一般的に「こまめなお世話」「こつこつした作業」というイメージが持たれている印象があります。
もちろん、お世話なくしてお庭やベランダをきれいに保つことはできませんし、
こつこつと地味な作業ももれなくついてくるガーデニングだけに、それは半分は正解だと言えます。
でも、手間や時間、ひいてはお金をかけてガーデニングを「目的」にすることよりも、
ガーデニングを、自分自身がゆとりを持つための「手段」として考えてみてはどうでしょうか。
手段とあらば、遠回りするも近道をするも、そのときの自分のコンディションにあったガーデングがあるはずです。
手間ひまかけてお世話したものは愛おしいですが、どれだけ頑張っても枯れるときだってあります。
良かれと思って日光浴をさせていたら、ある日突然雪が降るなんて、誰が予想したでしょうか。
見えない土の中で起こっている害虫による惨劇に、誰が気づくでしょうか。
だからこそ、気軽に付き合える、秋冬のお花たちはとても貴重な存在です。
今日は、秋から春まで長く付き合える手間のかからないお花たちを、お花の特徴とともにご紹介します。
「手間いらず」の一年草 代表選手 クリサンセマム・ノースポール
10月の終わり頃から店頭にならびはじめる耐寒性一年草です。
次から次へと休みなく、マーガレットのような可憐な花が咲きつづけます。
寒さに強いので我が家の庭では花壇に植えて屋外越冬もお手の物。
種からでも簡単に育てられます。他の植物ではうまくいかなかった場所でも育ってくれた、丈夫な一年草です。
草丈は20~30センチほど。白い花は、他の花やリーフ・グラス類との相性もよく、秋の花壇にイチオシの一年草です。
種がこぼれて、気づいたらこんなところにちんまりと咲いていることも珍しくない、繁殖力の強いお花です。
同じく丈夫なキク科「花かんざし」
こちらも同じく、冬になるとお店でよく見かける耐寒性の多年草です。
本来ならば毎年咲く植物なのですが、日本では気温がぐっとあがる夏を越すことが難しいため、
「一年草扱い」の多年草として流通しています。
優しくシックな花色が好きで黄色系のお花はちょっと敬遠してしまうという方には、ぜひ一度出迎えてみてほしいお花です。
花かんざしの黄色は、花びらの印象もあいまって、冬の暗くなりがちなお庭を、やさしい明るさで調光してくれます。
摘んだそばからドライフラワーのような質感で、雑貨との相性も抜群です。
花壇でも、鉢でも。絶対欠かせない存在「クリスマスローズ」
地植えにしている我が家の庭では、2月頃から開花しはじめます。
交配によってうまれたさまざまな色やカタチのクリスマスローズは種類は豊富で、
数百円で買えるお手軽なものから、1株数十万円する株まであり、幅広く流通しています。
気に入った株が少しお値段が張るようなものだったとしても、開花期間がとても長く、
さらに何年も楽しむことができる点ではとてもコストパフォーマンスにすぐれた常緑低木です。
白のクリスマスローズは、咲かせっぱなしにしておくと、次第にグリーンへと変化していきます。
この冬は、お気に入りのクリスマスローズを探してみませんか?
選ぶだけでも楽しい!秋冬はやっぱりパンジーとビオラ
10月末頃から本格的に流通しはじめ、初夏まで咲き続ける優秀な一年草「パンジー」と「ビオラ」。
交配が盛んで花の色やカタチの種類は驚くほど多く、広い売り場に行くと目移りしてしまうほどさまざまな品種が販売されています。
秋にたった1株植えたビオラも、春先にはこの通り、気づけば満開に。
手間をかけずともたくさん咲いてくれますが、花数を増やしたいならこまめな花がら摘み(咲き終えた花を取ること)がおすすめです。
日当たりの良いところが大好きなパンジーとビオラ。そして特筆すべきはとにかく寒さに強いこと。
たとえ雪が積もっても、生きています。
その丈夫さと強さから、「満開の喜び」をもっとも簡単に味わえる秋冬の一年草だと思います。
雪が降っても、ちょっとお水やりを忘れてしまっても、
もし丈夫で手間いらずな植物たちならきっと乗り越えてくれるはずです。
お金を出せば、どんなお花でも簡単に買うことはできます。
でも、ゆるくガーデニングを楽しみたいなら、ぜひ「手間いらず」なお花を積極的に出迎えて、
きれいに咲いた暁に、お花とうまく付き合っているゆとりある自分を褒めてあげませんか?
趣味と気負わずとも、お花の力を借りて毎日に元気がプラスされるなら、
それが本来あるべき人と自然との向き合い方です。
「手間のかからないお花はどれですか?」
お花のことがよくわからないときは、お店でのその一言が、ガーデニングを楽しくする鍵になるかもしれません。
11月~12月にかけては、お店に秋冬の花苗がずらりと並ぶ秋冬のハイシーズンです。
楽しく、気軽に楽しめるお花を探しに、ぜひ出かけてみてくださいね。
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