2018.12.28 / ガーデニング(GARDENING)
2012年6月開催のオランダガーデンツアーで訪問したOudolf 自邸の庭にて。
「これは凄い!最高。なんて美しいんだろう!」と心のなかで静かに興奮していた私に、
非常に率直に、正直に
「この庭はどうやって鑑賞したら良いのでしょうか?」と、質問をしてくださった方がいらした。
私は虚をつかれ(実は腰が抜けそうに。いや、抜けてしまい)
うまく返事ができなかったような気がします。申し訳なかったと思っています。
これが、美の規範の問題だったら、即答ができない。
それから、さらに10年数年以上も前のガーデンツアーでのこと(写真は2009年のガーデンショウにて)
イギリス、現地の日本人ガイドの方が
「最近のガーデンショウって、雑草を植えるのが流行っているんですね」と、仰ったのにもびっくり。
雑草ではなく、それは、スティパだったり、エラグロスティス、カラマグロスティス、パニカムetc。
もちろん、私の経験でも、これらを観光庭園に植えると、「雑草が生えてる!」と
いつの間にか抜かれていたことがある。仕入れ値でも、1000円近いのがあったかも!?
イギリス人のガーデンエンスージアストの中にも、アンチ・ピート派 が、いるらしきことを聞いて、
興味深いことだと思っています。「だって、どの庭も同じ!?」いや、私が見ると全部違うけれど。
そのように、見えてしまうのでしょうね。ちなみにすぐ上の写真はピートさんの家の庭。
その上は、2009年のフランスのガーデンショウ。
この写真は、はままつフラワーパークにて。「一般的にウケないから、避けるべき」
と、長らく思ってきたけれど、グラス類の植物は、庭の表情を豊かにすると思う。
(ただし、品種により、環境に合わず姿が崩れたり、合いすぎて侵略的になるなら即刻判断を)
このムーブメント、グラス植物のトレンドは、1990年代から始まりました。
花の色彩よりも植物の造形美に注目して、葉群による景色の長命を望む傾向もでてきました。
茎や枝ぶりの形も注目の対象です。
それによって、花だけよりも、表情が繊細で洗練され、新鮮さも感じる。
なので、そろそろ、こうしたトレンドも、発祥から20年以上も経ったのだから
すこしづつ攻めに行ってもいいんではないかと。あまり文句を言われなかったのは
六本木ミッドタウンあったボタニカのテラスガーデン。それ以外の場所では
グラス類は抜かれたりしながらサバイバルを....。
また「これは美しい!!!」と思ってもらえるように工夫も努力もしないとて。
まだまだもちろん、日本では、花は、いっぱい咲かないと、集客は難しい。
いえ、集客を考えたら永久に、派手さ、華やかさを抑えた The art of planting の庭の実現や存続は
難しいのかもしれないと思っています。
やっぱり、TPOが必要だろう。(はままつフラワーパーク。私の感覚では、自分で植栽デザインをしておいてなんですが、花だらけでうるさいなあとは思ってます。これくらじゃないとウケないと恐れがある。でも、フジを生かすにはもっと別の方法があるだろうと悶々)
でも、日本は日本で、この気候にあった気持ちのいい、自分の好きな景色。
見たい景色を作ることを目標に。
つまり、 Piet さんの言葉を借りると、
見えるもの以上に深みのある庭。
自然を求める気持ちを満足させてくれる庭づくりを目標に、改めて、新年に向かって
この予測不能な気候でも、美しいと思っていただける庭を目指して。
私は私で、あなたはあなたで
ベス・チャトーさんやノリとサンドラ・ポープ、ピート・アウドルフのような素晴らしいガーデナーの作る庭から大いに影響を受けつつ、
日本の環境で、自分だけができる世界を表現できたらと、願っています。
そのためにも、この植物は美しい。環境に合う。丈夫に育つ。
を見極めて、その世界を見つけていきたいですね。
前向きに、向学心たっぷりに、いくつになっても、ポジティブに
美しいと思う何かを吸収し続けること自体に、生きる意味があると思っています。
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