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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

スー・スチュワート=スミスさんの本 と バイオフィリア

吉谷桂子

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ベストセラーとなった、スー・スチュワート=スミス著、

The Well Gardened Mind 、邦題「庭仕事の真髄」

原題名の意味 うまく言えないのですが 「手入れされた庭のマインド」ガーデナーにはわかると思う

やはり、タイトルからして、お手軽にスーっ(ダジャレではありません😅)と..。

は、気持ちのところに入りにくい気のする本ではあります。翻訳が難しいせいもあるのかも。

著名な精神科医であり熱心なガーデナーでもある著者

精神科医の視線と、世界一素晴らしい(それは吉谷の勝手説)ガーデン・デザイナーを夫に持つ、

そうした庭への洗練された情熱で描かれたwellbeing +gardening を実証する本

パンデミック中にイギリスにおけるベストセラーとなっていました。

UKスタイリスト誌の評は「ガーデニングの力、そしてガーデニングがいかに人々の人生を変えることができるかについて、

真に元気を与えてくれる本」と紹介 

ただし、なんどもいうけれど、翻訳は 彼女の言葉をまっすぐに日本にしてみると。読みにくい

たとえば、評論も....評論には まさしく正しい 直訳すると

「庭はしばしば避難所とみなされ、外の "現実 "の生活から切り離され、世俗的な悩みを忘れる場所とされる。

大地に手を入れるとき、私たちは破壊と腐敗に続いて再生と再生が起こる自然の生命のサイクルとつながる。

ガーデニングは、生命を育む活動の真髄のひとつであるにもかかわらず、私たちはそれについてほとんど理解していない。

The Well-Gardened Mind』は、人々の人生を変えるガーデニングの力について、新たな視点を提供する。

スー・スチュアート=スミスは、心と庭が相互作用するさまざまな方法を調査し、

庭の手入れをすることが、いかに内なる自己を維持する方法となりうるかを探求している」

最後の一行は響きます。まさに、そうです。自分の感性へのトランスレートとなると、簡単じゃなかったかもしれない。

なので、もう少し自分なりの感覚に言葉を組み立て直したいとずっと思っています。

You-Tube のスーの対談でも耳にした

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バイオフィリア Biophilia とは、生命や生き物、自然を表す「 BIO バイオ」と、

愛好や趣味を意味する「Filia フィリア」を組み合わせた造語だそうです。その意味は

「人は本能的に自然とのつながりをもとめている」.....私、それ!!!!強くある。感じてる。

1984年に提唱された概念だというところで...、ふと想い出したことがあります。

この概念が生まれた....今から40年前、私は20代の後半で、元気で、仕事もノリノリでした。

時はバブル絶好調。面白い仕事が矢継ぎ早にやってくる状態で楽しいばかりに見えますが

そうでもなかった。実は、鬱っぽい傾向を抱えていて。

当時、1980年代の中頃の東京青山にあったデザイン事務所と豊島区の実家が行動半径で、

自然やガーデンには、縁のない生活。仕事は忙しくいつもストレッシブ、「何が新しいか!」「ウケルか!」

消耗されるのが当時のデザイナーの仕事だと思っていたし。

で、仕事のついででよく会っていた友人が「手相見」という副業をしていた。

(その時の彼女の本業は、有名ミュージシャンのマネージャー。その後はプロに転向し女性誌の人気占い師に...)

当時私はそのミュージシャンのレコードジャケットのデザインをデザイン中で、

打ち合わせが終わると茶飲み友達、仕事以外の話で悩み事、彼女には迷惑だったかもですが

いつものことで、相談事をもちかけては、ありがたい答えをもらっていたのですが、

私の手相を観ながら彼女が言った言葉が、今も忘れられません。

「Kは、アスファルトやコンクリートだらけのところは本来苦手なはずだよ。

そこらの街路樹でも公園でもなんでも緑のあるところに行って、

手のひらをアースするといいよ。楽になるはずだから」

いわれた途端、そうだな!とは、思ったけれど、

そんなに簡単に感じの良い自然がそばにあったわけではなく、

その数年後、イギリスに移住して初めて、彼女の言葉を本質的に思い出し感じた次第。

そこから今の私が、ずっとガーデニングから離れなかったのは、

バイオフィリアの実感が常にガーデニングにあったからだと思う。今もそう、暑いから長時間はいないけど

ハサミを持って庭にでるのは、剪定のためじゃない。

昔は考えたこともなかった、それもひとつのセラピー。思えば1980年代、日本には、アロマセラピーはまだなかったように思います。

1991ごろに 渡英して初めてイギリスで知った言葉。

今思うと、それもバイオフィリア。精油の素晴らしい香り、植物の香りで癒される。

当時1980年代はまだ香りというと、香水やせいぜいお香。それもインド系??

もちろん多くの香りが自然から抽出されたものではあるけれども。

ヒノキの香りは素晴らしいねえ。なんて、言ってたけど、それも、きっとバイオフィリアの感覚。

スーさんの言葉を借りると、「脳の感情中枢が活性化されて...」さわやかな気分になれたりとか。

フラワー・レメディとか。....芝生の地面でゴロゴロするのは気持ちいい。とか。

イギリスの自然派トイレタリーのブランドからDr BACH とかだけでなく、

薬屋さんにもいろいろあった。「すみれの液体」とか「カモミール水」とか。

Czech & Speake イランイランなどがベースになった、少し高級なお香も。

...でも、当時は自覚なく、なんだろこれ。.....って なんか良いな。という程度の

1982年〜以降何度か、イギリスへ行く都度、そうした製品を見つけて、

パッケージが良いと思って買って仕事部屋に飾ってあった。そして、イギリスの公園の緑は

すばらしい!なんて、日本ではあまり。だったのに、イギリスの自然に魅入られた。

あれ、今思うと。あれもこれも。

....思い出話はこれくらいにして、なにが、いいたかったかというと、

「それを 言葉にして 脳が理解した途端、体への効果がある」じゃないかな?

感覚だけでも良いのかもしれないけれど、そうだとわかって、行動すると、もっと効果的にヒーリング。

できるのじゃないか。

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そこで、話が戻りますが、スー・スチュワート=スミス著、

イギリスでは大ベストセラーになったという。コロナウイルスのパンデミック中だったから余計に。

本の中の言葉に、共感した人が多かった。

日本では、ガーデナー仲間に、積み読者が多いのは同じ共感軸にたどり着く前に、他人事になってしまう場面、少なくない。住んでる世界が違う的な。だからかもしれない。

私も最初そんな感じだった。

でも、すくなくとも、イギリスで、トム・スチュワート=スミス氏のガーデンを何ヶ所も訪ねて、

ご自宅だけでなく、ブリッジウォーターから、ホレイショズ・ガーデン、シティの真ん中の 

ザ・オーバル。あのガーデンの本物を見た、体験できた人は、体感的にも、本に描かれている言葉への共感に、

心の琴線に、近づけたかなと思うのでした。

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トム氏のデザインはもともとの土地が持っている生態学的遺産や特性を活かしながら、
独自で洗練された植生を構成している。
環境に負担をかけずに、見る私たちに視覚的な喜びを与え、健康的な自然を感じさせながらも、
デザインとしての新しさ、モダニズムが完全に調和して、
とにかく、気持ちがいい!!!語弊を承知で、わかりやすくいえば、
この逆のこととして、すさんだローズ・ガーデンを見るのは辛かった。イギリスには
農薬を使用を控えるようになったことと、労働力の減少で、荒れたバラの庭が増えていたから。
だから、 スーさんのご自宅のガーデンで 本にもでていた「バラが1本も終わっていないローズガーデン」に
スーさんが登場したのは、私にとっての「言葉が腑に落ちる」瞬間でもありました。
英語版の The Well Gardened Mind オディブルでは、実際に、スーさんの朗読です。音だけでも
視聴版で聞いてみては?


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


Instagram@keikoyoshiya 

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