8月に入り、お盆も過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きますね。
昨年も猛暑でしたが、今年はそれに輪をかけて暑いです。
5月のバラシーズンも、バラの開花が例年より1週間から10日ほど早く、
ますます地球温暖化の影響が深刻になっているような気配です。
そんな中、暑い暑いと言っていても仕方がないので(汗)、今回は少し涼を求めて、
「ナイトガーデニング」について書いてみようと思います。
といっても、今の時期のものではなく、今年5月のバラの最盛期に、夜のバラ風景を楽しむ手段として、
我が家の前庭や中庭をライトアップした時の様子を紹介しますね。
『風景をデザインするガーデニング』を標榜するボクとしては、昼間の風景だけではなく、
夜の景観にも関心があって、特に我が家の前庭は、道路に面したオープン外構となっているので、
道行く人にも夜の景観を楽しんでもらえたらと思って、実施しています。
今年、昨年といろいろ試行錯誤しながら実験していますので、
ライティングのことや夜景撮影のことなどについて書いてみようと思います。
何か、皆さんにとっても参考になれば幸いです。
● 前庭の「壁庭」と玄関アプローチ、植栽をライトアップ
こちらは、今年2016年5月末、我が家の前庭の建物外壁に誘引している、遅咲きのつるバラが最盛期の頃、
夕刻のマジックアワーを狙って撮影した一枚です。
我が家の前庭は、前面道路に面して仕切りのないオープンな外構で、画面の右側が玄関アプローチ、
左側は、通常、駐車場になっている部分です。
ライトアップを行うに際して、建物の外壁に誘引したつるバラがよく見えるように、
一時的に、車を別の場所に移動させています。
こうすることで、前庭全体がステージのようになります。
主役となる正面、建物の外壁の「壁庭」と手前の玄関アプローチ、
画面左側の隣地境界のフェンスに沿って植えている3本のオリーブの木など、
要所要所にアッパーライトを仕込み、夕暮れのまだ明るい空の下で、ふわ〜っと浮かび上がるように
照らしています。
● ライトアップの風景を写真に納めるタイミングは、マジックアワー
せっかくライティングしたので、その様子をできれば写真に撮っておきたいですよね?
ですが、夜景の写真撮影ななかなか難しいですね。
まず用意するのは、三脚です。
暗い中でシャッターを切るので、シャッタースピードが極端に遅くなり、手持ちではブレてしまいます。
なので、三脚が必須です。
できれば、レリーズ(遠隔操作するスイッチのようなもの)があると、
シャッターを切る時のわずかな揺れも防止できますが、なければ、カメラのタイマー機能を使っても撮れますよ。
あと、重要なのは、夜景を撮る時間帯です。
完全に日が落ちて、真っ暗になると美しい夜景写真が撮れませんので、
日が沈んでから15分ほどの、「マジックアワー」と言われる、空が青く染まる時間帯を待って
写真を撮るのが基本です。
あっと言う間に真っ暗になってしまうので、たくさんアングルを変えて取りたい場合は、
段取り良くセッティングをする必要があります。
● 画像処理で空を美しく見せる。
こちらは、昨年2015年の5月のナイトガーデニングの写真です。
玄関アプローチ側のアングルから撮影した一枚です。
夜景の写真は、「ホワイトバランス」(光の色温度の調整)や「露出」の設定が難しく、
なかなか良い写真が撮れません。
しかも、わずかなマジックアワーの時間帯で、何枚も写真を撮らないといけないので、
一枚一枚、アングルを変える度に、細かい設定をするのは現実的ではないので、
「RAW」という形式(生データ)で撮影して、後から、パソコン上で、画像ソフトを使って、
「ホワイトバランス」や「露出」を微調整することにしています。
この写真でも、RAWで撮った時は、このような美しい空の色ではありませんでしたが、
微調整することで、夜景が映える空の色になりました。
夜景写真では、空の色がとても重要になります。
● 照明を当てるセンスが問われます
こちらの写真も、昨年2015年5月のナイトガーデニングの様子を写した一枚です。
普段は、画面右側の建物の壁面に設置しているブラケット照明だけが点いています。
それだけだと、せっかくの壁全体を覆ったつるバラの風景が見えないので、
スパイク型のアッパーライト(地面に突き刺すタイプの照明器具)を2灯、壁の手前左右から当てています。
そのアッパーライトに照らし上げられて、壁面に誘引したピンクのつるバラが、夕闇に浮かび上がっています。
あまり正面から光を当てすぎると、のっぺりした平面的な風景になってしまうので、
サイドから当てることで、陰影を付けるように工夫しています。
どのように被写体(この場合、壁に誘引したつるバラ)に、光を当てるのか、センスが問われます。
スパイク型のアッパー照明なら、設置場所を安易に移動できるので、何度もやり直しがききますし、
とても便利です。
● 手前と奥というように、立体感の演出が重要
こちらは、今年2016年のナイトガーデンイングの様子です。
前面道路から、玄関アプローチ越しに中庭方向を見たアングルです。
メインの建物外壁に、ブラケット(壁付け)照明やスパイク型のアッパー照明が当たっていますが、
ここで重要なのは、画面左端に写り込んでいる、ピンクと白のバラの花にも照明が当たっていることです。
こうすることで、手前と奥の2カ所に「光溜まり」ができ、奥行き感を演出することができます。
その間の玄関アプローチには、照明がなく、暗く沈んでいます。
この陰影というか、メリハリがあることで、光が当たっている場所が一層引き立ちます。
● フォーカルポイントをライトアップ
こちらは、今年2016年のナイトガーデニングの様子です。
前庭と中庭をつなぐ(仕切る)ガラス扉付近をライトアップした様子です。
我が家の庭の中でも、最も目を惹くフォーカルポイントとなっている場所です。
ガラス扉の向かって左側に、建物の壁面に取り付けられたブラケット照明が光っています。
その光を受けて、その周辺のつるバラの花が夕闇の中に浮かび上がっています。
● ライティングの違いで、全く印象が変わります
こちらの写真も、今年2016年のナイトガーデニングの様子を納めた一枚です。
ひとつ上で載せた写真とどこが違うか分かりますでしょうか?
間違い探しのようですね(笑)。
大きく2カ所、違いがあります。
ひとつは、「アッパー照明の位置」です。
ひとつ前の写真では、スパイク型のアッパー照明は、ガラス扉の向かって右側、
テラコッタ鉢植えのバラの株元に突き刺して、真上に向けて、壁を舐めるように照らし上げています。
そのライティングのおかげで、壁の右半分、赤い花のつるバラが浮き上がるように見えていますね。
こちらの写真では、そのスパイク型のアッパーライトは、画面左手前(写真には写っていない位置)に設置して、
ガラス扉の左側の壁面を照らしています。
ですので、ピンクの花の方が浮かび上がっていますね。
照明を当てる位置を変えるだけで、これだけ印象が変わってしまいます。
もうひとつの違いは、ガラス扉を「引いているか、押しているか」の違いです。
これひとつとっても、見え方がずいぶん変わります。
いろいろ試して、ベストな状態を探るのも、夜景写真を撮る楽しみのひとつです。
● 陰影をつけることを意識した、趣きある照明デザイン
我が家のフォーカルポイントの「壁庭」を真正面から見たところです。
奥には、中庭空間が広がっており、そちらにも照明を仕込んでいます。
ここでも、手前と奥の2カ所に照明による光溜まりを作って、奥行き感を演出するように工夫しています。
あと、あくまでも住宅の庭を照らす照明ですので、商業施設のように、煌煌と照らして目立たせるというのとは、
そもそも趣旨が異なります。
まんべんなく明るく照らすのではなく、陰影やメリハリ付けた方がより趣きが出ると思います。
● バラの花を浮かび上がらせる、ほのかな中庭照明
こちらは、今年2016年の中庭のナイトガーデニングの風景です。
前面道路に面して、通りすがりの人にも夜の風景を見ていただく「前庭」と違って、
こちらは、建物に囲まれた、より静謐なプライベート空間としての「中庭」。
また、前庭の建物外壁につるバラを誘引した「壁庭」と違って、
中庭は、鉢植えのバラが多く、壁面という「面」を照らすのではなく、
点在するバラの花を「点」で照らすという考え方に基づいてライティングしています。
まだ試行錯誤の段階で、上手くいっていない部分も多々ありますが(汗)、
ここでも、フォーカルポイントとなるウッドデッキ上のデッキチェアに光を当てて、
そこに視線が集まるようにしています。
あとは、室内から漏れる明かりとのバランスを見ながら、微調整してみました。
できれば、もう少し華やかになるといいなぁと思います。
来年の課題です(汗)。
ライティング以前に、バラの開花時期を合わせるという方が、なかなか難しいですが・・・(汗)。
● バラの時期以外にもナイトガーデニングに挑戦
こちらは、おまけ画像です。
バラのシーズン以外にも、ナイトガーデニングが出来ないかということで、
4月にチューリップの花が満開の頃、鉢植えのチューリップを前庭の玄関アプローチに並べて、
夜景写真を撮ってみたのがこちらの写真です。
つるバラのように壁を覆い尽くすような大きなボリュームがないので、照明を当てても何となく貧相ですね(汗)。
やっぱり、桜の木のように、一時にたくさんの花を咲かせる木でないと、なかなか照明映えしませんね〜。
そんなことで、いろいろ試行錯誤しながら、毎年ナイトガーデニングの実験を繰り返しています。
昼間のバラの風景ももちろん美しいのですが、夜、光に照らされて、夕闇の中に浮かび上がる風景も、
これまた風流なものですね。
スパイク型のアッパー照明や、電源コードのいらないソーラー電池式の照明器具等、
いろいろ便利なものが発売されていますので、それらをうまく使って、
夜の風景をデザインしていただければ、夜の街並みもより豊かになるのではないかと期待しています。
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