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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

TPGA おすすめ宿根草 シュウメイギク アネモネ`パミナ`ほか

吉谷桂子

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四半世紀前からずっと変わらず、私が特別な思いで、信頼と友情を寄せる宿根草があるとすれば、

それはシュウメイギクです。

ジャパニーズ・アネモネAnemone hupehensis var. japonica

中国原産 耐寒性のある長生の宿根草 葉張り40センチ〜高さ80センチ程度だが

品種により1mを超えるタイプもあり。それは倒れ安い傾向もある

湿り気のある土。午前中はずっと日当たりの良い午後は、半日陰の場所でHAPPY

遠い昔の....最初の出会いは、アネモネ`ハドスペンアヴァンダンス`でした。

気候変動の影響もあり、25年前とは英国の気候も変わって今は若干状況が違うのですが、

あの頃はもう8月後半になると日差しも少なくなり、曇りがちの暗い日々も続いて、

家では ボイラーをスイッチオン。セントラルヒーティングを入れていました。 今では考えられないことです。

8月以降はイングリッシュガーデンで目立った花が咲くと言うこともありませんでした。クリサンセマム。キクの仲間も今ほどたくさんのバラエティーはなかったように思います。そして光合成が少ないので、それほどたくさんの花が咲くと言う感じでも。

そんな時に華やかさを引き出してくれる宿根草として、アネモネ・フペンシス系の品種改良が進み このシュウメイギク、別名 Japanese anemone の園芸品手が登場しました。

土が湿っているような落葉樹の下などでも群生しました。

特にハドスペンガーデンの故ノリ・ポープ作出。このハドスペンアヴァンダンスが(一番上と次下の写真が駐車場横のアヴァンダンス)

夏の終わりから華やかに咲くので 大変な注目が集まりました。

私としてはイギリスから帰国後、自分にとっても最も思い入れの強いハドスペンガーデンで作出された品種

しかも、 日本の気候でもきっとうまくいくはずのハビタを持っているはずでしたから、

かなり強い思いを持って、また日本で売ってるのを見つけた時は何株も買い求めました。

そこで、最初の写真は18年ほど前に 家を建てて念願の庭ができたときに、このハドスペン・アヴァンダンスを

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自宅駐車場エリアの脇に植えたのでした。西日が厳しい場所(写真は葉が焼けてあまり綺麗ではありませんが、現実的な写真です)

株元はシュスランなどの丈夫な常緑の宿根草で

守るように植えました。また強い西日からは、わりに駐車中していることが多い車が遮ってくれてました、

それでこうして18年の間、ずっと少しづつランナーで増えながら毎年10月になると咲くようになったのでした。

タネでも環境にあえば増えますが、ここでは株が増えているようです。毎年咲くと嬉しいです。

ちなみに、26、7年前に故ノリ・ポープ。ノリさんにベアルートでいただいた

ホスタ`チェルシーオドル`も毎年初夏に咲いています。

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こちらは代々木公園の今年の様子。

2023年は命の危険を感じるほどの人生で最も暑い夏でしたね。

東京の環境だけではなかったと思いますが、想像していた以上にきびしかったです。

国連グテーレス事務総長が「地球沸騰化」を発言したときは、まさにそれを現実と受け止めましたが

やはり現実は厳しかった。代々木でも、多くの植物に病害虫の被害がでました。当初から

持続可能な庭と植物の可能性を本気で探っていましたが。少し枯れ死にました(涙)

やはり、人も、植物達もこんな酷暑は彼らのDNA史上初めてだったはずなのです。

もちろん、私たちは予め長雨や干ばつにも植物が耐えられるよう地面に高低差を設け、

通気を好む植物には高いエリア、湿潤を好む植物には低いエリアなど考えて

土中環境も微生物を豊かにする工夫やそれぞれの環境に合う植物を選びましたが、

現実は想像以上に厳しかったです。

夏は予想外に雨が降らず植物達が弱った所で大雨。干ばつはシュウメイギクにはきつかったと思います。

選び抜いた植物も一部が病害虫に屈する事態に...

しかし代々木の作庭から1年、大部分は生き抜いて無農薬で生物多様性を維持しながら

11月には美しく咲く花にも出会った、その11月の花がこのパミナです。

西陽の裏に植っていることが↑の写真でわかりますよね。うしろはミューレンベルギア カピラリス

もちろん、この一年の経験と学びだけで作庭の経験上、十分とはいえませんが、

人と植物、自然と協調する庭の未来への希望が持てたのも事実で。

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今後の気候変動への不安は拭えませんが、エコロジーと強くて美しい植物の存在を知ることで、人の心を癒し豊かにする庭の可能性は広がる。

要はそれを「発見」し「行動」すること。そんなガーデンの未来に大きな期待の持てた1年でしたが、

この写真を見ていただいて お分かりのように、このパミナは西日の当たるエリアの反対側に植っています。

実は、完全に西向きに伺っていたもので、駄目だったものがいくつかあります。

いくつかのシュウメイギクやペンステモンなど。

ライトプランツ ライトプレイス。適地適草。やはりこれが肝心なのです。

ほかにも株が乱れにくい。暴れない。花が長持ち。など いくつかの条件をクリアして、

様々なシュウメイギクを植えたなかで、このパミナが 花持ち良く、株が暴れず倒れず優秀でした。

ちなみに、宿根草の株の発注時にハドスペンアヴァンダンスは手に入らなかったので、

そのうち、我が家のこぼれ種を移植しようかなと思っております。

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箱根で増えたのも、そんな調子でしたし、同じ株が銀河庭園、中之条ガーデンズにも少しづつ増えています。

上の写真は 白花の普通のシュウメイギク。これはたった一株が10年ほどで群生。箱根は湿っているのでシュウメイギクにはパラダイスでした。

コボレダネと地下茎でも増えるので「環境さえあえば!」美しく増えてもくれるペレニアル・プランツですが

でも、今年のように雨が少ないと、その存続が危ぶまれる点もありました。

私は普段、自宅の地植えの宿根草には水やりをしませんが、今年は結構水やりをしました。

絶対に失いたくなかったからです。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


Instagram@keikoyoshiya 

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