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専門家「風景」をつくるガーデニング術

変化する我が家の中庭 ~色とりどりのツツジがつくる風景~

居場英則

梅雨に入り、少し憂鬱な毎日です。

さて、今回は、我が家の中庭の変遷について、紹介してみようかと思います。

2012年に家族が亡くなったことをきっかけに、自宅ガーデンの改装を決意して、

いろいろとガーデンリフォームを重ねて現在に至っています。

当初は、「追悼の庭」というテーマを掲げて、バラの花をたくさん咲かせることを主眼に置いていたと思います。

それが年月が経つにつれ、自分自身の気持ちや好みが変わったり、植物が多くく育ってきたことなども重なり

次第に、庭も少しづつ変化していきました。

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こちらの写真は、我が家の中庭を2階から見下ろしたアングルです。

都市部にある我が家の庭は、前面道路に面したオープン外構の「前庭」と、建物に囲まれたプライベートな空間の

「中庭」と、大きく分けて2つのエリアで構成されています。

どちらもさほど大きなスペースではないのですが、それぞれにコンセプトを設けて、庭づくりを行ってきました。

「中庭」は、プライベートな空間で、ひっそりと一人の時間を楽しむような場所として、植栽配置を行いました。

乱張り石を敷き詰めた中央のテラスと、一段上がったウッドデッキには、チェアを置いて、

中庭の景色を楽しめるようにデザインしていました。

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こちらの写真は、まだガーデンリフォームを始めて間もない頃、1年目の春(2013年の4月)と思います。

中庭に植えたバラの本数も少なく、ガーデンリフォームで植栽した樹木も、

正面左の株立ち樹形のソヨゴ(常緑樹)と、お隣さんとの視線回避のために植えた右側のシラカシ(常緑樹)、

その横のピンクの花が咲いているのは鉢植えのハナカイドウといったラインナップでした。

4月ということもあり、鉢植えで育てていたチューリップも、まだ鉢数が少なく、広くない我が家の中庭でも

空間に余裕があった頃だったかと思います。

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こちらは、それから2年経った2015年4月。

このころはチューリップにも関心が高かったのか、やたらとチューリップの鉢植えを増やしていました。

ムスカリなどの宿根草や、ビオラなどの一年草と一緒に寄せ植えしたり、テラコッタ鉢の形にこだわって

集めていた頃だったように思います。

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その年(2015年)の5月、チューリップが終わり、バラの季節になりました。

バラの庭がメインコンセプトなので、バラの季節になると、ピンクや赤紫色のバラが、

中庭の各所で咲いていました。

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こちらは、その翌年、2016年の4月。

チューリップの鉢植えがますます増えて、中庭が足の踏み場もないほどに占領されていました。

それでも、チューリップは一年草扱いなので、1ヶ月後のバラのシーズンには、中庭の鉢植えは減って、

少しはスッキリしていたと思います。

バラに限らず、チューリップなど、花がたくさん咲いている風景が、よっぽど好きなんでしょうね。

それでも、さすがにこれはやりすぎと反省して、それ以降は、ほとんどチューリップを植えることは

なくなりました。

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こちらは、同じ年(2016年)の5月、バラシーズン到来の頃の様子です。

手前右側が、サンルーム、左側の花壇(日陰ゾーン)にもバラをたくさん植えていた頃です。

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中庭の定点観測ポイントから撮影したアングルです。

このころになると、バラも植えて3年目を迎え、だいぶ大きくなって、風景を作れるようになってきました。

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この頃(2016年5月)は、ライトアップにも傾倒していましたので、中庭のつるバラの風景にも照明を当てて、

夜のナイトガーデニングを楽しんでおりました。

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そして、こちらの写真はさらに1年後の2017年5月。

この頃の中庭が、つるバラが創る風景としては一番美しかったように思います。

バラの配置も、毎年のように場所を変えたりしていて、花期(早咲き、遅咲き)も比較的合わせられていて

トータルとして、まずまずの風景になったかなと思っていた頃です。

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こちらは、その年(2017年)の6月です。

我が家の庭は、床を乱張り石張りで仕上げている部分が多く、地植えできるスペースが限られていて、

そのほとんどを高木とつるバラで使っているため、必然的にそれ以外の植物は、鉢植えで育てることになります。

木立性のバラも、ほとんどが鉢植えでしたが、バラを始める前から集めていたアジサイの鉢植えも結構あって、

バラが終わるとバラの鉢植えを庭の奥の方に移動させ、代わりにアジサイの鉢植えが中庭に並ぶということもあり、

6月には鉢植えの紫陽花を並べて、「アジサイの庭」を作ったりしていました。

画面手前の花壇は、いわゆる「ランウェイ花壇」と称して、鉢の入れ替え方式による見せる鉢植え花壇に

変更していました。

※「「ランウェイスタイル花壇(鉢の入れ替え方式でつくる花壇)」の作り方」については、

過去記事に掲載していますので、そちらもご覧ください。


赤やピンク色のバラが多い我が家の中庭が、青や紫といったシックな花色に変わる、この「アジサイの中庭」は、

とても気に入っていました。

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こちらの写真は、3年後の2020年5月。

この頃は、オープンガーデンもやらなくなって(多くの方が来られるようになって、ご近所にご迷惑がかかるため)

中庭で自分の時間を楽しもうという気持ちになって、バラシーズンに、中庭にガーデンテーブルを出して、

ランチやティータイムを楽しむようなライフスタイルをしていた時期です。

バラの品種も、当初のように、ピンクや赤紫一辺倒から変わってきて、黄色やオレンジ色のバラや、

青いクレマチスなどを育て始め、ギボウシやフウチソウなどの葉物植物にも傾倒し始めた頃かと思います。

一方で、中庭のシンボルツリーのひとつ、株立ち樹形の常緑樹のソヨゴの幹が枯れこみ(写真左側)、

半分くらいになってしまい、樹形が乱れて、とても残念です。

原因は、はっきり分からないのですが、近くに植えているつるバラの寒肥やりの際に、穴を掘るのですが、

それがソヨゴの根を痛めたのではないかと推測しています。

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こちらの写真は、その翌年の2021年5月。

ガーデンファニチャーはそのままですが、つるバラも大きく育ってきて、だいぶ樹形も乱れてきて、

中庭が鬱蒼としてきました。

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こちらは、2年前の2022年の5月。

この頃になると、育ててみたいと思う植物(高木類、フジ、ギボウシなどの大型宿根草など)が、

続々と増えてそれらに中庭が占領されてしまいました。

まさに、「圃場」と化していまして、つるバラは大きく成長して、たくさん花を咲かせてはいるものの、

風景を楽しむような中庭からは少し変わってしまいました。

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そして、こちらの写真が、今年2024年の4月の我が家の中庭です。

風景が一変したでしょう?

一昨年くらいから、コツコツとツツジ、シャクナゲ系の植物を集めていて、それらをメインにした中庭へと

変化させました。

一部枯れこんでしまった株立ち樹形のソヨゴを抜いて、その代わりに、「ツツジ・常夏」という大型のツツジに

入れ替えました。

そのツツジをシンボルツリーにして、その周りに地植え、鉢植えのツツジを配置しています。

母校(奈良高校)の創立100周年記念事業の中庭プロジェクトの設計をさせていただいた関係で、

我が家で育てきれない鉢植えの樹々(モミジ、ソヨゴ、アジサイなど)を、合計30鉢ほど、

寄付させていただき、高校の中庭に地植えさせてもらいました。

それでも、中庭はまだ大量の鉢植え(ギボウシやクリスマスローズなど)が残っていますが・・・。

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何故、ツツジの庭へと変えたのかというと、2018年、世界的ガーデンデザイナーの石原和幸さんの

サポートメンバーとして、「チェルシーフラワーショー2018」のコンテストガーデンづくりのために、

イギリスに1か月ほど滞在していたのですが、その際、作業の合間に、ロンドン近郊のガーデンを

色々見に行って、ツツジのある風景にとても刺激を受けたからです。

写真は、友人が連れて行ってくれた「ヒーバー・キャッスル&ガーデンズ」の風景です。

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日本の庭で見るツツジやサツキは、赤やピンク、白といった単調なイメージでしたが、イギリスで見たツツジや、

近種のシャクナゲは、オレンジ色や黄色、ショッキングピンクやブルーなど、多彩な色合いで、

しかも自然樹形で大株で育てられていて、美しい風景を作っていたのです。

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こちらは、RHS(英国王立園芸協会)が運営しているガーデンで、「ウィズレー・ガーデン」。

ここにも、見事な大株で鮮やかなオレンジ色のツツジを見ました。

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ウィズレー・ガーデンでは、他にも、こんな手毬状に花が咲く西洋ツツジ(アザレア)も見かけました。

これまでの日本のツツジやサツキとは一線を画する、この見事な植物に魅了されてしまったのです。

帰国してからは、珍しい花色のツツジやアザレア、シャクナゲをコツコツとコレクションするようになりました。

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ここからは、我が家の庭に戻って。

こちらは、かなり以前から育てているミツバツツジ。

早春の山道をドライブしていると、そこかしこに見かける鮮やかなピンクの花が

特徴的なツツジです。

ツツジの中での早咲き品種で、我が家でも、一番に咲くツツジです。

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こちらも、日本固有の在来種のヤマツツジ。

朱色の花色が、とても日本的で気に入っているツツジです。

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こちらは、イギリスで見かけたオレンジ色の花を咲かせるツツジ、エクスバリー・アザレアです。

よく立ち寄る園芸店で、鮮やかなオレンジ色で花を咲かせているのを見て、即買いしました。

仕事先の白馬でよく見かけるオレンジ色の花の「レンゲツツジ」とも違って、

とても洋風な風情が気に入っています。

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こちらも、数年前に、行きつけの園芸店で見つけて購入した大株のツツジで

「常夏(とこなつ)」です。

見つけた時は、まだ花が咲いていなかったのですが、赤白に咲き分ける

珍しい品種と聞いて、こちらも即決しました。

樹形が美しかったのも決め手でした。

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こちらは、昨年手に入れた、ブルーのツツジで、「クレーターレイク」。

バラには、まだここまで青い品種がありませんが、

ツツジはバラより先に行っていますね。

とても美しい品種です。

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そして、今年2024年4月、ツツジが咲き始めた頃の我が家の中庭。

株立ちのソヨゴの跡地に地植えした「ツツジ・常夏」を中心に、すぐ右横に朱赤色の花色のヤマツツジ、

右手奥に、ピンクのミツバツツジ。

それ以外は、まだ株も小さいため、鉢植えで育てているツツジ、シャクナゲ類を集めてみました。

ツツジ・シャクナゲ類は、バラほどの手間はかからないし(薬剤散布や剪定)にも関わらず、

僕の欲求を満たしてくれる「多花性」だし、大株になれば風景を作れるし、花期も長いし、

いいことづくめです。

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数日たって、ツツジ常夏やヤマツツジが満開になりました。

ここに見えているだけで、

 ・ツツジ常夏

 ・ヤマツツジ

 ・ミツバツツジ

 ・キリシマツツジ

 ・ヨドガワツツジ

 ・クルメツツジ・摩耶夫人

 ・クルメツツジ・宮城野

 ・クルメツツジ・明日香

 ・クルメツツジ・レックス

 ・ツツジ・貴婦人

 ・常緑ロードデンドロン・黒潮

 ・西洋シャクナゲ・舞娘

などがあります。

実は、オレンジ色の花が咲くエクスバリー・アザレアと、

ブルーの花が咲くクレイターレイクもあるのですが、

今年は何故か、花が咲いてくれませんでした。

それらが咲いてくれていたら、もっと鮮やかになっていたと思います。

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中央の朱赤のツツジがヤマツツジ、その上に常夏、ヤマツツジの左下が、

シャクナゲ舞娘、鮮やかなピンクがクルメツツジ摩耶夫人、

その手前の淡いブルーの花が黒潮、その左が、クルメツツジ銀河、

右下が品種名の分からない、サーモンピンクのアザレア、といったラインナップです。

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ツツジにも、これだけの花色の違いがあって、うまく組み合わせると、

「錦」のような美しい風景を創ることができるんだと、再認識しました!

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最後にもう一枚。

中庭のツツジコーナーに、光が差し込んで、美しく輝いている一枚です。

とても気に入っている風景です。

来年は、ここに鮮やかなオレンジやブルーがさらに加わった、パワーアップした風景をお見せできると思います。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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