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チェルシーフラワーショー2018・レポート(後編)~ショップ&パビリオン〜②

居場英則

次に、グレートパビリオンと呼ばれる、大きなテントで囲われた室内ブースの方を見て回りましょう。

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こちらが、そのグレートパビリオンのメインの出入り口。

会場南側のテムズ川入口の正面に、このグレートパビリオンはあります。

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僕たちの作庭作業が始まった初日(フラワーショー開催2週間前)のグレートパビリオンの様子。

まだ、何もないすっからかんの状態でした。

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それが、フラワーショー開幕数日間前には、各ブースとも花盛りになっていました。

急ピッチで設営が進んでいました。


ここからは、フラワーショー開幕してからの様子をレポートしたいと思います。

さすがイギリスは園芸大国、日本にある植物は大概はあるのではないかと思うほど、

多様な植物が展示されていました。

また、北海道とほぼ同じくらいの緯度にあるロンドンの5月末は、日本では4月末くらい、

ちょうど1ヶ月ほど日本より遅い季節感のように思います。

なので、屋外の公園などでは、まだバラはほとんど咲いていませんでした。

でも、このフラワーショーの会場内には、季節感がないと思えるほど、多種多様な花が咲き乱れていました。

この時期に合わせて、各ナーセリーが開花調整をし、見事な花を咲かせておられることに驚き、

その素晴らしさに声が出ませんでした。


では、まずは、やっぱりバラから行きましょう。

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今年のフラワーショーでは、バラは3社出展していましたが、そのうちのひとつ。

ピーター・ビールズ社の展示ブース。

ロマンチックなデコレーションです。

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まず目についたのが、こちらの赤いつるバラ。

最近、我が家にも植えたバラで、チェビー・チェイス。

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チェビー・チェイスのアップです。

今年は、バラの最盛期にイギリスに来ていたので、

自宅で、このチェビー・チェイスの開花を見ることはできませんでしたが、

まさか、ロンドンで見れるとは・・・。

深紅の小花で、とても目を惹きます。

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こちらも定番品種で、バレリーナ。

淡いピンクの一重のつるバラです。

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ピーター・ビールズのブースの様子。

花がこぼれんばかりに咲いていました。

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こちらは、ハークネス社のブース。

新種のバラの展示などがありましたが、あまり印象に残っていないのは何故でしょう?(汗)

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そして、こちらが、イングリッシュローズの本家本元のデヴィッド・オースチン社のブース。

ここも美しい演出でしたが、いつも人でいっぱいで、なかなか全景を写真で撮るのが難しかったです。

近年作出の定番の品種がメインの展示でした。

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今年5月、ちょうどチェルシーフラワーショーの直前、イギリス王室のヘンリー王子と

アメリカ人女優のメーガンさんが、ロンドン郊外のウィンザー城で結婚式を挙げられました。

その結婚式の花飾りを、デヴィッド・オースチン社が担当したようです。

結婚式の写真が、ブースの奥に展示されていました。

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こちらは、2018年の最新品種のバラで、エミリー・ブロンテ(EMILY BRONTE)。

少しピンクがかった白で、とても上品なバラです。


続いては、僕も大好きな花でシャクヤク(ピオニー)。

イギリス人にも、好きな花を聞くとシャクヤクと答える人が多いようで、

品種もバラエティに富んでいます。

ツルのシャクヤクがないので、壁面をカバーするといった、つるバラのような使い方が

できないのが残念ですが、花自体は、僕もバラよりシャクヤクの方が好きかもしれません。

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いくつかあったシャクヤク専門のナーセリーのブースのひとつ。

様々なシャクヤクが並べられています。

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白いシャクヤクはいままであまり見向きもしなかったのですが(汗)、白いシャクヤクも素敵だなと思えるほど、

美しい白のシャクヤクでした。

左側のシャクヤクは、「Bridal Shower」(ブライダル・シャワー)という品種。

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こちらは、特に目を惹いたシャクヤクで、「Moonrise」(ムーンライズ)。

白い花弁にゴールドの大きなシベのコントラストがとてもインパクトがあって、良かったです。

こんなシャクヤクをガーデンに入れておくと、それだけでフォーカルポイントになりますね。

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こちらは、燃えるような赤いシャクヤク花。

「Command Performance」(コマンド・パフォーマンス)という品種。

花径が大きく、バラより数倍見応えがありますね。

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珊瑚色の花色がとても美しい、「Pink Hawaiian Coral」(ピンク・ハワイアン・コーラル)という品種。

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こちらのシャクヤクの花色も、何とも素晴らしい。

「Coral Sunset」(コーラル・サンセット)という品種のようです。

まさに、その名の通り夕焼けと珊瑚色が混じった、とても趣きのある花色ですね。


続いて、クレマチスのナーセリーのブースから。

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いくつかクレマチスのナーセリーのブースが出展していましたが、どれも展示方法に特色がありました。

こちらは、つる性のクレマチスを花壇にこんもりと茂らせていました。

なかなか素敵な仕立て方だと思いました。

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こちらは、また別のナーセリー。

こちらでは、メッシュフェンスをうねらせるように並べ、横に這わせるような仕立て方で、

クレマチスを咲かせていました。

全てで頂芽優勢になり、たくさん咲かせることができそうなので、スペースがあれば、こういう仕立て方もありだな

と思いました。

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赤に白、そしてピンクという、日本ではあまり見かけない色の組み合わせ。

花形も良く似ていて、敢えて近しい花形で合わせるのも悪くないなと思いました。

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僕が特に目についたクレマチスが、こちら、「Crystal Fountain」(クリスタル・ファウンテン)。

淡い紫の花弁に、シベが中心の緑から外側に白くなり、とても派手で目立つクレマチス。

派手好きな僕としては、とても魅力的なクレマチスでした。

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そして、こちらが、今年トレンドになるだろうと言われていたクレマチスで。

画面中央の2色、グレイッシュな水色とグレイッシュなピンクのクレマチス。

これまでになかった花色で、ニュアンスカラーのクレマチスです。

ニュアンスカラーのバラとも良く合いそうです。

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こちらが、そのニュアンスカラーのクレマチス。

グレイッシュピンクのクレマチスは、「Sarah Elizabeth」(サラ・エリザベス)という品種のようです。

日本での発売が期待されます。


続いては、クリスマスローズ(ヨーロッパでは、ヘルボレス)。

日本とイギリスでは、気候が1ヶ月ほど違うといっても、まさかこの時期、クリスマスローズが見れるとは

思っても見ませんでした。

それも、ものすごく良い状態で。

ナーセリーパワーを感じた展示でした。

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こちらが、そのクリスマスローズの展示の様子です。

数えきれないほどの品種が、本当に「咲き乱れて」いました。

感動ものです。

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どれも背が低くてしっかりしている。

展示も、中央を盛り上げて山のように設えてあるので、俯く花弁の花が良く見えるようになっていました。

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群生するクリスマスローズ。

緑色の花がとても美しいです。

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こちらは、ダブルの花に白い糸ピコティの入った美花。

可愛らしいです。

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こちらは、濃い桜色のクリスマスローズ。

ロンドンの地で、こんなにも美しいたくさんのクリスマスローズを見ることができて、とても癒されました(笑)。


続いては、ダリアです。

ダリアも季節的には、5月に咲かせるのは難しい品種だと思いますが、これまた見事に開花していました。

そのうちのいくつかを紹介します。

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こちらは、濃い赤紫色と、ピンクかった白がミックスしたダリア。

後方に見える淡いピンクの花との相性がとても良いと思いました。

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こちらは、美しいピンクのグラデーションのダリア。

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こちらは、白とピンクの覆輪のダリア。

日本のダリアと違って、どれも背が低い矮性で、コンパクトに庭に納まって、とても良いと思いました。

日本のダリアは、背が高くなって、庭で浮いてしまうのですが、こちらのダリアはお行儀が良くていいです。

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これもまた個性的なダリア。

黄色とオレンジ色、白が混じった美しい花です。

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オレンジシャーベットのような色合いのダリア。

オシャレです。

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これもダリアの様です。

バラにもありますが、ラッフル型のダリアです。

花弁の形が美しい。

このダリア欲しいです(笑)。


続いては、菊の展示ブースを見つけました。

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大菊人形を思わせるような菊のボール。

イギリスにも、様々な色合いの菊があるんですね。

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白と緑のコンビネーションの展示の菊。

こうやってみると、大菊人形的な感じはしないですね(汗)。

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こちらもまた、珍しい花色の菊です。

緑から、黄色、そして薄紫色へと変化していく花弁がとても美しいです。

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こちらは、秋に咲く花で、ネリネ。

ピンクのグラデーションがとても綺麗で、我が家でも是非植えてみたいと

思っている植物です。

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こちらは、花形が同じで夏に咲く、アガパンサス。

アガパンサスにも、いろいろな種類のものがありましたが、

特に、この白と淡いブルーの組み合わせの咲かせ方が美しいと思いました

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こちらは、紫陽花のナーセリーの様子。

日本から輸入され、ヨーロッパで品種改良された紫陽花も、多彩でした。

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こちらも紫陽花。

白にピンクの覆輪の花、品種名は、「Chique」(シック)と書いております。

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こちらは、まだ開幕前の準備段階の写真ですが、ラベンダーのナーセリー。

ラベンダーにも多種多様な品種があるようです。

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こちらは、ヒヤシンスのナーセリー。

クリスマスローズも驚きましたが、この時期、ヒヤシンスにお目にかかれるとは思っていませんでしたので、

鮮やかな花色と、何ともいえない芳香に足が止まりました。

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こちらは、チューリップのナーセリーのブース。

意外にも、チューリップのナーセリーは、ここ一社だったように思います。

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こちらは、ルピナスのナーセリーのブース。

コンテストガーデンでも、市内や郊外のガーデンでも、ルピナスの花を良く見かけました。

この展示ブースでは、見たこともないような鮮やかなオレンジ色のルピナスが見事に咲いていました。

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こちらは、アイリスのナーセリー。

このアイリスも、ニュアンスカラーですね。

流行なのかもしれませんね。

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こちらは、カラーのナーセリー。

しっかりと作り込まれた、ナーセリーパワーを感じます。


ここからは、アリウムをいくつか紹介します。

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こちらは、赤いアリウム。

一見すると、彼岸花かと思ったほどです。

超矮性で茎が短いです。

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こちらは、紫色の花の中に、白が混じるアリウム。

花火のようで、とても可愛らしい。

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こちらは、花の部分が、紫と緑の2段構成になっている品種。

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こちらは、一般的なアリウムかな?

手前のオレンジの花とのコントラストもとても綺麗です。

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こちらは、屋外の別のブースで見たアリウム。

紫色のアリウムとシンクロするように、ツゲかなにかで出来た緑の球体、

そして、金属で出来たオブジェの球体が重なって、とても面白い風景を作って

いました。

続いて、【 屋内パビリオン(葉もの) 】の記事はこちら


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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