この10年ほどの間でロンドンの街には、次々に新・宿根草主義的な。というか、ナチュラリスティックな。というか、ダッチ・ウェーブな。というか....。ちょっとワイルドな花壇が、続々と登場しています。写真は↑バターシー発電所の再開発商業エリア。初夏ならきっともっと花が咲いているでしょう。グラス類のほか、セージ、エキナセア、ヘレニウムetc
今は、カフェやレストランなどが先にオープンして、冬のライトアップはなかなかの眺めでした。昔から有名な建物でしたが、また新たな名所になりそう。
カフェのエリア、冬でもさすがイギリスらしく一定のセンス&レベルの今風の寄せ植えやアレンジがあちらこちらで目に止まりました。
12月下旬なのに、あれっ、ヘレニウムの花が咲いて。このような街の植物コンテナ、昔は冬ならシクラメンなどがメインでしたが、冬でもこのような宿根草を植えるの。やはり、ブームもあるかもしれません。テームズ川の河畔。バターシー発電所周辺の環境。おニューなムードで楽しみですが、まだまだ、本格的なこの地域の完成時期、諸説ありますが、
おそらく2年後には現代建築家、フランク・ゲーリーやノーマン・フォスターのデザインした住居棟の屋上ガーデンも完成して、新進気鋭のガーデン・デザイナーの設計でまたナチュラリスティックな庭ができるはずです。完成したら、行ってみたいです。
個人の庭と違い、公共空間は、ある程度は放置される期間が生じるし、フラワーショウのような美しさはなかなか望めません。でも、自然に対する、ある種のメッセージは届くでしょうか。この街路花壇も、野生的な自然との共感できるメッセージを感じました。ここで自生する宿根草たちから。2016年にスタートしたので、4年目の春を迎えようとしています。いよいよ街に登場しているという事実。しっかと受け止めて。
話がちょっと庭に戻ります。写真は去年閉鎖したバリー・コート。Piet さんが基本設計をしたけれども、オーナーのジョンさんが、とても繊細な植栽をしていた。やはり公共空間でこうはいかない。
ニュー・ペレニアル・ムーブメント、ナチュラリスティック・ガーデンの庭の美学の要点は、生態学とデザインの両方の成立にあり、自然の状態に意識を向けた、その場所にあった植物の選択に根ざすものです。ただし、場所にあった植物とはいえ、その選択肢。ぎりぎりの選択肢があって。
なんか、これじゃつまらない。というような、安全牌だけの植物だと、悪くはないけど、つまらない。要するにサツキばっかりとか。排気ガスにも耐えるサツキにまったくの罪はないけれども。
"Wild planting in a strong design." について、ずっと考えてました。野生的だが、強いデザイン性がしっかりと感じられるのはピートさんの庭然り。
"Wild planting in a strong design."この言葉は、モダンガーデンの母と言われたオランダのガーデンデザイナー、ミーン・ルイスの言葉です。なので、自然さだけを強調した景色だったら、やはり、どこか魅力がない。(↑ミーン・ルイスの庭)
そこになにかしらはっきりとした美学が感じられるようでないと。The aesthetic of the New Perennial garden それでいて、プランツエコロジー。根の張り方さえも調和する宿根草の組み合わせ。(↑ミーン・ルイスの庭)
そして、デュラビリティ(耐久性や丈夫さ)とローメンテナンス 。しかもローコスト(低予算)で短時間に少人数で工事が済んで。...その実行は、なかなか難しいのですが、そこを十分に理解したうえで。この世界に踏み込むべしという話でした。それだけに終わりなくその工夫がやりがいというか、面白いとも思います。
だから、きっと、ぜんぜん各地で同じにはならない。使える植物も、デザインも違ってくる。
今年は去年よりも、もっとこのことに興味を持ってくれる人が増えて、生態学とデザインの両方がうまく成立した庭が増えたらおもしろい。今年はそんなガーデン講座もあちらこちらで開催予定。東京都内ではいまのところ、4月13日あたりに。詳細は後日。もしかすると、Five Seasons の放映もありのようなウワサあり、あくまでもウワサですが。
名古屋では、4月16日に名古屋フラリエでトークショウ。4月以降に安曇野市で講演会予定日程未定。5月3日に、愛知県豊田市。5月23日には浜松にて講演会。今ガーデニングの世界で何が起きているか。去年よりも、もっとはっきりしてきたので、その点を。
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